【中ア】釣り好きおやじの夏休み 2018
Posted: 2018年8月14日(火) 08:01
【日 付】2018年8月9日(木)~11日(土)
【山 域】中央アルプス
【メンバー】Iさん、わりばし
沢登りと渓流釣りのセット遡行は、簡単なようで意外にむつかしい。滝が多い沢では登るのに時間と労力を使い、釣りどころではなくなってしまう。夏休み恒例の釣行にIさんと出かけた。当初は沢をつめて稜線に出る予定だったが、初日の夜に雨が降る予報を見て、別の沢での渓流釣りに変更した。ゴルジュの増水で昨年えらい目に合っているので即決だった。
[釣り師の沢]
駐車地から林道を少し歩いた所に巡視路のような手作り感満載の標識があった。林道から谷まで高度差があり岩場の急斜面なので、降りられる所は限られている。この道をたどると子尾根に踏み跡が続き、朽ち果てた橋が出てきたりと昔は使われていたようだ。谷に降り立つと吊り橋の跡が残り対岸にもマーキングがなされている。
入渓して釣りあがる。雰囲気はいいのだが、釣れるのは小物のイワナばかりで釣り師が入っているようだ。最後は大きな釜を持った滝が出てきてこれは越えられないので左岸を巻く。ルンゼを上り巻こうとしてもその先が岩場で切り立っており子尾根に追いやられる。この地点には真新しい細いトラロープが設置されており釣り師がつけたようだ。結局林道まで登らされた。再度入渓したが、水量が極端に少なく初日はここで竿を収めた。
二日目は、この先の取水施設の上から釣りあがることにした。ここを越えるには泳がなければならないが回避する方法を探していた。取水施設用の林道があり、施設をこえた上流部まで続いている。ここも傾斜が厳しく弱点を探さないと上部に入渓できない。Iさんの林道終点から釣り師が使っている道があるかもとの提案で林道を進む。
取水施設の降り口までは舗装されていたが、その先の草まるけの道を進むと何やら親子づれの動物が歩いている。足の長さからして鹿でも猪でもない。遠くから後ろ姿を見るだけなので熊のようにも見える。Iさんと声を出し人間がいることを知らせるが、逃げない。嫌な感じだ。しばらくして親子づれは山に入って行った。入る瞬間に顔が見えたカモシカだ。天然記念物だけあって逃げないはずだ。帰路でもカモシカの鳴き声を聞いたので、草まるけの林道付近がなわばりなのだろう。急峻な岩場の多いこのあたりなら、カモシカも外敵に襲われることも少なく安心だろう。
林道終点に着くと、テープがあった。テープは下降点に2つあるだけで、あとはルートを探りながら降りなければならない。子尾根から入り途中から右にトラバースして下っていく。熊笹が生えているので手掛かりはあるが、これがなければやばい斜面だ。苔むした大木が2本倒れている上を伝って谷に降りた。そこには釣り糸が申し訳程度に結んであった。釣り師の物だが、踏み跡も獣道程度であまり人は入っていないようだ。取水口の上だけあって水量も格段に多く水が冷たい。
イワナのいそうな淵も多くいい所だ。淵の流れ口の番兵イワナに何度か見つかって逃げられた。かと思うと悠々と淵を泳ぎエサを何度流しても見向きもしない大物など充分に楽しませてくれる。テン場予定地までゆっくりと釣りあがる。水も豊富で、入る釣り人も少ないので20cm~25cm強のちょうどいい大きさのイワナが釣れる。つわものイワナもいてエサを食った後すぐに岩に潜り込まれ二度糸を切られた。いずれも大物だっただけに惜しいことをしたが、それ以外のイワナもなかなかの引きで来たかいがあった。この日は大物ばかり7匹の釣果だった。釣り師御用達のテン場にテントを張ったが、3分程上流の森の中に高台のテン場があったのでこちらの方がお勧めだ。
初日は林道沿いにテントを張ったので、夜の雨も気にならなかったが、二日目も夜に雨が降った。この日は3時ごろから雨足が激しくなり川幅の広い場所にもかかわらず10cm程増水してきて気が気でなかった。1時間で雨足が弱まったので良かったが、沢の雨は要注意だ。
三日目は来た道をもどる。昨日は滝や淵をすべて直登して釣りあがったが、帰りは昨日確認しておいた釣り師の巻き道を使う。入り口にテープがあり踏み跡が続いている。二か所あるがいずれも昔道を使ったようないい道で時間短縮になった。
帰る日が土曜日ということもあり、バイク除けの岩を越えて電動自転車やミニバイクに乗った釣り師が林道を上がってきた。いずれも取水施設までの場所で釣っておりたいした釣果はあげられないだろう。同じ釣り師の沢でも、入りにくい場所でないとこの時代なかなかうまくいかない。山釣りは、技術でなく足でかせぐものかもしれない。
[釣り竿]
山釣り用の竿は、長すぎると使いにくいので5.3mで、ザックに収納しやすい仕舞い寸法を考えて53cmの物を使っている。5.3mで使いにくい場合は手元を短くして使っている。滝の登りにへつり、高巻いたりヤブコギなどの場面では竿を一時的に収めて進むことになるのでザックから大きくはみ出る竿はトラブルの元になる。
今回は竿先を収納しないまま移動して初日に岩に当たり折ってしまった。竿先の根元付近だったので使っていたリリアンではなかなかうまくはまらない。ナイフで削り出し付けたもののリリアンを火であぶるだけでは付かない。ボンドと布テープで固定して一晩待った。次の日に付いていなければ下山するしかない。朝確認すると付いている。ただ魚を釣り上げた時に持つかどうか不安だったが、25cm強の大物イワナでも釣り上げられたのでうまくいった。竿先が折れることはあるので、竿先の予備と太めのリリアンに瞬間接着剤は必要だとあらためて感じた。
[イワナの蒲焼]
イワナを釣って時間がたってない時は皮はぎもしやすいので、刺身にしたりめんつゆにしょうがを入れてづけ丼にしたりすしのこですし飯を作りにぎり寿司にしたりできる。ただ、朝釣って夜に食べる場合は日持ちしにくい。そんな時、やるのが蒲焼だ。皮をつけたまま三枚におろして、蒲焼のたれににんにくを入れた液に漬けておく。ジップロックに入れておけば行動しているうちに味がしみ、日持ちもする。テン場についてからフライパンで両面を焼けばイワナの蒲焼で、これが美味い。ごはんに蒲焼をのせ、たれをかければイワナの蒲焼丼の完成だ。
自然の恵みを食し、夕闇の沢で火を見ながら飲む酒のなんと贅沢なことか。これがあるから山釣りはやめられない。
【山 域】中央アルプス
【メンバー】Iさん、わりばし
沢登りと渓流釣りのセット遡行は、簡単なようで意外にむつかしい。滝が多い沢では登るのに時間と労力を使い、釣りどころではなくなってしまう。夏休み恒例の釣行にIさんと出かけた。当初は沢をつめて稜線に出る予定だったが、初日の夜に雨が降る予報を見て、別の沢での渓流釣りに変更した。ゴルジュの増水で昨年えらい目に合っているので即決だった。
[釣り師の沢]
駐車地から林道を少し歩いた所に巡視路のような手作り感満載の標識があった。林道から谷まで高度差があり岩場の急斜面なので、降りられる所は限られている。この道をたどると子尾根に踏み跡が続き、朽ち果てた橋が出てきたりと昔は使われていたようだ。谷に降り立つと吊り橋の跡が残り対岸にもマーキングがなされている。
入渓して釣りあがる。雰囲気はいいのだが、釣れるのは小物のイワナばかりで釣り師が入っているようだ。最後は大きな釜を持った滝が出てきてこれは越えられないので左岸を巻く。ルンゼを上り巻こうとしてもその先が岩場で切り立っており子尾根に追いやられる。この地点には真新しい細いトラロープが設置されており釣り師がつけたようだ。結局林道まで登らされた。再度入渓したが、水量が極端に少なく初日はここで竿を収めた。
二日目は、この先の取水施設の上から釣りあがることにした。ここを越えるには泳がなければならないが回避する方法を探していた。取水施設用の林道があり、施設をこえた上流部まで続いている。ここも傾斜が厳しく弱点を探さないと上部に入渓できない。Iさんの林道終点から釣り師が使っている道があるかもとの提案で林道を進む。
取水施設の降り口までは舗装されていたが、その先の草まるけの道を進むと何やら親子づれの動物が歩いている。足の長さからして鹿でも猪でもない。遠くから後ろ姿を見るだけなので熊のようにも見える。Iさんと声を出し人間がいることを知らせるが、逃げない。嫌な感じだ。しばらくして親子づれは山に入って行った。入る瞬間に顔が見えたカモシカだ。天然記念物だけあって逃げないはずだ。帰路でもカモシカの鳴き声を聞いたので、草まるけの林道付近がなわばりなのだろう。急峻な岩場の多いこのあたりなら、カモシカも外敵に襲われることも少なく安心だろう。
林道終点に着くと、テープがあった。テープは下降点に2つあるだけで、あとはルートを探りながら降りなければならない。子尾根から入り途中から右にトラバースして下っていく。熊笹が生えているので手掛かりはあるが、これがなければやばい斜面だ。苔むした大木が2本倒れている上を伝って谷に降りた。そこには釣り糸が申し訳程度に結んであった。釣り師の物だが、踏み跡も獣道程度であまり人は入っていないようだ。取水口の上だけあって水量も格段に多く水が冷たい。
イワナのいそうな淵も多くいい所だ。淵の流れ口の番兵イワナに何度か見つかって逃げられた。かと思うと悠々と淵を泳ぎエサを何度流しても見向きもしない大物など充分に楽しませてくれる。テン場予定地までゆっくりと釣りあがる。水も豊富で、入る釣り人も少ないので20cm~25cm強のちょうどいい大きさのイワナが釣れる。つわものイワナもいてエサを食った後すぐに岩に潜り込まれ二度糸を切られた。いずれも大物だっただけに惜しいことをしたが、それ以外のイワナもなかなかの引きで来たかいがあった。この日は大物ばかり7匹の釣果だった。釣り師御用達のテン場にテントを張ったが、3分程上流の森の中に高台のテン場があったのでこちらの方がお勧めだ。
初日は林道沿いにテントを張ったので、夜の雨も気にならなかったが、二日目も夜に雨が降った。この日は3時ごろから雨足が激しくなり川幅の広い場所にもかかわらず10cm程増水してきて気が気でなかった。1時間で雨足が弱まったので良かったが、沢の雨は要注意だ。
三日目は来た道をもどる。昨日は滝や淵をすべて直登して釣りあがったが、帰りは昨日確認しておいた釣り師の巻き道を使う。入り口にテープがあり踏み跡が続いている。二か所あるがいずれも昔道を使ったようないい道で時間短縮になった。
帰る日が土曜日ということもあり、バイク除けの岩を越えて電動自転車やミニバイクに乗った釣り師が林道を上がってきた。いずれも取水施設までの場所で釣っておりたいした釣果はあげられないだろう。同じ釣り師の沢でも、入りにくい場所でないとこの時代なかなかうまくいかない。山釣りは、技術でなく足でかせぐものかもしれない。
[釣り竿]
山釣り用の竿は、長すぎると使いにくいので5.3mで、ザックに収納しやすい仕舞い寸法を考えて53cmの物を使っている。5.3mで使いにくい場合は手元を短くして使っている。滝の登りにへつり、高巻いたりヤブコギなどの場面では竿を一時的に収めて進むことになるのでザックから大きくはみ出る竿はトラブルの元になる。
今回は竿先を収納しないまま移動して初日に岩に当たり折ってしまった。竿先の根元付近だったので使っていたリリアンではなかなかうまくはまらない。ナイフで削り出し付けたもののリリアンを火であぶるだけでは付かない。ボンドと布テープで固定して一晩待った。次の日に付いていなければ下山するしかない。朝確認すると付いている。ただ魚を釣り上げた時に持つかどうか不安だったが、25cm強の大物イワナでも釣り上げられたのでうまくいった。竿先が折れることはあるので、竿先の予備と太めのリリアンに瞬間接着剤は必要だとあらためて感じた。
[イワナの蒲焼]
イワナを釣って時間がたってない時は皮はぎもしやすいので、刺身にしたりめんつゆにしょうがを入れてづけ丼にしたりすしのこですし飯を作りにぎり寿司にしたりできる。ただ、朝釣って夜に食べる場合は日持ちしにくい。そんな時、やるのが蒲焼だ。皮をつけたまま三枚におろして、蒲焼のたれににんにくを入れた液に漬けておく。ジップロックに入れておけば行動しているうちに味がしみ、日持ちもする。テン場についてからフライパンで両面を焼けばイワナの蒲焼で、これが美味い。ごはんに蒲焼をのせ、たれをかければイワナの蒲焼丼の完成だ。
自然の恵みを食し、夕闇の沢で火を見ながら飲む酒のなんと贅沢なことか。これがあるから山釣りはやめられない。