【中国】三平山から金ヶ谷山へ 計算違いの大山蒜山展望とブナ林の尾根を行く
Posted: 2018年6月03日(日) 21:44
【日 付】 2018/6/1(金)
【山域山名】 中国山地/ 三平山、朝鍋鷲ヶ山、金ヶ谷山 (岡山県真庭市、新庄村)
【地形図】(1/25000)延助、美作新庄
【メンバー】 単独
【天 候】 曇りのち晴れ
【ルート】 三平山登山口6:55---三平山7:50/8:00---穴ヶ乢8:40/8:50---朝鍋鷲ヶ山10:35/10:45
---金ヶ谷山11:40/11:45---昼食地11:50/12:20---朝鍋鷲ヶ山13:05/13:15---朝鍋山登山口14:00
---駐車地14:50
今回の山は、伯耆大山のほぼ南10kmのところにあって、
大山や蒜山三座の展望台として人気の山、三平山から、
朝鍋鷲ヶ山を経て金ヶ谷山まで、ブナ林の尾根を行く計算違いシリーズ第5弾。
なお、三平山は「みひらやま」で、さんぺいやまではない。
天気予報を見ると、金曜から日曜までずらっと晴れマークが並んでいるので、
一番気温が高くなさそうな金曜日に登ることにした。
今回のタイトルの【中国】はもちろん日本の中国地方にある中国山地のことだが、
近畿・中部・北陸などのワシがよく行く山域は
「白山、奥越、越美、奥美濃、鈴鹿、湖北、野坂、比良、若狭、大峰、台高」などと
山脈山地名や旧国名で細かく呼び分けているのに対して、
中国地方は5県全部ひっくるめて「中国山地」というのはちょっと大雑把すぎるような気がするが、
それでは、それぞれの細かい山域をなんて呼べばいいのか考えると、ちょっと困ってしまう。
しかたないので全部「中国山地」。
中国地方のかた、ゴメンなさい。
なんかいいやつありますか。
■■■前夜大阪を発つ 現代コンビニ考■■■
さて、現地の蒜山インターを午前0時の深夜割引適用で出られるように、自宅を出発した。
現地はコンビニがなくて食糧調達ができないので、自宅から高速に乗るまでの間に調達する。
最初、近くのローソンに入ると、なんと、おにぎりがほとんど残っていない。
これはダメだ。
何も買わずに出て、次のセブンイレブンへ移動。
この店は、以前はおにぎりやサンドイッチが、
何時でもびっくりするくらいの品揃えと在庫量だったのだが、
オーナーが変わって敷地の一角をかっぱ寿司に売り渡してから、
だんだん品揃えがショボくなってきたが、案の定、ここもおにぎりがほとんど残っていない。
もう選択の余地なしで、あるものをカゴに放り込む。
つぎはビールだが、あれあれ?
冷蔵ケースを端から端まで何度見ても、ビールがない。
マジか?
今時、ビールを売ってないコンビニなんて信じられないぞ。
なんてこったい。
しかたなく近くのファミリーマートへ移動して、無事にビールをゲット。
計算違いの予期せぬコンビニのはしごで、自宅を出てからもう30分も経ってしまった。
まだ家を出たばかりなのに、疲れるぜ。
話しは変わるが……、
あ、今回はまた、なかなか現地に着きません。
現地に着かないと山に登れないし、登らないと話にもならない。
話にならないから別の話を持ち出すのか、別の話しをするから本題の話しができないのか、
ニワトリが先かタマゴが先か、そこは難しいところだけど、
そのうち登りだすと思うので、それまでちょっと我慢してください。
それで、話しは変わるが、山登りの旅にせよ物見遊山の観光旅にせよ、
最近の、旅には欠かせない三種の神器と言える施設は、「コンビニ、道の駅、日帰り温泉」だろう。
昔は、家族旅行で車で走っていてトイレに困ると、そう都合よく公衆トイレがあるわけもなく、
ガソリンスタンドで入れたくもないガソリンを10リッターだけ入れて、
トイレを借りるしかなかったものだ。
今は、道の駅があちこちにできて、24時間、きれいなトイレが使えるようになった。
お風呂も、数百円で入れる入浴施設があちこちにたくさん出来た。
コンビニのおかげで24時間いつでも、そこそこの食品を手に入れられるようにもなった。
昔と比べて、ずいぶん便利になったものだ。
そのコンビニにも栄枯盛衰がある。
0:10に蒜山インターを出ると、なんと、目の前にローソンがあった。
その向かい側には道の駅までできている。
4年前には何もなかったぞ。
こういうパターンはいいんだけど、コンビニがあるはずのところへ久し振りに行ってみるど
「ああ、つぶれてる!」というのもけっこうあるしなあ。
試しにそのローソンへ入ってみると、やっぱりおにぎりはほとんど残っていなかった。
「やっぱりダメやな。」と思いながら外へ出ると、そこに商品配送車が着いた。
搬入が終われば、朝までには陳列棚におにぎりが並ぶことだろう。
あとでわかったのだが、ここから国道を1kmほど逆方向に戻ったところにもセブンイレブンができていた。
どんどん便利になっていく。
一方、世界遺産になった合掌造りで有名な白川郷。
高速道路も道の駅もできてから久しく、近年、観光客も増加の一途だが、
この白川村には、コンビニはいまだに、中心地の鳩ケ谷にヤマザキデイリーストア1軒しかない。
以前、GWの山旅で、食糧調達できる町に出られないまま鳩ケ谷に転戦して来たとき、
さすがはGW、コンビニ側の仕入れの読みが狂ったのか、
明日も山に登るというのに、夕方になっても陳列棚が空っぽ。
明日の朝食や山の昼食はもとより、今日の夕食さえも買えず、
1日3便も配送のある都会と違って、1日1回しか配達が来ないようで、
店員さんに「配送車は何時に来るの?」と聞いて、数時間待っていたことがあった。
ここから一番近いコンビニは、
南へ40km離れたひるがの高原に、同じくヤマザキデイリーストアが1軒。
この鳩ケ谷がデイリーストアの岐阜県側配送ルートの北の端で、
配送車はひるがの高原の次にここへ来るので、
自分がひるがのへ行ってもここと同じように品薄だろうから、行くだけ無駄。
あとは北に50kmの城端か、東へ50kmの飛騨古川に出れば複数の大手コンビニがあるが、
どちらも峠越えで、ここから往復2時間以上かかるので、現実的ではない。
夕メシを食いたくても、道の駅の店舗は午後4時には閉店しているという暴挙。
食糧調達は昔より格段に便利になったが、
場所によっては食いはぐれることがあるので、まだまだ油断は禁物だ。
■■■なんで雨やねん!■■■
蒜山インター前のコンビニを出て、登山口に向かっていると、
突然、パラパラパラとフロントガラスを叩く雨。
そしてしばらくすると、ザアーッとけっこうな降りになった。
計算違いの降雨。
明日が晴れの予報でも、前夜にザンザと降ることはままあるが、本当に晴れるのかな?
■■■三平山は大山・蒜山の大展望……らしい■■■
朝になった。
曇ってる。
曇りというより、頭上はガスが渦巻いている。
あの一日中の晴れマークは、いったい何だったのか。
三平山の登山道は、よく整備された道が続いていた。
ウグイスの囀りを聞きながら、何度もジグザグを切って稜線に着く。
稜線には、昔ここに馬の放牧場があった名残の土塁が連なっており、
その上をしばらく登って行くと、腰高の笹原を開いた三平山に着いた。
「おお、大山と蒜山がなんと素晴らしい眺め……」のはずだが、
現実はガスが濃くなったり薄くなったり。
周囲100mくらいは見えるのだけど、遠景は計算違いの白いベールの中。
ここは360度の絶景展望が売りの山なんだが、
これでは、大阪からわざわざここまで来た甲斐がないな。
仕方ないので、先へ進む。
ここまでの道は幅が広かったが、ここからは狭くなった。
そこへ両側から膝丈の笹が突き出ていて、笹の葉に溜まった昨夜の雨の水滴が、
たちまち、ズボンのすそをビショビショに濡らす。
スパッツは持ってきてないし、カッパのズボンを履くのは窮屈だし暑いので、
ビショビショのまま進む。
道は穴ヶ乢(あながたわ)に向かって急降下しており、
滑りやすい粘土質の地面に何度滑りそうになったことか。
滑る身体を支えるために横の立木を掴むと、
すかさず頭上からバラバラバラと葉っぱに溜まった雨が降ってきて、
今度は上半身がビショビショになる。
なんとか滑るのをこらえ、穴ヶ乢で休憩。
静かな乢を、ガスが静かに流れ過ぎて行く。
■■■ブナ林の尾根歩き■■■
ここからしばらくは、左がヒノキ植林、右が自然林の急登となる。
身体はほてるが、流れるガスがひんやりとして気持ちいい。
ca900mあたりからブナ林に入った。
しばらくは晴れていたが、またガスが流れてきて幻想的なブナ林が続く。
いいね、いいね。
ほぼ平坦な尾根に林立するブナは、なかなかいい雰囲気を醸し出していて、
そこそこの太いブナも多く、思っていたよりは格段に素晴らしいブナの尾根だ。
これは嬉しい計算違い。
ca950mで広い斜面台地状のブナの森に入った。
1034.5mの三角点は、知らないうちに通り過ぎていた。
ca1060mで帰りに使う林道への下り道を分けて、
しばらく登ると1074mの朝鍋鷲ヶ山(あさなべわしがせん)に着いた。
ここは、朝鍋山(あさなべやま)とも言うらしい。
山頂には鉄製で高さ10mくらいのヤグラのような展望台があった。
地上に居ると樹木で視界は遮られるが、ヤグラに登ると360度の展望だ。
この頃には上空は晴れているが、大山・蒜山方向は雲が多く、
蒜山三座から烏ヶ山まではかろじて雲が山の頭を隠す状態だったが、
大山だけは完全にガスの中だった。
これは、大山に登っても何も見えないということなので、「ざまあみろ」と言ってあげよう。
近くに中国電力の送電線が通っていて、次の鉄塔までは巡視路の広い切り開きを進む。
その先はまた見応えのあるブナの尾根が続き、途中の1068mPあたりは圧巻のブナの森。
小さなアップダウンを繰り返すと、金ヶ谷山に着いた。
この金ヶ谷山は、一般的には「かねがたにやま」と呼ばれているらしいが、
その他にも「かながやせん」「かながたにやま」「かながたにさん」の呼び名もあるようだ。
ここは稜線上の通過点のようなところで、
ほぼ平坦な道端に山頂標識が立っているだけで、切り開きも展望もない。
ここは食事場所としては成立しないので、
来た道を少し戻って、ブナ林の中、道の真ん中に座り込んで昼メシにする。
どうせ誰も来ないだろう。
■■■最後の下りは階段道■■■
食事を終えて5分ほど歩くと、前方からチリンチリンと熊鈴の音がしてきた。
間もなく50歳代の男性登山者とすれ違う。
ちょっと時間がずれていたら、登山道を占領して食事の最中だった。
誰も来ないと思っていたが、やはり暇人はどこにでも居るものだ。
ルートを聞かれたので答えると、彼も同じルートで来たとのこと。
朝鍋鷲ヶ山に戻る。
もう日差しはけっこう強い。
再び展望台に登ると、大山・蒜山方向も雲の隙間から青空が覗いていて、
しかし、大山山頂部はまだ雲がかかっていた。
少し下った分岐から、川上2号林道へ下る道を辿る。
最初は普通の山道だったが、途中で階段道になって、
どこまで階段を降りれば気が済むんだというくらい、
いやになるような計算違いの急傾斜に、階段道が延々と続く。
こちらもブナ林があるものの、道としてはあまり面白くないので、
朝鍋山からは主稜線のブナの尾根を戻って、穴ヶ乢から林道に下るほうがよかったかもしれない。
最後は50分の舗装林道歩きで、駐車地に戻った。
後始末をして温泉へ向かおうとする林道の途中で、最後にやっと大山が姿を現した。
やっぱり迫力があるね。
計算違いとはいえ、山頂ではガスに巻かれて下山したらピーカンというのは、
まさしく、マーフィー・山の法則に違いない。
■■■エピローグ■■■
今回で三週連続の山行きになった。
ワシとしては久し振りのことだ。
どうやら脳内麻薬物質の分泌が復活してきたのだろうか。
だとしたら、これからの暑さで、せっかくのドーパミンが枯れなければいいのだけど。
洞吹(どうすい)
【山域山名】 中国山地/ 三平山、朝鍋鷲ヶ山、金ヶ谷山 (岡山県真庭市、新庄村)
【地形図】(1/25000)延助、美作新庄
【メンバー】 単独
【天 候】 曇りのち晴れ
【ルート】 三平山登山口6:55---三平山7:50/8:00---穴ヶ乢8:40/8:50---朝鍋鷲ヶ山10:35/10:45
---金ヶ谷山11:40/11:45---昼食地11:50/12:20---朝鍋鷲ヶ山13:05/13:15---朝鍋山登山口14:00
---駐車地14:50
今回の山は、伯耆大山のほぼ南10kmのところにあって、
大山や蒜山三座の展望台として人気の山、三平山から、
朝鍋鷲ヶ山を経て金ヶ谷山まで、ブナ林の尾根を行く計算違いシリーズ第5弾。
なお、三平山は「みひらやま」で、さんぺいやまではない。
天気予報を見ると、金曜から日曜までずらっと晴れマークが並んでいるので、
一番気温が高くなさそうな金曜日に登ることにした。
今回のタイトルの【中国】はもちろん日本の中国地方にある中国山地のことだが、
近畿・中部・北陸などのワシがよく行く山域は
「白山、奥越、越美、奥美濃、鈴鹿、湖北、野坂、比良、若狭、大峰、台高」などと
山脈山地名や旧国名で細かく呼び分けているのに対して、
中国地方は5県全部ひっくるめて「中国山地」というのはちょっと大雑把すぎるような気がするが、
それでは、それぞれの細かい山域をなんて呼べばいいのか考えると、ちょっと困ってしまう。
しかたないので全部「中国山地」。
中国地方のかた、ゴメンなさい。
なんかいいやつありますか。
■■■前夜大阪を発つ 現代コンビニ考■■■
さて、現地の蒜山インターを午前0時の深夜割引適用で出られるように、自宅を出発した。
現地はコンビニがなくて食糧調達ができないので、自宅から高速に乗るまでの間に調達する。
最初、近くのローソンに入ると、なんと、おにぎりがほとんど残っていない。
これはダメだ。
何も買わずに出て、次のセブンイレブンへ移動。
この店は、以前はおにぎりやサンドイッチが、
何時でもびっくりするくらいの品揃えと在庫量だったのだが、
オーナーが変わって敷地の一角をかっぱ寿司に売り渡してから、
だんだん品揃えがショボくなってきたが、案の定、ここもおにぎりがほとんど残っていない。
もう選択の余地なしで、あるものをカゴに放り込む。
つぎはビールだが、あれあれ?
冷蔵ケースを端から端まで何度見ても、ビールがない。
マジか?
今時、ビールを売ってないコンビニなんて信じられないぞ。
なんてこったい。
しかたなく近くのファミリーマートへ移動して、無事にビールをゲット。
計算違いの予期せぬコンビニのはしごで、自宅を出てからもう30分も経ってしまった。
まだ家を出たばかりなのに、疲れるぜ。
話しは変わるが……、
あ、今回はまた、なかなか現地に着きません。
現地に着かないと山に登れないし、登らないと話にもならない。
話にならないから別の話を持ち出すのか、別の話しをするから本題の話しができないのか、
ニワトリが先かタマゴが先か、そこは難しいところだけど、
そのうち登りだすと思うので、それまでちょっと我慢してください。
それで、話しは変わるが、山登りの旅にせよ物見遊山の観光旅にせよ、
最近の、旅には欠かせない三種の神器と言える施設は、「コンビニ、道の駅、日帰り温泉」だろう。
昔は、家族旅行で車で走っていてトイレに困ると、そう都合よく公衆トイレがあるわけもなく、
ガソリンスタンドで入れたくもないガソリンを10リッターだけ入れて、
トイレを借りるしかなかったものだ。
今は、道の駅があちこちにできて、24時間、きれいなトイレが使えるようになった。
お風呂も、数百円で入れる入浴施設があちこちにたくさん出来た。
コンビニのおかげで24時間いつでも、そこそこの食品を手に入れられるようにもなった。
昔と比べて、ずいぶん便利になったものだ。
そのコンビニにも栄枯盛衰がある。
0:10に蒜山インターを出ると、なんと、目の前にローソンがあった。
その向かい側には道の駅までできている。
4年前には何もなかったぞ。
こういうパターンはいいんだけど、コンビニがあるはずのところへ久し振りに行ってみるど
「ああ、つぶれてる!」というのもけっこうあるしなあ。
試しにそのローソンへ入ってみると、やっぱりおにぎりはほとんど残っていなかった。
「やっぱりダメやな。」と思いながら外へ出ると、そこに商品配送車が着いた。
搬入が終われば、朝までには陳列棚におにぎりが並ぶことだろう。
あとでわかったのだが、ここから国道を1kmほど逆方向に戻ったところにもセブンイレブンができていた。
どんどん便利になっていく。
一方、世界遺産になった合掌造りで有名な白川郷。
高速道路も道の駅もできてから久しく、近年、観光客も増加の一途だが、
この白川村には、コンビニはいまだに、中心地の鳩ケ谷にヤマザキデイリーストア1軒しかない。
以前、GWの山旅で、食糧調達できる町に出られないまま鳩ケ谷に転戦して来たとき、
さすがはGW、コンビニ側の仕入れの読みが狂ったのか、
明日も山に登るというのに、夕方になっても陳列棚が空っぽ。
明日の朝食や山の昼食はもとより、今日の夕食さえも買えず、
1日3便も配送のある都会と違って、1日1回しか配達が来ないようで、
店員さんに「配送車は何時に来るの?」と聞いて、数時間待っていたことがあった。
ここから一番近いコンビニは、
南へ40km離れたひるがの高原に、同じくヤマザキデイリーストアが1軒。
この鳩ケ谷がデイリーストアの岐阜県側配送ルートの北の端で、
配送車はひるがの高原の次にここへ来るので、
自分がひるがのへ行ってもここと同じように品薄だろうから、行くだけ無駄。
あとは北に50kmの城端か、東へ50kmの飛騨古川に出れば複数の大手コンビニがあるが、
どちらも峠越えで、ここから往復2時間以上かかるので、現実的ではない。
夕メシを食いたくても、道の駅の店舗は午後4時には閉店しているという暴挙。
食糧調達は昔より格段に便利になったが、
場所によっては食いはぐれることがあるので、まだまだ油断は禁物だ。
■■■なんで雨やねん!■■■
蒜山インター前のコンビニを出て、登山口に向かっていると、
突然、パラパラパラとフロントガラスを叩く雨。
そしてしばらくすると、ザアーッとけっこうな降りになった。
計算違いの降雨。
明日が晴れの予報でも、前夜にザンザと降ることはままあるが、本当に晴れるのかな?
■■■三平山は大山・蒜山の大展望……らしい■■■
朝になった。
曇ってる。
曇りというより、頭上はガスが渦巻いている。
あの一日中の晴れマークは、いったい何だったのか。
三平山の登山道は、よく整備された道が続いていた。
ウグイスの囀りを聞きながら、何度もジグザグを切って稜線に着く。
稜線には、昔ここに馬の放牧場があった名残の土塁が連なっており、
その上をしばらく登って行くと、腰高の笹原を開いた三平山に着いた。
「おお、大山と蒜山がなんと素晴らしい眺め……」のはずだが、
現実はガスが濃くなったり薄くなったり。
周囲100mくらいは見えるのだけど、遠景は計算違いの白いベールの中。
ここは360度の絶景展望が売りの山なんだが、
これでは、大阪からわざわざここまで来た甲斐がないな。
仕方ないので、先へ進む。
ここまでの道は幅が広かったが、ここからは狭くなった。
そこへ両側から膝丈の笹が突き出ていて、笹の葉に溜まった昨夜の雨の水滴が、
たちまち、ズボンのすそをビショビショに濡らす。
スパッツは持ってきてないし、カッパのズボンを履くのは窮屈だし暑いので、
ビショビショのまま進む。
道は穴ヶ乢(あながたわ)に向かって急降下しており、
滑りやすい粘土質の地面に何度滑りそうになったことか。
滑る身体を支えるために横の立木を掴むと、
すかさず頭上からバラバラバラと葉っぱに溜まった雨が降ってきて、
今度は上半身がビショビショになる。
なんとか滑るのをこらえ、穴ヶ乢で休憩。
静かな乢を、ガスが静かに流れ過ぎて行く。
■■■ブナ林の尾根歩き■■■
ここからしばらくは、左がヒノキ植林、右が自然林の急登となる。
身体はほてるが、流れるガスがひんやりとして気持ちいい。
ca900mあたりからブナ林に入った。
しばらくは晴れていたが、またガスが流れてきて幻想的なブナ林が続く。
いいね、いいね。
ほぼ平坦な尾根に林立するブナは、なかなかいい雰囲気を醸し出していて、
そこそこの太いブナも多く、思っていたよりは格段に素晴らしいブナの尾根だ。
これは嬉しい計算違い。
ca950mで広い斜面台地状のブナの森に入った。
1034.5mの三角点は、知らないうちに通り過ぎていた。
ca1060mで帰りに使う林道への下り道を分けて、
しばらく登ると1074mの朝鍋鷲ヶ山(あさなべわしがせん)に着いた。
ここは、朝鍋山(あさなべやま)とも言うらしい。
山頂には鉄製で高さ10mくらいのヤグラのような展望台があった。
地上に居ると樹木で視界は遮られるが、ヤグラに登ると360度の展望だ。
この頃には上空は晴れているが、大山・蒜山方向は雲が多く、
蒜山三座から烏ヶ山まではかろじて雲が山の頭を隠す状態だったが、
大山だけは完全にガスの中だった。
これは、大山に登っても何も見えないということなので、「ざまあみろ」と言ってあげよう。
近くに中国電力の送電線が通っていて、次の鉄塔までは巡視路の広い切り開きを進む。
その先はまた見応えのあるブナの尾根が続き、途中の1068mPあたりは圧巻のブナの森。
小さなアップダウンを繰り返すと、金ヶ谷山に着いた。
この金ヶ谷山は、一般的には「かねがたにやま」と呼ばれているらしいが、
その他にも「かながやせん」「かながたにやま」「かながたにさん」の呼び名もあるようだ。
ここは稜線上の通過点のようなところで、
ほぼ平坦な道端に山頂標識が立っているだけで、切り開きも展望もない。
ここは食事場所としては成立しないので、
来た道を少し戻って、ブナ林の中、道の真ん中に座り込んで昼メシにする。
どうせ誰も来ないだろう。
■■■最後の下りは階段道■■■
食事を終えて5分ほど歩くと、前方からチリンチリンと熊鈴の音がしてきた。
間もなく50歳代の男性登山者とすれ違う。
ちょっと時間がずれていたら、登山道を占領して食事の最中だった。
誰も来ないと思っていたが、やはり暇人はどこにでも居るものだ。
ルートを聞かれたので答えると、彼も同じルートで来たとのこと。
朝鍋鷲ヶ山に戻る。
もう日差しはけっこう強い。
再び展望台に登ると、大山・蒜山方向も雲の隙間から青空が覗いていて、
しかし、大山山頂部はまだ雲がかかっていた。
少し下った分岐から、川上2号林道へ下る道を辿る。
最初は普通の山道だったが、途中で階段道になって、
どこまで階段を降りれば気が済むんだというくらい、
いやになるような計算違いの急傾斜に、階段道が延々と続く。
こちらもブナ林があるものの、道としてはあまり面白くないので、
朝鍋山からは主稜線のブナの尾根を戻って、穴ヶ乢から林道に下るほうがよかったかもしれない。
最後は50分の舗装林道歩きで、駐車地に戻った。
後始末をして温泉へ向かおうとする林道の途中で、最後にやっと大山が姿を現した。
やっぱり迫力があるね。
計算違いとはいえ、山頂ではガスに巻かれて下山したらピーカンというのは、
まさしく、マーフィー・山の法則に違いない。
■■■エピローグ■■■
今回で三週連続の山行きになった。
ワシとしては久し振りのことだ。
どうやら脳内麻薬物質の分泌が復活してきたのだろうか。
だとしたら、これからの暑さで、せっかくのドーパミンが枯れなければいいのだけど。
洞吹(どうすい)