【鈴鹿】奥ノ畑谷から雨乞岳真西尾根~西尾根の周回
Posted: 2018年5月21日(月) 22:13
【日 付】 2018/5/20(日)
【山域山名】 鈴鹿/ 雨乞岳 (滋賀県東近江市)
【地形図】(1/25000)日野東部、御在所山
【メンバー】 単独
【天 候】 曇りのち晴れ
【ルート】 鳴野橋8:00---奥ノ畑谷入口渡渉点9:20/9:25---真西尾根取り付き10:10
---ca1030m真西尾根展望地11:25/11:35---西尾根稜線合流12:45
---ca1170m西尾根展望地12:55/13:35---三本杉水場13:45/13:55---一ノ谷の台地14:30/14:35
---一ノ谷出合15:00---奥ノ畑谷入口渡渉点15:05/15:15---鳴野橋16:25
今回の山は、滋賀県東近江市甲津畑の奥、鳴野橋から千草街道を経て、
奥ノ畑谷から雨乞岳の真西尾根を登って西尾根を下ってくる、雨乞岳西面の周回コースです。
雨乞岳は休日ともなると登山者が行き交う賑わいの山だが、
今回の奥ノ畑谷から雨乞岳西面の直登ルートは、誰一人としていないエアーポケットのような静けさ。
ワシらがバイブルにしていた西尾氏の「鈴鹿の山と谷」にもほとんど記述の無い地域だが、
随所での好展望と、鈴鹿の山の素晴らしさを存分に味わえるルートだ。
当日の晴天かつ低めの気温も快適で、どっぷりと山の精気に浸ることができた一日でした。
それから、今回レポートの「どうでもええ指数」は約5%と、
ワシにしては珍しく、純正山行レポートに近いガイド風味の構成なので、
そのスジの話しを期待される向きには物足りないかもしれませんが、ご容赦いただきたい。
■■■鳴野橋から奥ノ畑谷へ■■■
さすがはオンシーズンの日曜日。
鳴野橋のたもとはぎっしりと12台が駐車して満車状態なので、少し戻った路肩にクルマを止めた。
三重県側の湯の山~武平峠や朝明などの登山口に比べれば混雑度は雲泥の差だが、
普段の鳴野橋からすると、えらい混んでるなあという印象だ。
10人ほどの団体さんが出発したあと、静けさを取り戻した千草街道を辿る。
タイジョウ、イブネ、雨乞岳などの山へ入るとき、
千草街道を歩くこの1時間は、適度なウォーミングアップであり、格好の思索の時間でもあった。
昔から、その時間が大好きだ。
いつものように桜地蔵にお参りしていく。
お供えのミニようかんを買い忘れたので、代わりに非常食用のチョコレートを一粒お供えした。
塩津の小屋の手前で、奥ノ畑谷へ続く道に入る。
喉のような狭い谷間を高巻き道で抜けると、突然目の前に広がる静寂の台地。
とたんに、まわりの空気が変わったような気がした。
ここは別世界への入口?
最初の渡渉点で一息入れる。
水流にキラキラと反射する陽光、シャラシャラと流れる瀬音、そして小鳥の囀りが心地よい。
■■■雨乞岳の真西尾根を登る■■■
ここで、雨乞岳の「真西尾根」と「西尾根」の名称について、少し説明しておきたい。
雨乞岳の山頂から西面に延びる尾根は、大きく分けるとふたつあって、
ひとつは、千草街道のある藤切谷本流と、奥ノ畑谷の右岸第一支流「一ノ谷」に挟まれた尾根で、
山頂からの方角は西北西方向だ。
もうひとつは一ノ谷と奥ノ畑谷本流に挟まれた1048m標高点のある尾根で、
山頂からの方角は西方向だ。
最初、前者の尾根が「雨乞岳西尾根」として、
私家版のような鈴鹿ガイドブックや、ハイキングクラブの会報誌で紹介されたようだが、
その後、ワシが後者の尾根を呼ぶにあたり、
「西尾根」はもう使えないので「真西尾根」と呼んできたもので、公式な名称ではない。
奥ノ畑谷の最初の台地をブラブラと歩き、
その先で本流をもう一度渡って、奥にある右岸台地へと進む。
右岸の第4支流を渡り、左手に見える細尾根の末端に取り付いた。
真西尾根は末端でいくつもの尾根に枝分かれしているが、
これはその中でも純正真西尾根と言える尾根だ。
最初はヤセ尾根と岩場の尾根が続くアスレチツクのような尾根だが、
立木ホールドがいっぱいあるので、危なくはない。
ca1000mで北東からの支尾根と合わさると、ゆったりと広がる尾根になる。
そして少し先で南斜面に崩壊地が現れる。
なぜか、この周りだけがいいブナ林になっているが、ここが真西尾根の展望地だ。
眼前に奥ノ畑谷の源流を挟んで、対岸に大きく横たわる清水の頭。
その右に目を向けると、イハイガ岳、綿向北峰と続く稜線の先に、
大きく聳える綿向山までが一望できる。
以前は、ここに昼メシを食べにだけ来たことも多いが、今日の昼メシ場所はまだ先だ。
1048m標高点を過ぎると、雨乞岳頂稜部へ最後の登りとなる。
足元は草付きの斜面になるが、直登は急傾斜過ぎるので、
トラバースして左に見える小尾根に乗り換える。
その向こうの谷は、かの秘境「雨乞岳のヘソ」がある谷間だ。
小さなコバを過ぎると、ヒザ丈の笹原の斜面を易々と登っていく。
シカの道が縦横に走るこの斜面は、昔はやっと首が出るくらいの笹の海だったのがウソのようだ。
傾斜がなくなると、突然西尾根の道に飛び出す。
少し右に、山頂が見えるところまで進み、引き返す。
あと150mほど進めば雨乞岳だが、山頂に用はない。
久し振りに言うたな。「山頂に用はない!」て。
このところ、山頂に用があるのに辿りつけんかったことが多いからなあ。
また昔の話しで恐縮だが、当時ここは背丈を超す笹の海で、
山頂がどちらにあるのかわからないし、密生した笹原に突入すると足が全く地面に着かず、
笹の茎に乗って笹を掻き分けながら宙を前進する、
いわゆる「空中戦」状態で悪戦苦闘した、ある意味、楽しい思い出があるところだ。
■■■昼メシは大展望地で■■■
雨乞岳山頂は認定トライということでパスして、今来た道を戻り、今度は西尾根に向かう。
西尾根を少し下ると、途中のca1170m付近に尾根が藤切谷側に小さく突きだした場所があって、
ここが西尾根の大展望地だ。
ここからは眼下に藤切谷源流域、正面は杉峠からイブネ、タイジョウ、カクレグラの稜線、
その先は湖東平野と太郎坊さんのある箕作山、繖山。
広い琵琶湖の向こうには比良連山。
北にはツンと尖った天狗堂、御池岳、霊仙山、伊吹山。
三重県側には釈迦ヶ岳と伊勢平野という大展望が楽しめる。
ここて昼メシ。
ああ、極楽じゃ。
■■■雨乞岳の西尾根を下る■■■
食後は、続けて西尾根を下る。
足元は短い笹で、公園の中のようだ。
好展望の場所はあちこちにあって、ここでは真西尾根越しに、
清水の頭~イハイガ岳~綿向山の稜線の大パノラマが見られる。
笹原が途切れて雑木林に入ると、左下の谷間に炭焼窯跡の残る小さなコバが現れる。
以前は三本の杉が目印だったのだが、全部枯れてしまった。
ここには、秘境「雨乞岳のヘソ」から流れ出る水が集まる、いい水場もある。
さらに下ると、左手に崩壊地が出てくるが、
この先が、この尾根を下りにとる時の唯一の要注意点になる。
ボーッとして下っていると、右(北)へ弧を描く尾根に誘われてしまうが、
ここは崩壊地の端ca980mで、崩壊地の中に入るように続く尾根を直進(西進)するのがポイント。
誘われる尾根をそのまま下ってしまっても千草街道に出られるけど、
急斜面があってちょっと難儀。
さらに西尾根を下って行くと、
途中のca860mで一ノ谷の中に降りるように、左手の小尾根に左折する。
小尾根は一ノ谷の中で台地になり、そのまま谷に沿って下っていくと奥ノ畑谷に着く。
今朝休憩した奥ノ畑最初の渡渉点で、再び休憩。
静寂の時間を過ごして出発したら、この時間にまさかの青年がひとり奥ノ畑谷に入ってきた。
軽く挨拶してすれ違う。
トレランのような格好だったが、今からどこまで行くのかな?
千草街道に出ると、塩津の木橋の上にマウンテンバイクが一台止めてあったので、
きっと彼のものだろう。
手摺りもない橋の上で、ちょっと押したら川の中へ転落してしまう場所だけど、
なんでこんなところに止めたのか意味不明。
再び桜地蔵に無事帰還の挨拶をして、千草街道を淡々と戻る。
今回のルートは、真西尾根は当然だと思うが、
意外だったのは、まあまあ使われているはずの西尾根にも、
マーキングテープの類はただの一本も目にしなかったので、大いに気持ちよく歩けた。
きっと篤志家が清掃してくれた直後なのだろうか。
いい一日だった。
洞吹(どうすい)
【山域山名】 鈴鹿/ 雨乞岳 (滋賀県東近江市)
【地形図】(1/25000)日野東部、御在所山
【メンバー】 単独
【天 候】 曇りのち晴れ
【ルート】 鳴野橋8:00---奥ノ畑谷入口渡渉点9:20/9:25---真西尾根取り付き10:10
---ca1030m真西尾根展望地11:25/11:35---西尾根稜線合流12:45
---ca1170m西尾根展望地12:55/13:35---三本杉水場13:45/13:55---一ノ谷の台地14:30/14:35
---一ノ谷出合15:00---奥ノ畑谷入口渡渉点15:05/15:15---鳴野橋16:25
今回の山は、滋賀県東近江市甲津畑の奥、鳴野橋から千草街道を経て、
奥ノ畑谷から雨乞岳の真西尾根を登って西尾根を下ってくる、雨乞岳西面の周回コースです。
雨乞岳は休日ともなると登山者が行き交う賑わいの山だが、
今回の奥ノ畑谷から雨乞岳西面の直登ルートは、誰一人としていないエアーポケットのような静けさ。
ワシらがバイブルにしていた西尾氏の「鈴鹿の山と谷」にもほとんど記述の無い地域だが、
随所での好展望と、鈴鹿の山の素晴らしさを存分に味わえるルートだ。
当日の晴天かつ低めの気温も快適で、どっぷりと山の精気に浸ることができた一日でした。
それから、今回レポートの「どうでもええ指数」は約5%と、
ワシにしては珍しく、純正山行レポートに近いガイド風味の構成なので、
そのスジの話しを期待される向きには物足りないかもしれませんが、ご容赦いただきたい。
■■■鳴野橋から奥ノ畑谷へ■■■
さすがはオンシーズンの日曜日。
鳴野橋のたもとはぎっしりと12台が駐車して満車状態なので、少し戻った路肩にクルマを止めた。
三重県側の湯の山~武平峠や朝明などの登山口に比べれば混雑度は雲泥の差だが、
普段の鳴野橋からすると、えらい混んでるなあという印象だ。
10人ほどの団体さんが出発したあと、静けさを取り戻した千草街道を辿る。
タイジョウ、イブネ、雨乞岳などの山へ入るとき、
千草街道を歩くこの1時間は、適度なウォーミングアップであり、格好の思索の時間でもあった。
昔から、その時間が大好きだ。
いつものように桜地蔵にお参りしていく。
お供えのミニようかんを買い忘れたので、代わりに非常食用のチョコレートを一粒お供えした。
塩津の小屋の手前で、奥ノ畑谷へ続く道に入る。
喉のような狭い谷間を高巻き道で抜けると、突然目の前に広がる静寂の台地。
とたんに、まわりの空気が変わったような気がした。
ここは別世界への入口?
最初の渡渉点で一息入れる。
水流にキラキラと反射する陽光、シャラシャラと流れる瀬音、そして小鳥の囀りが心地よい。
■■■雨乞岳の真西尾根を登る■■■
ここで、雨乞岳の「真西尾根」と「西尾根」の名称について、少し説明しておきたい。
雨乞岳の山頂から西面に延びる尾根は、大きく分けるとふたつあって、
ひとつは、千草街道のある藤切谷本流と、奥ノ畑谷の右岸第一支流「一ノ谷」に挟まれた尾根で、
山頂からの方角は西北西方向だ。
もうひとつは一ノ谷と奥ノ畑谷本流に挟まれた1048m標高点のある尾根で、
山頂からの方角は西方向だ。
最初、前者の尾根が「雨乞岳西尾根」として、
私家版のような鈴鹿ガイドブックや、ハイキングクラブの会報誌で紹介されたようだが、
その後、ワシが後者の尾根を呼ぶにあたり、
「西尾根」はもう使えないので「真西尾根」と呼んできたもので、公式な名称ではない。
奥ノ畑谷の最初の台地をブラブラと歩き、
その先で本流をもう一度渡って、奥にある右岸台地へと進む。
右岸の第4支流を渡り、左手に見える細尾根の末端に取り付いた。
真西尾根は末端でいくつもの尾根に枝分かれしているが、
これはその中でも純正真西尾根と言える尾根だ。
最初はヤセ尾根と岩場の尾根が続くアスレチツクのような尾根だが、
立木ホールドがいっぱいあるので、危なくはない。
ca1000mで北東からの支尾根と合わさると、ゆったりと広がる尾根になる。
そして少し先で南斜面に崩壊地が現れる。
なぜか、この周りだけがいいブナ林になっているが、ここが真西尾根の展望地だ。
眼前に奥ノ畑谷の源流を挟んで、対岸に大きく横たわる清水の頭。
その右に目を向けると、イハイガ岳、綿向北峰と続く稜線の先に、
大きく聳える綿向山までが一望できる。
以前は、ここに昼メシを食べにだけ来たことも多いが、今日の昼メシ場所はまだ先だ。
1048m標高点を過ぎると、雨乞岳頂稜部へ最後の登りとなる。
足元は草付きの斜面になるが、直登は急傾斜過ぎるので、
トラバースして左に見える小尾根に乗り換える。
その向こうの谷は、かの秘境「雨乞岳のヘソ」がある谷間だ。
小さなコバを過ぎると、ヒザ丈の笹原の斜面を易々と登っていく。
シカの道が縦横に走るこの斜面は、昔はやっと首が出るくらいの笹の海だったのがウソのようだ。
傾斜がなくなると、突然西尾根の道に飛び出す。
少し右に、山頂が見えるところまで進み、引き返す。
あと150mほど進めば雨乞岳だが、山頂に用はない。
久し振りに言うたな。「山頂に用はない!」て。
このところ、山頂に用があるのに辿りつけんかったことが多いからなあ。
また昔の話しで恐縮だが、当時ここは背丈を超す笹の海で、
山頂がどちらにあるのかわからないし、密生した笹原に突入すると足が全く地面に着かず、
笹の茎に乗って笹を掻き分けながら宙を前進する、
いわゆる「空中戦」状態で悪戦苦闘した、ある意味、楽しい思い出があるところだ。
■■■昼メシは大展望地で■■■
雨乞岳山頂は認定トライということでパスして、今来た道を戻り、今度は西尾根に向かう。
西尾根を少し下ると、途中のca1170m付近に尾根が藤切谷側に小さく突きだした場所があって、
ここが西尾根の大展望地だ。
ここからは眼下に藤切谷源流域、正面は杉峠からイブネ、タイジョウ、カクレグラの稜線、
その先は湖東平野と太郎坊さんのある箕作山、繖山。
広い琵琶湖の向こうには比良連山。
北にはツンと尖った天狗堂、御池岳、霊仙山、伊吹山。
三重県側には釈迦ヶ岳と伊勢平野という大展望が楽しめる。
ここて昼メシ。
ああ、極楽じゃ。
■■■雨乞岳の西尾根を下る■■■
食後は、続けて西尾根を下る。
足元は短い笹で、公園の中のようだ。
好展望の場所はあちこちにあって、ここでは真西尾根越しに、
清水の頭~イハイガ岳~綿向山の稜線の大パノラマが見られる。
笹原が途切れて雑木林に入ると、左下の谷間に炭焼窯跡の残る小さなコバが現れる。
以前は三本の杉が目印だったのだが、全部枯れてしまった。
ここには、秘境「雨乞岳のヘソ」から流れ出る水が集まる、いい水場もある。
さらに下ると、左手に崩壊地が出てくるが、
この先が、この尾根を下りにとる時の唯一の要注意点になる。
ボーッとして下っていると、右(北)へ弧を描く尾根に誘われてしまうが、
ここは崩壊地の端ca980mで、崩壊地の中に入るように続く尾根を直進(西進)するのがポイント。
誘われる尾根をそのまま下ってしまっても千草街道に出られるけど、
急斜面があってちょっと難儀。
さらに西尾根を下って行くと、
途中のca860mで一ノ谷の中に降りるように、左手の小尾根に左折する。
小尾根は一ノ谷の中で台地になり、そのまま谷に沿って下っていくと奥ノ畑谷に着く。
今朝休憩した奥ノ畑最初の渡渉点で、再び休憩。
静寂の時間を過ごして出発したら、この時間にまさかの青年がひとり奥ノ畑谷に入ってきた。
軽く挨拶してすれ違う。
トレランのような格好だったが、今からどこまで行くのかな?
千草街道に出ると、塩津の木橋の上にマウンテンバイクが一台止めてあったので、
きっと彼のものだろう。
手摺りもない橋の上で、ちょっと押したら川の中へ転落してしまう場所だけど、
なんでこんなところに止めたのか意味不明。
再び桜地蔵に無事帰還の挨拶をして、千草街道を淡々と戻る。
今回のルートは、真西尾根は当然だと思うが、
意外だったのは、まあまあ使われているはずの西尾根にも、
マーキングテープの類はただの一本も目にしなかったので、大いに気持ちよく歩けた。
きっと篤志家が清掃してくれた直後なのだろうか。
いい一日だった。
洞吹(どうすい)