槍穂とオリオンの星空劇場~ 紅葉と星空そして訓練山行 ~
Posted: 2017年9月29日(金) 23:10
~ 紅葉と星空そして訓練山行 ~ 【年月日】 2017/09/24~26
【北ア】 新穂高~鏡平~笠ヶ岳~新穂高
【コースタイム】①新穂高P5:55-わさび平小屋7:45/8:20-秩父沢10:15-
シシウド原12:00/12:30-鏡平山荘13:50
②鏡平山荘7:30-弓折乗越8:50/9:05-大ノマ乗越9:57-
大ノマ岳10:50-尾根先端11:00/12:00-秩父平12:26-
笠新道分岐14:30-笠ヶ岳山荘16:00
③笠ヶ岳山荘6:45-笠ヶ岳7:00/7:50-新道分岐9:48-
杓子平11:30/12:30-左俣林道16:50-P18:16
三食山小屋利用で軽量化を図ったつもりだった。
ザックが8キロ弱、カメラ類が2キロ強の約10キロを背負って肌寒い中を歩き出した。
わさび平小屋で早くも長い休憩 朝食を出発前にとっ意味がない。
林道から秩父沢の登山道へはいるといきなり強烈な日射しが背中を焦がした。
ベースのシャツ一枚になっても汗が止まらない。
このルートの好天時の暑さは経験済みだったが、この時期のアルプスだからとお天道様をなめていた。
この暑さ、小屋に着くまでヒートアップしたままだった。
しかもこの数年、10キロ以上の荷物を担いだことがない。
ここで無理をして持病の腰や膝を痛めては元も子もない。
信じられないくらい歩幅を小さくとり、お笑いぐさの遅さで歩を進める。
紅葉はそこそこ 何とか小屋に辿り着いて生ビールを飲んだら元気が出てきた。
雲間の槍はすぐに隠れてしまった。 10数年前、ここを通った時、
「景色はええけど、中途半端な距離にある小屋、年老いたらここまでゆっくり歩いて泊まろう」
と思ったその年になってしまったとはまだ思いたくはない。現実はそうなった。
さて、本番は夜、消灯後静かに起き出し、テラスへの木道を歩いてると「写真撮ってます~」との声、
ヘッデンを消してそろりそろりと近づいた。
声の主はニコンのフルサイズ一眼レフで長時間露光撮影をしているとのこと。
週刊ヤマケイの絵を撮っているとの話 星の撮影談義に花が咲く。
満天の星空、槍穂のシルエットそれらが鏡のような水面に写る。
槍の頭上には「すばる」そうあの 我~はゆく 青白き頬のままで~ の昴
その下方には「ヒアデス星団」そうあの??牡牛座の一等星アルデバランを含むV字型の星団
槍の肩には小屋の灯りだろうか二つの光
そうこうしているうちに本命 オリオンが昇ってきた。
登山道の下方から光があがってくる。深夜0時ヘッデンが登ってきた。いや、ヘッデンを点けた若者だ。
聞くと「水晶まで日帰りで!!」とのこと。
日帰りって、ま、夜行日帰りか しばらくして振り向くと弓折の斜面に動く一点の光が見えた。
もう、あそこまで登ったんかいなぁ!!
オリオンは槍から中岳の稜線を右へ斜上して昇っている。
写真のできはともかくこの光景を見ただけで十二分に満足して小屋に戻った。 槍の肩から出るお天道様を拝んで小屋を後にした。
今日も快晴だ。昨日同様シャツ一枚汗だく歩行となった。
弓折からは稜線漫歩と思いきや結構なアップダウンがあり、予想以上の長さだった。
アルプスの山並みを見ながら暑い陽射し、涼やかな風を体一杯に受け、苦しいながらも気持ちのいい稜線歩きだった。
午後4時きっかり、山荘に着いたら「山~♪山、山♪~」とギターを弾きながら歌い上げる青年の歌声に元気づけられた。
ここ笠ヶ岳山荘は小屋の正面から槍穂の稜線が一望だ。
月は沈んでいるし、標高が高い割には星の数が多くはない気がする。
時折、北穂と涸沢岳のあたりで大きな光が何かの爆発のように光線を放っている。
ここからは中岳から北穂の稜線にオリオンが昇ってきた。
日の出はパスして朝食をとり、頂上へと向かった。
右下方に雲海の街は飛騨高山、その向こうには白山がくっきりと見えた。
正面は焼岳、乗鞍、御岳その奥は中央アルプスの山並みと妙高、火打だ。
眼前の槍穂から北方に目をやると北アの名峰が居並ぶ。
奥に並んだ鋭峰とどっしりした山塊は?・・・
立山、剣だ。
誰もいなくなった頂上で展望を楽しんだ。 帰りのルートはクリヤ谷道より少しは楽そうで杓子平でのゆっくりランチをもくろんで笠新道とした。
眺望の素晴らしさは申し分なく、杓子平の末端広場で予定通りゆったりランチとした。
キャンプ禁止の看板通り、有名大混雑カールよりここにテン泊すれば至福の夜を過ごせるだろう。
ささやかながらコーヒータイムを楽しんで新道の下りにかかった。 ストックに重心をかけ、小刻みにそしてゆっくりと歩を進める。
笑えるどころか他人が見れば「どこかお悪いのですか」と聞かれても不思議はないくらいヨタヨタ歩きだ。
あまりに遅いので杓子平の上部ですれ違った日帰りの人たちに追いつかれて先を譲る。
それにしても、この笠新道から笠ヶ岳、日帰り往復の人たちがたくさんおられた。
コースタイムで往復約16時間、軽荷でほぼ休憩なしでももう無理だろう。
これだけ歩ければ行動範囲も広がり山行計画も楽しいだろうに・・・
何とか故障もなくくだりきった新穂高観光センターは夕闇が迫り、誰もいなかった。
駐車場への小径でヘッデンを点け、紅葉の山並みと槍穂のシルエットに瞬く星たちを
反芻した。
歩行訓練と言いながら、本番山行はまだまだ続く。
では また 星降る○○の稜線で
SHIGEKI