【若狭】カマノ谷からヤンゲン谷左岸尾根
Posted: 2017年6月21日(水) 21:44
【日 付】2017年6月18日(日)
【山 域】若狭 大谷山周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】ボンカ谷出合8:27---9:18カマノ谷二俣---10:27割谷の頭11:42---11:55寒風---12:23大谷山---12:48ヤンゲン谷左岸尾根分岐13:48
---14:35トチノキ谷出合---14:48駐車地
今シーズン初の沢に選んだのは若狭美浜の山。懸案のまま残っていた粟柄谷支流のカマノ谷だ。ただあまりにも短いので、隣のヤン
ゲン谷とセットで片付けてしまおうという算段である。一旦下るために使う尾根も以前から目を付けていた尾根で、最後の下りも未踏
のスギヤ谷という、実に意欲的なプランだった。計画段階では・・・
[attachment=7]P6180006_1_1.JPG[/attachment] 美浜の山ではスタート地点の標高が100mに満たないこともしばしばである。よって、900m足らずの山でもそこそこの標高差を登る
ことになる。しかし今日の出発点はすでに500mを超えている。稜線までの標高差はわずかに300m強しかない。それもあって2本まとめ
てというプランを立てたのだ。
落石だらけの粟柄林道を進み、ポンカ谷の林道出合に駐車。次に出合うトチノキ谷の林道に入る。
まずはヤンゲン谷から片付けようと、適当なところで流れに下りた。
トチノキ谷は名前の通り、トチの木が多く雰囲気のある谷だ。支流に入ってしばらくは凡流が続く。ちょっと滝らしい滝が出てき
たが、フルシャワーでないと登れそうもない。体はまだ沢モードではなく、涼しいのでヒザから上を濡らすのは避けたい。
と思っていたら、なんでもない所で滑って仰向けにひっくり返る。ヒザどころかお尻がずぶ濡れである。やれやれ。
水の中に変わった模様の岩があった。よく見ると足が生えている。子鹿の死骸だった。水の飲みに来て誤って溺れたのか、斜面から
転落してきたのかわからないがこれも自然の摂理。可哀想だが仕方がない。
[attachment=6]P6180021_1.JPG[/attachment]
と、目の間にデジャヴのある大きな滝が・・・。これはカマノ谷の大滝ではないか。写真で何度も見てハッキリと頭に焼き付いてい
たのだ。ヤンゲン谷のつもりがカマノ谷へ入ってしまったようである。まあ、順番が変わっただけで同じことだ。
10mあまりの滝は一直線に水を落として美しい。
この滝は登れないので左のルンゼを上がるとうまい具合に落ち口へ続くラインを見つけられた。落ち口にドンピシャの省エネ巻きで
ある。
いくつかの小さな滝を過ぎると谷は何事もなかったかのように平流となり、二俣を迎えた。この二俣近辺はゆったりとした河岸台地
に小川がサラサラと流れる別天地だ。どちらかというと、この景色を見たいがためにこの谷を選んだようなものなのだ。
右俣は大谷山と寒風の鞍部へ伸びるおおらかな谷だ。地形図で見ても魅力的で心惹かれたが、ここは割谷の頭へ突き上げる左俣を選択
した。
[attachment=5]P6180039_1.JPG[/attachment]
二俣からどこまでもゆるゆると続く谷の林相はブナが主体となってきた。通常は谷筋にはトチやサワグルミが目立ち、ブナは斜面高
くか尾根に立つものを遠望するパターンなのだが、ここでは珍しくブナが水際まで下りてきている。
やがて谷はV字に深く刻まれ始めた。そして黒い滝が行く手を阻む。岩はいかにも脆そうで、ホールドになりそうな出っ張りを引いて
みるとグラグラと動く。ここは少し戻って右岸の小尾根状を巻きにかかったが、結局谷に復帰するポイントを見つけられずに尾根まで
追い上げられてしまった。
この尾根も最初はブナで良かったのだが、途中からスギの放置植林みたいなヤブでげっそり。
859m標高点の割谷の頭に着く頃にはもう1本というモチベーションもすっかり失せてしまった。
時間は早過ぎるぐらいだがメシにしよう。林床にイワウチワが敷き詰められたブナの森は、ロケーションだけは文句の付けようがない。
[attachment=4]P6180071_1.JPG[/attachment]
しかしあの場所に車を止めたばかりに、行動の選択肢が極端に狭まってしまった。さて、どうするか。
とりあえずすぐそこの寒風のピークへ向かおう。寒風手前のお気に入りのブナ林を散策して潅木を抜けると景色が一変する。
これまでの樹林から展望の草原へ、ドラマチックな展開である。
寒風では2組のパーティーがお食事中だった。目の前には琵琶湖の大観が広がっているが、曇り空で湖東方面は霞んでいる。
[attachment=0]パノラマ1_1_1.jpg[/attachment]
大谷山へ向かって高島トレイルと呼ばれる縦走路を歩く。この稜線はほとんどが草原状の植生で展望は抜群なのだが、それと引き換
えに日陰がなく夏は暑くてたまらない。今日は曇り空と風のおかげで暑さを感じることもないのがありがたい。
大谷山からはちょっと気になっていたヤンゲン谷左岸尾根を下りることにしよう。
山頂から4つ目の小ピークの手前でまたも突如植生が変わる。これまでの草原+潅木帯からブナの森への劇的な変化。これは寒風のピー
クでも言えるのだが、どういう要因でこれほど極端な植生の変化が起こるのだろうか。
[attachment=1]P6180110_1.JPG[/attachment]
高島トレイルはブナ林の中で90度左折する。目指す尾根は直進方向の広い尾根から左に分岐するのだが、このあたりの微妙な地形と
一面のブナの森はなかなかいい。
時間が余っているのでブナ林で昼寝とシャレ込むか。
今日はこの季節の必需品である蚊取線香を忘れてしまったが、涼しいせいかそれほどまとわりつかれないのが救いである。
トレイルと別れてヤンゲン谷左岸尾根を進む。これが大正解だった。それほど大きな期待はしていなかったのだが、この山域でも上
位に入るであろうブナ林が続いていた。そこそこの大木もあり、下生えのないスッキリとした尾根は実に素晴らしく、左右の谷川斜面
の佇まいも言うこと無し。耳川流域の山の大抵のところは知っているつもりだったが、まだまだ勉強が足りないということだろう。
[attachment=3]P6180109_1.JPG[/attachment][attachment=2]P6180115_1.JPG[/attachment]
最後までスッキリとはいかないものの、Ca640mピークとの鞍部まで難なく下ることができた。
見上げるピークは二つの谷に囲まれて半島のように突き出していて面白い形をしている。意外にも自然林に覆われているようで食指が
動いたが、またの機会にしよう。
トチノキ谷へ下る小谷を進む。この谷は滝もなく、それとなく踏み跡もあり問題なく下れた。
本流との合流点だけは落差があり、左から巻いて着地。対岸の高みに見える林道へ上がるために少し上流へ行くと、そこに本物のヤン
ゲン谷の出合があった。
山日和
【山 域】若狭 大谷山周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】ボンカ谷出合8:27---9:18カマノ谷二俣---10:27割谷の頭11:42---11:55寒風---12:23大谷山---12:48ヤンゲン谷左岸尾根分岐13:48
---14:35トチノキ谷出合---14:48駐車地
今シーズン初の沢に選んだのは若狭美浜の山。懸案のまま残っていた粟柄谷支流のカマノ谷だ。ただあまりにも短いので、隣のヤン
ゲン谷とセットで片付けてしまおうという算段である。一旦下るために使う尾根も以前から目を付けていた尾根で、最後の下りも未踏
のスギヤ谷という、実に意欲的なプランだった。計画段階では・・・
[attachment=7]P6180006_1_1.JPG[/attachment] 美浜の山ではスタート地点の標高が100mに満たないこともしばしばである。よって、900m足らずの山でもそこそこの標高差を登る
ことになる。しかし今日の出発点はすでに500mを超えている。稜線までの標高差はわずかに300m強しかない。それもあって2本まとめ
てというプランを立てたのだ。
落石だらけの粟柄林道を進み、ポンカ谷の林道出合に駐車。次に出合うトチノキ谷の林道に入る。
まずはヤンゲン谷から片付けようと、適当なところで流れに下りた。
トチノキ谷は名前の通り、トチの木が多く雰囲気のある谷だ。支流に入ってしばらくは凡流が続く。ちょっと滝らしい滝が出てき
たが、フルシャワーでないと登れそうもない。体はまだ沢モードではなく、涼しいのでヒザから上を濡らすのは避けたい。
と思っていたら、なんでもない所で滑って仰向けにひっくり返る。ヒザどころかお尻がずぶ濡れである。やれやれ。
水の中に変わった模様の岩があった。よく見ると足が生えている。子鹿の死骸だった。水の飲みに来て誤って溺れたのか、斜面から
転落してきたのかわからないがこれも自然の摂理。可哀想だが仕方がない。
[attachment=6]P6180021_1.JPG[/attachment]
と、目の間にデジャヴのある大きな滝が・・・。これはカマノ谷の大滝ではないか。写真で何度も見てハッキリと頭に焼き付いてい
たのだ。ヤンゲン谷のつもりがカマノ谷へ入ってしまったようである。まあ、順番が変わっただけで同じことだ。
10mあまりの滝は一直線に水を落として美しい。
この滝は登れないので左のルンゼを上がるとうまい具合に落ち口へ続くラインを見つけられた。落ち口にドンピシャの省エネ巻きで
ある。
いくつかの小さな滝を過ぎると谷は何事もなかったかのように平流となり、二俣を迎えた。この二俣近辺はゆったりとした河岸台地
に小川がサラサラと流れる別天地だ。どちらかというと、この景色を見たいがためにこの谷を選んだようなものなのだ。
右俣は大谷山と寒風の鞍部へ伸びるおおらかな谷だ。地形図で見ても魅力的で心惹かれたが、ここは割谷の頭へ突き上げる左俣を選択
した。
[attachment=5]P6180039_1.JPG[/attachment]
二俣からどこまでもゆるゆると続く谷の林相はブナが主体となってきた。通常は谷筋にはトチやサワグルミが目立ち、ブナは斜面高
くか尾根に立つものを遠望するパターンなのだが、ここでは珍しくブナが水際まで下りてきている。
やがて谷はV字に深く刻まれ始めた。そして黒い滝が行く手を阻む。岩はいかにも脆そうで、ホールドになりそうな出っ張りを引いて
みるとグラグラと動く。ここは少し戻って右岸の小尾根状を巻きにかかったが、結局谷に復帰するポイントを見つけられずに尾根まで
追い上げられてしまった。
この尾根も最初はブナで良かったのだが、途中からスギの放置植林みたいなヤブでげっそり。
859m標高点の割谷の頭に着く頃にはもう1本というモチベーションもすっかり失せてしまった。
時間は早過ぎるぐらいだがメシにしよう。林床にイワウチワが敷き詰められたブナの森は、ロケーションだけは文句の付けようがない。
[attachment=4]P6180071_1.JPG[/attachment]
しかしあの場所に車を止めたばかりに、行動の選択肢が極端に狭まってしまった。さて、どうするか。
とりあえずすぐそこの寒風のピークへ向かおう。寒風手前のお気に入りのブナ林を散策して潅木を抜けると景色が一変する。
これまでの樹林から展望の草原へ、ドラマチックな展開である。
寒風では2組のパーティーがお食事中だった。目の前には琵琶湖の大観が広がっているが、曇り空で湖東方面は霞んでいる。
[attachment=0]パノラマ1_1_1.jpg[/attachment]
大谷山へ向かって高島トレイルと呼ばれる縦走路を歩く。この稜線はほとんどが草原状の植生で展望は抜群なのだが、それと引き換
えに日陰がなく夏は暑くてたまらない。今日は曇り空と風のおかげで暑さを感じることもないのがありがたい。
大谷山からはちょっと気になっていたヤンゲン谷左岸尾根を下りることにしよう。
山頂から4つ目の小ピークの手前でまたも突如植生が変わる。これまでの草原+潅木帯からブナの森への劇的な変化。これは寒風のピー
クでも言えるのだが、どういう要因でこれほど極端な植生の変化が起こるのだろうか。
[attachment=1]P6180110_1.JPG[/attachment]
高島トレイルはブナ林の中で90度左折する。目指す尾根は直進方向の広い尾根から左に分岐するのだが、このあたりの微妙な地形と
一面のブナの森はなかなかいい。
時間が余っているのでブナ林で昼寝とシャレ込むか。
今日はこの季節の必需品である蚊取線香を忘れてしまったが、涼しいせいかそれほどまとわりつかれないのが救いである。
トレイルと別れてヤンゲン谷左岸尾根を進む。これが大正解だった。それほど大きな期待はしていなかったのだが、この山域でも上
位に入るであろうブナ林が続いていた。そこそこの大木もあり、下生えのないスッキリとした尾根は実に素晴らしく、左右の谷川斜面
の佇まいも言うこと無し。耳川流域の山の大抵のところは知っているつもりだったが、まだまだ勉強が足りないということだろう。
[attachment=3]P6180109_1.JPG[/attachment][attachment=2]P6180115_1.JPG[/attachment]
最後までスッキリとはいかないものの、Ca640mピークとの鞍部まで難なく下ることができた。
見上げるピークは二つの谷に囲まれて半島のように突き出していて面白い形をしている。意外にも自然林に覆われているようで食指が
動いたが、またの機会にしよう。
トチノキ谷へ下る小谷を進む。この谷は滝もなく、それとなく踏み跡もあり問題なく下れた。
本流との合流点だけは落差があり、左から巻いて着地。対岸の高みに見える林道へ上がるために少し上流へ行くと、そこに本物のヤン
ゲン谷の出合があった。
山日和