【南紀】新規ルート開拓に胸躍る 内鹿野谷遡行
Posted: 2017年3月27日(月) 17:44
【日 付】2017年3月25日(土)
【山 域】南紀
【コース】水車小屋駐車地8:20---11:45一ツ落滝------12:15栂ノ戸滝---15:30口高田会館
【メンバー】斉藤さん、michi、シュークリーム、Ks、わりばし
沢登りは、滝に対してどうアプローチするかによって難易度がかわってくる。登るのか、落ち口に向かって巻いていくのか大巻きするかによって大きく違ってくる。内鹿野谷の核心部には一ツ落滝と栂ノ戸滝という二つの滝がありこの滝をどう処理するかによって遡行自体が変わってくる。
今回は1年前に鎌ヶ岳の中ノ谷を一緒に登った5人組で、気心が知れたメンバーだ。雲取温泉を右折して水車小屋の駐車地に集合。1台を下山する口高田の公民館に駐車し出発する。左岸に「出合ノ滝」に通じる遊歩道の看板がありここを歩く。途中に石積みのたくさんある集落跡があったのでこの集落の杣道を整備し直して遊歩道にしている。途中にズリ岩という明治時代に岩の表面がはがれて垂直にずり落ちでそのまま立った状態で残っている岩があった。この谷はズリ岩が示すように花崗岩で出来ており岩に縦割れが起きやすく落石も多そうだ。
ズリ岩で右岸にわたり郷尽谷をすぎ昔の橋げたの上に鉄骨が乗った橋脚の橋を渡り再び左岸に移る。遊歩道を歩きナマズ口の滝と書かれた3m滝から入渓、ここまで遊歩道で1時間弱で来ることが出来る。この奥にナマズ口の滝15mが見え、一枚岩のスラブの斜面を幅広に水が流れる南紀らしい滝だ。通常「これより立入禁止」と書かれた地点から右のバンドを使うようだが、斉藤さんの提案で滝の右の灌木地帯から落ち口に向かって進む。落ち口に乗り越す地点で念のためザイルを出した。落ち口の上部には何やら太いロープが垂れており、巻き道のバンドも途中で切れていて怪しいロープで下りろということらしい。巻き道より今回の灌木ルートの方が安全だと思う。
[attachment=4]IMG_1819.jpg[/attachment]
ナメ床を歩くと右岸から水越谷が入り谷が左に曲がると出合ノ滝15mで、スラブ滝が右側に傾斜したような感じだ。ここも右の灌木地帯を上る。落ち口横には下からはツタのように見えたロープがつけてあるが、これを使わずに上る。
[attachment=3]IMG_1823.jpg[/attachment]
再びナメ床を歩き左岸の枝沢の10m滝を見送ると7m滝で、その奥に一ツ落滝の巨大な姿が木々の間から垣間見える。7m滝は右手のルンゼから巻くがカンス渕を持つ3m斜瀑も一緒に巻かされた。一ツ落滝35mは、岩タイプのポケモンのようにゴツゴツした岩肌に水が流れ落ち、水流が大釜を作り上げ迫力満点だ。
[attachment=2]IMG_1826.jpg[/attachment]
巻きは左岸のルンゼから取り付く。途中から落ち口めざしてトラバースしていくのだが、このポイントが大切になってくる。高巻きしすぎると栂ノ戸滝もろとも巻かされたり、落ち口まで懸垂下降を強いられることになる。巻きのふみ跡が続くものの途中から薄い落ち口方面のふみ跡を選択する。ザイルを出しトラバースしていくが、ほとんど垂直な壁を木の根たよりのモンキークライムで、ようやく30mザイル2ピッチで落ち口の上部に出た。michiさんはキジ撃ちのため早々に落ち口へ。michiさんの指示で念のためにザイルをつかみながら降りたが、ドンピシャと言っていいだろう。
[attachment=1]IMG_1828.jpg[/attachment]
栂ノ戸滝は急傾斜な巨大な段を流れ落ちる30m滝でやさしげな感じがする。とはいうものの周りは壁に囲まれていてどこから逃げるかだ。通常は右手のクラックからルンゼを上るようだが、確実に濡れてしまう。この時期に濡れるのはいやなので、記録を見たことのない左手のルンゼから巻くことにする。
[attachment=0]IMG_1830.jpg[/attachment]
ルンゼを上り落ち口に向けて灌木帯を上っていくと左手には大きなスラブ壁でトラバース出来るのはここしかない。壁が立ってきたのでザイルを出す。一ツ落滝のトラバースと同様、垂直の壁の木の根たよりのモンキークライムで1ピッチ。ここでバックアップを取っていなかったために登行器を落としてしまう。なにせ垂直に近い崖で、あきらめるしかないだろうと思っていたのだが、Ksさんやシュークリームさんに協力してもらって奇跡的に回収できた。お世話かけました。ここからは傾斜もゆるみ鹿のウンコにふみ跡も出てきたので進むと落ち口の上に着き、懸垂下降で下りた。これで栂ノ戸滝の右岸巻きの完了で、新規ルートにトライしてドンピシャで目的地に到達できたのには感慨深いものがあった。
対岸の左岸には滝を越えるように石垣道がついていたが、途中で落ちていた。しばらく進むと左岸の上部に石垣道が見えるので確認にいくと口高田集落の水源からつながる導水管の置かれた自然観察歩道だった。川床で昼食をとるとのことだったので下りようとしたら、50cm強四方の大岩が3つ落ちてきた。やばいと思い急斜面を走るが追いつかれそうだ。追いつかれると思った瞬間にジャンプし片足が下降中の岩の上部に当たっただけで事なきを得た。
昼食を取り、自然観察歩道と言われる石垣道を下りる。とんでもない場所に石垣を作り岩を削りながら緩やかにな傾斜で作ってある。これは戦前の木馬道で、この道を使って導水管を設置したのだ。そのため今でもそこそこ整備されており快適な道だ。最後は林道終点につながり駐車地の口高田会館の上部に出た。
今回の遡行はしびれるルートどりで、新規ルートの開拓と胸躍るものだった。これまでの沢登りで一番印象的な遡行だった。そして、全員が充実感に満ちていたように思う。個人的には人の痕跡の残る滝越えの石垣道が残り、木馬道を下山ルートとして使う山域での遡行だけに充分満足させてもらった。一人では出来ない経験をさせてくれた皆さんありがとうございました。
【山 域】南紀
【コース】水車小屋駐車地8:20---11:45一ツ落滝------12:15栂ノ戸滝---15:30口高田会館
【メンバー】斉藤さん、michi、シュークリーム、Ks、わりばし
沢登りは、滝に対してどうアプローチするかによって難易度がかわってくる。登るのか、落ち口に向かって巻いていくのか大巻きするかによって大きく違ってくる。内鹿野谷の核心部には一ツ落滝と栂ノ戸滝という二つの滝がありこの滝をどう処理するかによって遡行自体が変わってくる。
今回は1年前に鎌ヶ岳の中ノ谷を一緒に登った5人組で、気心が知れたメンバーだ。雲取温泉を右折して水車小屋の駐車地に集合。1台を下山する口高田の公民館に駐車し出発する。左岸に「出合ノ滝」に通じる遊歩道の看板がありここを歩く。途中に石積みのたくさんある集落跡があったのでこの集落の杣道を整備し直して遊歩道にしている。途中にズリ岩という明治時代に岩の表面がはがれて垂直にずり落ちでそのまま立った状態で残っている岩があった。この谷はズリ岩が示すように花崗岩で出来ており岩に縦割れが起きやすく落石も多そうだ。
ズリ岩で右岸にわたり郷尽谷をすぎ昔の橋げたの上に鉄骨が乗った橋脚の橋を渡り再び左岸に移る。遊歩道を歩きナマズ口の滝と書かれた3m滝から入渓、ここまで遊歩道で1時間弱で来ることが出来る。この奥にナマズ口の滝15mが見え、一枚岩のスラブの斜面を幅広に水が流れる南紀らしい滝だ。通常「これより立入禁止」と書かれた地点から右のバンドを使うようだが、斉藤さんの提案で滝の右の灌木地帯から落ち口に向かって進む。落ち口に乗り越す地点で念のためザイルを出した。落ち口の上部には何やら太いロープが垂れており、巻き道のバンドも途中で切れていて怪しいロープで下りろということらしい。巻き道より今回の灌木ルートの方が安全だと思う。
[attachment=4]IMG_1819.jpg[/attachment]
ナメ床を歩くと右岸から水越谷が入り谷が左に曲がると出合ノ滝15mで、スラブ滝が右側に傾斜したような感じだ。ここも右の灌木地帯を上る。落ち口横には下からはツタのように見えたロープがつけてあるが、これを使わずに上る。
[attachment=3]IMG_1823.jpg[/attachment]
再びナメ床を歩き左岸の枝沢の10m滝を見送ると7m滝で、その奥に一ツ落滝の巨大な姿が木々の間から垣間見える。7m滝は右手のルンゼから巻くがカンス渕を持つ3m斜瀑も一緒に巻かされた。一ツ落滝35mは、岩タイプのポケモンのようにゴツゴツした岩肌に水が流れ落ち、水流が大釜を作り上げ迫力満点だ。
[attachment=2]IMG_1826.jpg[/attachment]
巻きは左岸のルンゼから取り付く。途中から落ち口めざしてトラバースしていくのだが、このポイントが大切になってくる。高巻きしすぎると栂ノ戸滝もろとも巻かされたり、落ち口まで懸垂下降を強いられることになる。巻きのふみ跡が続くものの途中から薄い落ち口方面のふみ跡を選択する。ザイルを出しトラバースしていくが、ほとんど垂直な壁を木の根たよりのモンキークライムで、ようやく30mザイル2ピッチで落ち口の上部に出た。michiさんはキジ撃ちのため早々に落ち口へ。michiさんの指示で念のためにザイルをつかみながら降りたが、ドンピシャと言っていいだろう。
[attachment=1]IMG_1828.jpg[/attachment]
栂ノ戸滝は急傾斜な巨大な段を流れ落ちる30m滝でやさしげな感じがする。とはいうものの周りは壁に囲まれていてどこから逃げるかだ。通常は右手のクラックからルンゼを上るようだが、確実に濡れてしまう。この時期に濡れるのはいやなので、記録を見たことのない左手のルンゼから巻くことにする。
[attachment=0]IMG_1830.jpg[/attachment]
ルンゼを上り落ち口に向けて灌木帯を上っていくと左手には大きなスラブ壁でトラバース出来るのはここしかない。壁が立ってきたのでザイルを出す。一ツ落滝のトラバースと同様、垂直の壁の木の根たよりのモンキークライムで1ピッチ。ここでバックアップを取っていなかったために登行器を落としてしまう。なにせ垂直に近い崖で、あきらめるしかないだろうと思っていたのだが、Ksさんやシュークリームさんに協力してもらって奇跡的に回収できた。お世話かけました。ここからは傾斜もゆるみ鹿のウンコにふみ跡も出てきたので進むと落ち口の上に着き、懸垂下降で下りた。これで栂ノ戸滝の右岸巻きの完了で、新規ルートにトライしてドンピシャで目的地に到達できたのには感慨深いものがあった。
対岸の左岸には滝を越えるように石垣道がついていたが、途中で落ちていた。しばらく進むと左岸の上部に石垣道が見えるので確認にいくと口高田集落の水源からつながる導水管の置かれた自然観察歩道だった。川床で昼食をとるとのことだったので下りようとしたら、50cm強四方の大岩が3つ落ちてきた。やばいと思い急斜面を走るが追いつかれそうだ。追いつかれると思った瞬間にジャンプし片足が下降中の岩の上部に当たっただけで事なきを得た。
昼食を取り、自然観察歩道と言われる石垣道を下りる。とんでもない場所に石垣を作り岩を削りながら緩やかにな傾斜で作ってある。これは戦前の木馬道で、この道を使って導水管を設置したのだ。そのため今でもそこそこ整備されており快適な道だ。最後は林道終点につながり駐車地の口高田会館の上部に出た。
今回の遡行はしびれるルートどりで、新規ルートの開拓と胸躍るものだった。これまでの沢登りで一番印象的な遡行だった。そして、全員が充実感に満ちていたように思う。個人的には人の痕跡の残る滝越えの石垣道が残り、木馬道を下山ルートとして使う山域での遡行だけに充分満足させてもらった。一人では出来ない経験をさせてくれた皆さんありがとうございました。