冠山南尾根

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舐目太郎
記事: 3
登録日時: 2015年2月08日(日) 17:05

冠山南尾根

投稿記事 by 舐目太郎 »

【 山 域 】奥美濃
【メンバー】舐目太郎、わ。
【 天 候 】晴れ/雪
【 ルート 】徳山ダムー冠山南尾根ー徳山ダム

週末二日で冠山南尾根に行ってきました。夏も行ったことはないので、初めての冠山です。
岩壁の少ない奥美濃山域の中でも山頂直下にあり、一際目立つこの山の存在に、いつか行ってみたいという強い憧れがありました。
奥美濃界隈では、夜叉壁、木曽ライン周辺の壁や滝、飛水峡、明神岳明神洞リッジなどに触れてきました。
いずれもチャートが創り出す脆く気まぐれな岩質が、視覚的な美と不確定な登攀を演出してくれます。
加えて、かつて海の生命であったそれらが稜上にあり、それらが濃尾平野を優しく包み込んでいることを思うと、
悠久の時が描いた神秘に回顧的感動が押し寄せ、その魅力にどっぷりはまってしまいました。

尾根は今はダムに沈むかつて最奥の集落であった場所から、アップダウンを繰り返しながら冠山南壁という岩壁をぬけ、そのまま山頂に突き上げます。
ラインの美しさ、ドラマ性、なにより尾根には無駄がなく、日本の中でも、極めて高い完成度を持っていると思いました。
この地図を描いた技師は、その自然美に幸せを感じたに違いありません。

アプローチは徳山ダムのゲートから14キロばかり歩きますが、トンネルが多く、道も除雪されていて思ったより時間はかかりませんでした。
かつて集落であった場所に、言葉では言い表せぬ思いを描きつつ、急な斜面から南尾根に取り付きます。
翌日の天気が崩れることもあり、二日間、寝ずのラッセルと、登攀を予定していました。
時期が良かったのか悪かったのか、雪はしまっており藪でズボズボはまりながら遅々として進まないということもなく、
比較的安易なラッセルで高度を稼げ、夕刻手前には岩壁手前にテントを張ることができました。
翌日は雨の心配があったので、夜間行動を前提にしてそのまま南壁を登り、山頂を目指します。
南壁のチャートの岩達はプアなベルグラを発達させ、まるで英国のベンネビスのようです。
壁は前衛的な油絵のように、規則的、あるいは不規則な模様で構成されていて、
アイスアックスをフッキングして体重をかけると、フッキング箇所ではない場所が崩れるなど、まるで生き物のような反応を私達に返してくれます。
1ピッチだけ岩を登ると、すでに日は沈みかけていたこともあり、その後は急峻な雪壁で高度を稼がせてもらいました。
いくつかの雪庇を乗り越え、長い雪壁を抜けると山頂に飛び出します。
日没ギリギリで福井側の景色が眼前に広がりました。山頂に立つと、360度、人のいない世界が広がります。
凄い贅沢をさせてもらっている、そう思いました。
しばしの鑑賞をさせてもらったあと、同ルートを下降してテントに戻り、翌日、往路を入山口まで戻りました。
いい、山でした。
最後に編集したユーザー 舐目太郎 [ 2015年2月09日(月) 03:27 ], 累計 1 回
アバター
山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 冠山南尾根

投稿記事 by 山日和 »


舐目太郎さん、初めまして。やぶこぎネットへようこそです。

かなり変態チックなクライミングをやられているようですねえ。 :mrgreen:
やぶこぎネットのレポとは思えない鋭いレポ、感服しました。
冠山の南尾根は私もずっと憧れている尾根です。ただ、クライミングをやらない私としては南壁を、岩を避けて弱点を
縫いながら山頂に達するルートがないのか考えてました。
しかしこの時期に通行止めの国道を延々歩いてのアプローチ。そして日没寸前の登攀と夜間下降。素晴らしいです。
この南尾根は舐目さんの言うように、ゆるゆると高度を上げながら、山頂直下の南壁で急激に立ち上がり、その姿を
際立たせている美しい尾根だと思います。
できれば画像をアップしていただけるとうれしいのですが。

ところでこのハンドルはなんと読むのでしょうか?(^^ゞ
 
                          山日和

西側から見る南壁の一部
西側から見る南壁の一部
冠山南尾根を見下ろす
冠山南尾根を見下ろす
舐目太郎
記事: 3
登録日時: 2015年2月08日(日) 17:05

Re: 冠山南尾根

投稿記事 by 舐目太郎 »

山日和さま>
はじめまして。なめたろうです。
いい尾根ですよね。
地形図を見ていてうっとりします。
岩壁部ですが、東側には雪庇が膨らむので行くのに少し気味が悪く、雪壁はそれなりに急ですね。
雪壁は藪が少ないのでプロテクションには難儀しそうです。
西側は峠からの登山道ぐらいまで巻かなければならなさそうに見えました。
場所柄、基本的に雪壁の雪は地熱で接触面が空洞化し岩の上に浮いた状態だと思うので、温かいとブロックになって全部落ちてくるのが怖いですね。
冬にやるなら1月後半~2月中旬で高曇りか雪の降りすぎていない早朝か、夕刻に限定されます。
3月中下旬以降の雪が落ち切った時期なら安心かと思います。

画像はまた、アップしますね。
たんぽぽ
記事: 709
登録日時: 2011年2月20日(日) 11:54

Re: 冠山南尾根

投稿記事 by たんぽぽ »

はじめまして、たんぽぽと申します。
素敵なハンドル名ですね、惚れ惚れしちゃいます。

晴天で満月、2月の雪質と計算し尽くされた山行計画だったんでしょうね。
シタ谷まで除雪してあるとはいえ、徹夜のラッセルとは驚愕モノです。
私なんぞは足元にも及びませんわ。
南壁攻略も十分な考察でお見事な登頂でしたね。
お疲れさまでした!
IMG_1104-s.JPG
舐目太郎
記事: 3
登録日時: 2015年2月08日(日) 17:05

Re: 冠山南尾根

投稿記事 by 舐目太郎 »

たんぽぽさま>
はじめまして。舐め太郎です。
理由はあとからつけているので上手くいったのはたまたまです。
積雪期の写真を探していたのですが出てこず、ここでお二方から頂いて感動しています。
山頂からの景色がとても気持ち良かったです。雪山って楽しいですね。
添付ファイル
DSC_1158-1.jpg
DSC_1138-1.jpg
DSC_1168-1.jpg
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