【中央アルプス】福島Bコースから木曽駒・茶臼山へ
Posted: 2014年9月16日(火) 21:39
【日 付】2014年9月14日(日)
【山 域】中央アルプス 木曽駒ヶ岳周辺
【天 候】晴れ時々曇り
【コース】コガラ登山口5:40---8:15七合目避難小屋8:35---10:10玉の窪山荘---10:45木曽駒ヶ岳11:35---
13:05将棊頭山13:20---14:10茶臼山14:35---16:35正沢川---16:55登山口
木曽駒ヶ岳は日本百名山のひとつであり、伊那側からだとロープウェイで2600mまで一気に上がれて、ほんの1時間
ほど歩けば山頂に到達できる人気の山である。しかし山脈の反対側の木曽側はアプローチが長いこともあって、連休の
最中と言えど登山者は少なく静かなものだ。
春先からよく歩いたと思える山歩きをしておらず、落ちるばかりの体力。このコースは以前から温めていた懸案だった
が今の体力でこなせるだろうか。一抹の不安を抱えながら出発。今日は天気だけは不安がない。
乳酸が出ないように意識してゆっくりしたペースで歩く。夏の間は沢登りが主体なので、長い距離をじっくり歩くことがな
かった。それに加えて山頂まで1600mの標高差がある。
登山口の標高が1350mあるので日が当たり出す前は寒いくらい。汗かきの自分にはうれしいコンディションだ。
[attachment=7]DSCF0057_1_1.JPG[/attachment]
福島Bコースと呼ばれるこの道を歩くのは3回目である。前2回はいずれも沢の下りで、登りに使うのは初めてだ。よく
整備された道は歩きやすく、順調に7合目の避難小屋に到着。バイオトイレでお勤めを済ませる。御嶽の上にまだ月が
出ていた。
[attachment=6]DSCF0087-1_1.jpg[/attachment]
避難小屋から先の道は麦草岳の東面を延々とトラバースして続き、ほとんど高度を稼がない。やっと玉の窪山荘下の
カール底に着くと、咲き残りのヨツバシオガマの小群落が迎えてくれた。この季節は花もほとんどなく、展望以外の楽し
みが少ないのが難点である。
[attachment=5]DSCF0108_1.JPG[/attachment]
玉の窪山荘で麦草岳からの尾根に乗ると大展望が開ける。駒ヶ岳の方へ少し登って振り返れば、木曽前岳から麦草
岳へ続く荒々しい稜線が見えた。滑川を挟んで対峙するのは三ノ沢岳。ここまで来れば山頂は指呼の間だ。
[attachment=4]DSCF0123_1.JPG[/attachment]
山頂木曽小屋まで来るとにわかに人の気配が増え始めた。小屋の赤い屋根の上では主人が修理しながら何やらつ
ぶやいている。
12年前、洞吹氏と細尾沢を遡行した時はこのあたりに飛び出したっけ。この小屋で有り金1000円をはたいてビールを2
本買い求め、山頂で至福の乾杯をしたことを思い出す。
想定していたより早く山頂到着。これならなんとか周回できそうである。
宝剣岳方面は早くも雲が湧き、御嶽も既に雲の中。雲ひとつない青空という訳に行かないのが残念だ。
しかしこの山頂の雑踏には参った。どこにカメラを向けても人が入る。わかっていたこととは言え、ここでとても落ち着く
気にはならない。早々に退散して、縦走路を少し下ったところでランチとした。
ここからはロープウェイ方面からの登山道がよく見える。次から次へとアリの行列のように登山者が上がって来ている。
この3ヶ月ほどの間に会った登山者は片手で数えられるほどだったのに、今日一日だけでその100倍以上の登山者と
会っている。
[attachment=1]DSCF0136_1.JPG[/attachment]
ランチを終えて縦走路へ踏み出した。まだ下山への第一歩ではない。これから先の方が長いくらいなのだ。
歩き出してしばらくすると足に異変を感じた。大腿4頭筋に痛みが走って力が入らない。まるでお爺さんのような歩みだ。
さらに躓いてたたらを踏んだ時に反対側の足が攣って激痛が走った。「イテテテッ」その場で一歩も動けなくなったがこ
ういうケースは何度も経験済みだ。ちょっとした対処で回復するのはわかっているので慌てることもない。
それにしても痛い。足首を起こしてストレッチ。更にズボンを捲り上げてバンテリンを塗る。これで落ち着いた。
疲れで足が上がらなくなっているのは変わらないが痛みは治まって、こんなんで下山できるのという不安は消えた。
[attachment=3]DSCF0182_1.JPG[/attachment]
緩やかなアップダウンの末に聖職の碑と一年中水が涸れないという天水岩を過ぎれば将棊頭山に到着だ。誰もいな
い静かな山頂だった。
ここから見る行者岩の岩峰は地蔵岳のオベリスクのようだ。直下に見える西駒山荘で水を補充しようと思っていたが、
時間がもったいないのでそのまま進む。
一度大きく下って西駒山荘からの道に合流。すぐに桂小場への道と別れて茶臼山に向かう登山道に入るが、事前に仕
入れた情報通り、分岐には正沢川の橋は壊れて渡れない旨の表示があった。ここのところ雨も降っていないし、最初か
ら橋は期待していなかったので気にせず進む。
行者岩の岩峰は横目で見ながら通過。寄り道して登ってみようという気も起らない。
樹林帯の道を緩やかに登れば本日最後のピークである茶臼山である。手前の樹林帯からするとまったく展望のない山
頂かと思ったが、意外に開けた山頂で落ち着くことができた。小さな祠があるだけで標識のひとつもない清々しい山頂だ。
ここまで来ればひと安心。まだ長い下りが待っているが、もう登る必要がないと思うと気が楽である。
ここから北西に続く稜線は大棚入山とか坊主岳とか言うのだろうが、自分にはほとんど馴染みのない山々だ。
[attachment=0]DSCF0207_1.JPG[/attachment]
茶臼山からの下りに入ると完全に調子を取り戻して快調なペースで歩くことができた。
途中で前方から登って来る人がいた。こんな時間にと訝っていると、登山道整備に来た長野県の遭対協の人々だった。
先頭の若者は重そうなチェーンソーをぶら下げている。リーダーらしき年配の人から、さっき丸木橋を架けたので気を付
けて渡って下さいと有難い言葉を頂く。これで最後に残っていた懸念も解消され、一気に気分が楽になった。
針葉樹林の中の道を坦々と進む、道はよく整備されて歩きやすいが、あまり面白みのある道とは言えない。
ピンクのテープやペンキのマーキングが過剰なほど付けられていて迷う方が難しいだろう。しかし迷う人は考えられない
ような場所で迷うので、救助する立場からすればこれでもかと付ける結果になるのだろう。福島Bコース同様、一合ごと
に付けられている合目を示す標識が励みになる。
5合目で尾根を外れて、石がゴロゴロする歩きにくい道をジグザクに下ると水音が大きくなってきた。
河原に降り立つと、なるほど問題の吊り橋が流れの半分のところでなくなっている。
少し戻って左の真新しい踏み跡と辿ると、これもできたて感の漂う丸木橋が架けられていた。右半分がたわんで気持ち
悪いが、靴を脱いで水に入るよりははるかにいい。遭対協の人々に感謝。
思えば12年前はここから入渓して正沢川~細尾沢と遡行して木曽駒に立ったのだった。
[attachment=2]DSCF0235_1.JPG[/attachment]
実働10時間の行動時間。少々情けないが、今の自分には精一杯の山行だろう。
下山後は初めて訪れる駒の湯で心地良い汗を流す。山の一軒宿の風情が溢れるいい温泉だった。
外に出ると夕闇迫る山あいの温泉場に涼しい風が吹き抜けていた。
良い山に良い温泉。充実の一日が終わろうとしている。
山日和
【山 域】中央アルプス 木曽駒ヶ岳周辺
【天 候】晴れ時々曇り
【コース】コガラ登山口5:40---8:15七合目避難小屋8:35---10:10玉の窪山荘---10:45木曽駒ヶ岳11:35---
13:05将棊頭山13:20---14:10茶臼山14:35---16:35正沢川---16:55登山口
木曽駒ヶ岳は日本百名山のひとつであり、伊那側からだとロープウェイで2600mまで一気に上がれて、ほんの1時間
ほど歩けば山頂に到達できる人気の山である。しかし山脈の反対側の木曽側はアプローチが長いこともあって、連休の
最中と言えど登山者は少なく静かなものだ。
春先からよく歩いたと思える山歩きをしておらず、落ちるばかりの体力。このコースは以前から温めていた懸案だった
が今の体力でこなせるだろうか。一抹の不安を抱えながら出発。今日は天気だけは不安がない。
乳酸が出ないように意識してゆっくりしたペースで歩く。夏の間は沢登りが主体なので、長い距離をじっくり歩くことがな
かった。それに加えて山頂まで1600mの標高差がある。
登山口の標高が1350mあるので日が当たり出す前は寒いくらい。汗かきの自分にはうれしいコンディションだ。
[attachment=7]DSCF0057_1_1.JPG[/attachment]
福島Bコースと呼ばれるこの道を歩くのは3回目である。前2回はいずれも沢の下りで、登りに使うのは初めてだ。よく
整備された道は歩きやすく、順調に7合目の避難小屋に到着。バイオトイレでお勤めを済ませる。御嶽の上にまだ月が
出ていた。
[attachment=6]DSCF0087-1_1.jpg[/attachment]
避難小屋から先の道は麦草岳の東面を延々とトラバースして続き、ほとんど高度を稼がない。やっと玉の窪山荘下の
カール底に着くと、咲き残りのヨツバシオガマの小群落が迎えてくれた。この季節は花もほとんどなく、展望以外の楽し
みが少ないのが難点である。
[attachment=5]DSCF0108_1.JPG[/attachment]
玉の窪山荘で麦草岳からの尾根に乗ると大展望が開ける。駒ヶ岳の方へ少し登って振り返れば、木曽前岳から麦草
岳へ続く荒々しい稜線が見えた。滑川を挟んで対峙するのは三ノ沢岳。ここまで来れば山頂は指呼の間だ。
[attachment=4]DSCF0123_1.JPG[/attachment]
山頂木曽小屋まで来るとにわかに人の気配が増え始めた。小屋の赤い屋根の上では主人が修理しながら何やらつ
ぶやいている。
12年前、洞吹氏と細尾沢を遡行した時はこのあたりに飛び出したっけ。この小屋で有り金1000円をはたいてビールを2
本買い求め、山頂で至福の乾杯をしたことを思い出す。
想定していたより早く山頂到着。これならなんとか周回できそうである。
宝剣岳方面は早くも雲が湧き、御嶽も既に雲の中。雲ひとつない青空という訳に行かないのが残念だ。
しかしこの山頂の雑踏には参った。どこにカメラを向けても人が入る。わかっていたこととは言え、ここでとても落ち着く
気にはならない。早々に退散して、縦走路を少し下ったところでランチとした。
ここからはロープウェイ方面からの登山道がよく見える。次から次へとアリの行列のように登山者が上がって来ている。
この3ヶ月ほどの間に会った登山者は片手で数えられるほどだったのに、今日一日だけでその100倍以上の登山者と
会っている。
[attachment=1]DSCF0136_1.JPG[/attachment]
ランチを終えて縦走路へ踏み出した。まだ下山への第一歩ではない。これから先の方が長いくらいなのだ。
歩き出してしばらくすると足に異変を感じた。大腿4頭筋に痛みが走って力が入らない。まるでお爺さんのような歩みだ。
さらに躓いてたたらを踏んだ時に反対側の足が攣って激痛が走った。「イテテテッ」その場で一歩も動けなくなったがこ
ういうケースは何度も経験済みだ。ちょっとした対処で回復するのはわかっているので慌てることもない。
それにしても痛い。足首を起こしてストレッチ。更にズボンを捲り上げてバンテリンを塗る。これで落ち着いた。
疲れで足が上がらなくなっているのは変わらないが痛みは治まって、こんなんで下山できるのという不安は消えた。
[attachment=3]DSCF0182_1.JPG[/attachment]
緩やかなアップダウンの末に聖職の碑と一年中水が涸れないという天水岩を過ぎれば将棊頭山に到着だ。誰もいな
い静かな山頂だった。
ここから見る行者岩の岩峰は地蔵岳のオベリスクのようだ。直下に見える西駒山荘で水を補充しようと思っていたが、
時間がもったいないのでそのまま進む。
一度大きく下って西駒山荘からの道に合流。すぐに桂小場への道と別れて茶臼山に向かう登山道に入るが、事前に仕
入れた情報通り、分岐には正沢川の橋は壊れて渡れない旨の表示があった。ここのところ雨も降っていないし、最初か
ら橋は期待していなかったので気にせず進む。
行者岩の岩峰は横目で見ながら通過。寄り道して登ってみようという気も起らない。
樹林帯の道を緩やかに登れば本日最後のピークである茶臼山である。手前の樹林帯からするとまったく展望のない山
頂かと思ったが、意外に開けた山頂で落ち着くことができた。小さな祠があるだけで標識のひとつもない清々しい山頂だ。
ここまで来ればひと安心。まだ長い下りが待っているが、もう登る必要がないと思うと気が楽である。
ここから北西に続く稜線は大棚入山とか坊主岳とか言うのだろうが、自分にはほとんど馴染みのない山々だ。
[attachment=0]DSCF0207_1.JPG[/attachment]
茶臼山からの下りに入ると完全に調子を取り戻して快調なペースで歩くことができた。
途中で前方から登って来る人がいた。こんな時間にと訝っていると、登山道整備に来た長野県の遭対協の人々だった。
先頭の若者は重そうなチェーンソーをぶら下げている。リーダーらしき年配の人から、さっき丸木橋を架けたので気を付
けて渡って下さいと有難い言葉を頂く。これで最後に残っていた懸念も解消され、一気に気分が楽になった。
針葉樹林の中の道を坦々と進む、道はよく整備されて歩きやすいが、あまり面白みのある道とは言えない。
ピンクのテープやペンキのマーキングが過剰なほど付けられていて迷う方が難しいだろう。しかし迷う人は考えられない
ような場所で迷うので、救助する立場からすればこれでもかと付ける結果になるのだろう。福島Bコース同様、一合ごと
に付けられている合目を示す標識が励みになる。
5合目で尾根を外れて、石がゴロゴロする歩きにくい道をジグザクに下ると水音が大きくなってきた。
河原に降り立つと、なるほど問題の吊り橋が流れの半分のところでなくなっている。
少し戻って左の真新しい踏み跡と辿ると、これもできたて感の漂う丸木橋が架けられていた。右半分がたわんで気持ち
悪いが、靴を脱いで水に入るよりははるかにいい。遭対協の人々に感謝。
思えば12年前はここから入渓して正沢川~細尾沢と遡行して木曽駒に立ったのだった。
[attachment=2]DSCF0235_1.JPG[/attachment]
実働10時間の行動時間。少々情けないが、今の自分には精一杯の山行だろう。
下山後は初めて訪れる駒の湯で心地良い汗を流す。山の一軒宿の風情が溢れるいい温泉だった。
外に出ると夕闇迫る山あいの温泉場に涼しい風が吹き抜けていた。
良い山に良い温泉。充実の一日が終わろうとしている。
山日和