【越美山地】アラクラ谷…好き者達の物好きな沢旅

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兔夢
記事: 624
登録日時: 2011年2月24日(木) 23:12

【越美山地】アラクラ谷…好き者達の物好きな沢旅

投稿記事 by 兔夢 »

2014年7月6日(日) 曇り 越美山地 アラクラ谷遡行
K氏、masaさん、そばつる、兔夢
アラクラ大滝
アラクラ大滝
DSCN6180.JPG (62.47 KiB) 閲覧された回数 977 回
6:15 冠峠 → 7:00 冠平 → 8:40 西日谷下降点 → 10:40~11:25 アラクラ谷出合 → 14:15~30 アラクラ大滝上休憩地 → 15:15 県境稜線 → 16:00 冠平 → 16:45 冠峠

 K氏、masaさん、そばつるという強力メンバーを得てアラクラ谷を遡行してきた。薮漕ぎあり、険谷の通過ありの充実した山行となった。
 そもそも越美国境の薮を漕いだ後、熊河川まで下りそこから登り返そうなんていうルート設定に付き合ってくれるメンバーなんてザラにはいない。このメンバーであるからこそ提案できたルートだ。そして見事成し遂げた。その時の達成感は筆舌に尽くしがたい。メンバーには感謝の念が絶えない。
 揖斐の総合庁舎で落合って冠峠に向かった。峠付近はガスにつつまれ冠山はもちろんの事、その他ほとんど見えるものはない。そんな中を出発。雨が落ちてない事がせめてもの救いだ。
 きれいに補修された登山道を急ぎ足で進む。久し振りの山行であるそばつるにはちょっときつかったようだが時間を稼げるところではできるだけ稼いでおきたい。
 冠平はやや風が強い。接近しつつある台風8号の影響だろうか。まだ開ききらないニッコウキスゲや、アザミ、ギボウシといった花々がむさい男達を迎えてくれた。
 少し休憩して越美国境に続く踏跡を辿って行く。これから進むべき稜線はガスに隠され進行方向さえ掴めない。ピークを二つ程越えた辺りからは踏跡も消え笹薮も背丈を超し視界を遮る。頻繁にGPSを確認しながら進路を見極める。こういう時にはGPSのありがたさが身にしみる。
 時折腰高の薮になって一息つけるもののトップでの薮漕ぎはきつい。途中で一番若いmasaさん(なんと30代!)にトップを代わってもらった。が、流石に早く今度はついていくのがきつい…
ガスの中の薮漕ぎ
ガスの中の薮漕ぎ
DSCN6081.JPG (32.76 KiB) 閲覧された回数 977 回
 アップダウンのある稜線を1時間半ほど薮漕ぎしてようやく下降予定地点にたどり着いた。不思議な事にここに近づくに従って踏跡が明瞭になった。何故だろう。
 傍らにはコンクリート製の境界杭が埋められていた。もし我々のルートをトレースしようなんていう酔狂な方があるならこの境界杭を目安とすればいいだろう。
 急斜面を西日谷へ下降。樹木や笹を掴んで下っていくと草薮に覆われた沢筋に降りた。ほぼ何もないと言って差し支えのない沢が続く。上部での落さえ気をつければ下降向きの沢といえるだろう。
 昨年、アラクラのピークから下った沢と合流してしばらくは開けたゴーロ。時折目につく土砂崩れの跡が痛々しい。
 沢が狭くなってようやく滝が現われる。3m。右岸を簡単に通過。すぐに4m。ここは巻くルートを見つけるのが難しい。結局左岸の小尾根に支点をとり懸垂下降。昨年一人で来た時は支点をとる場所を誤り滝芯に降りて脱出するのに苦労した。今回はもう少し上で支点をとり上手く下降。
西日谷4m滝の懸垂下降
西日谷4m滝の懸垂下降
DSCN6104.JPG (63.42 KiB) 閲覧された回数 977 回
 続くゴルジュの深い淵にはフィックスロープがあり利用させてもらう。恐らく釣り人のものだろうがこんなところまでよく!と感心してしまう。
 やがて沢が開けてくれば熊河川本流に合流。少し下ってアラクラ谷出合に到着。ここからが今回の本番。その前にまずは一服。腰を下ろして腹を満たしながら休憩してると日差しが降りてきた。ほっと和む。
 アラクラ谷出合は両岸が立ちその間が淵となっていてあたかもゴルジュが続くような思わせぶりな姿をしている。だが左岸から淵を越えてわずかに行くと小さいながらも開けた明るい沢が迎えてくれる。
 しばらく穏やかな流れが続く。左岸にはブナやナラの樹林も見られる。が、悲しい事に今年のマイマイガ大発生の影響だろう、冬枯れしたような木々が多かった。
 出合から30分程で4m二条滝。昨年巻いた滝だ。登れるかと取り付いてみたが滑っていて難しそう。メンバーには左岸からの巻きを促す。
4m二条滝
4m二条滝
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 しばらく見ていると水流から少し離れた左端が登れるような気がしてきた。でやってみるとなんとか登る事ができた。続く3mの滝は左を簡単に登り巻いたメンバーを待った。
 この先、滑滝を越えてゴーロを進んで行くと前方に異容を放つ岩峰が現われる。その姿にみんな目を奪われた。我々はこれからその膝元へ潜り込もうとしているのだ。
 わずかで今回の核心部、瀑流帯の入口ともいうべき滝が現われる。4mの滝そのものは穏やかだ。だがその落口の向こうに見える渓相は尋常ではない。
 昨年はこの滝の右を巻いていったが今回は左から巻いた。昨年より容易に巻く事ができた。
 上には左向きの斜瀑。流芯をシャワーで登っていくとすぐ2m弱の滝。ステミングで登っていくが股関節が痛い…
 1mの滝を越えた後、昨年諦めたチョックストーン。見れば水流が変わっている。masaさんにアタックを促す。躊躇する事なく滝に向かうmasaさん。そして左手を上手く登っていった。流石だ!と思うと同時に少し嫉妬。自分がやっておけばよかった。
険谷のチョックストーン
険谷のチョックストーン
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 ロープを出してもらってそばつる、僕と続く。そばつるは難儀したようだった。僕は昨年来イメージしてきた登り方でトライ。うまく登りきる事ができた。チョックストーン上には錆びた古いボトルが打ち込まれていた。
 K氏は左岸を巻いてきた。全員揃ったところで先に進む。と、そこには見た事のない滝。それもそのはずで昨年はチョックストーンを越えてないのだからその上にある滝を知り様がない。
 2段10mのその滝は直登できない。で左岸を巻いた。少し登りすぎて手間取ったが沢に復帰。先には8m。これも登れない。ここは昨年巻いた右岸の灌木帯を辿った。
2段10m
2段10m
DSCN6158.JPG (69.23 KiB) 閲覧された回数 977 回
 ここを終えれば険悪そうな部分はほぼ終了。後は幾つかの小滝を巻いたり直登したり。
 最後の4m滑滝は美しさでいえばこの谷一番だろう。昨年は陽光を受けて銀色に輝いていた。
 滑滝を越えてこれで終わりか、と思ったその先にこの沢最大の滝、アラクラ大滝が現われる。これまでの滝の規模とは明らかに違うその大きさに目を見張る。メンバーも予想外の大滝の出現に目を白黒させていた。
 黒い岩肌に落ちるその姿はどっしりしている。上には更に10mがかかっているが下からは見えない。もう少し水量が欲しいところだがこのままでも十分見応えがある。
 問題はこの滝をどうやって越えていくか。登攀用具と9mm以上の50mロープがあれば直登も可能だろう。そこまでの用具を持ち合わせていない我々は右岸の草付急斜面を立ち木を掴みながら這い上がっていった。
 小尾根を乗っ越すとあっけなく落口近くの流れに着く。落口にも簡単に行けてみんなで見学。上部の10m滝にみんな驚いていた。
アラクラ大滝 上部10m
アラクラ大滝 上部10m
DSCN6187.JPG (69.85 KiB) 閲覧された回数 977 回
 落口からわずかにすすんだ小さな渕の手前でしばし休憩。険谷通過でのお互いの健闘を讃えあった。
 これ以降、地形図に見える沢は県境まで穏やかな流れだ。ここまでメンバーをリードしてきたがこれでお役御免としていただいて最後尾からついていく事にした。ルートは先頭まかせ。
 地形図通りの穏やかな流れが続く。険谷と大滝を越えてきた後だけにホッとさせられる渓相だ。時折小滝が現われるが問題となるようなところはない。両岸が意外と立って廊下のような雰囲気だ。
詰めの沢
詰めの沢
DSCN6202.JPG (64.26 KiB) 閲覧された回数 977 回
 1対1の二俣に出た。左は滝が掛かっている。県境には左が近道だろうとそちらを選ぶ。この先も3〜4mの滝が現われて面白い沢筋だった。
 詰めでは薮は濃くないものの足下がズルズルの斜面を登り、更に沢筋を一つ越えて県境にでる事ができた。この時点で確認すると1対1の二俣は右にとるのが正解だったようだ。
 県境までリードしてくれたmasaさんから交替要請が出てトップを代わる。この時点でのトップは足腰に疲れが出て辛い。立ちはだかる薮を体全体で押し倒して進んで行く。
 ガスも朝と同じようにかかっていて進行方向が掴めず再びGPSが活躍。明瞭な踏跡に出た時にはこれで帰れると胸を撫で下ろした。僕達の健闘を讃えてなのかガスが一瞬晴れて眼前にシタ谷の源頭風景が広がった。
越前
記事: 217
登録日時: 2012年5月16日(水) 15:43

Re: 【越美山地】アラクラ谷…好き者達の物好きな沢旅

投稿記事 by 越前 »

兔夢さん今晩は。
物好きと言われようがお構いなしの越前です。(^^ゞ

6:15 冠峠 → 7:00 冠平 → 8:40 西日谷下降点 → 10:40~11:25 アラクラ谷出合 → 14:15~30 アラクラ大滝上休憩地 → 15:15 県境稜線 → 16:00 冠平 → 16:45 冠峠
いやホント、有り難うございます。
状況がわからずに不安な私の為に、わざわざ越美稜線や谷の状況を教えてくれるようなレポをアップしてもらえたのかと勘違いしそうです。
おかげさまで、私の越美国境分水嶺歩きの冠-若丸区間は、ナリガ叉谷を加えての周回ルートが決定しました。
いやそもそも、このルートも兔夢さんに教えてもらったのでした。

そもそも越美国境の薮を漕いだ後、熊河川まで下りそこから登り返そうなんていうルート設定に付き合ってくれるメンバーなんてザラにはいない。
いや~、お誘いいただければ一も二もなく末席に加えていただきたかったです。マジで・・・。

揖斐の総合庁舎で落合って冠峠に向かった。峠付近はガスにつつまれ冠山はもちろんの事、その他ほとんど見えるものはない。そんな中を出発。雨が落ちてない事がせめてもの救いだ。
好き者達には雨は障害とならないんですね。
それにしても私の持っている情報では、越前側の冠峠開通はなんと七月末だとか。
まさか峠に福井ナンバーがいっぱいだなんてコト無かったでしょうね?

冠平はやや風が強い。接近しつつある台風8号の影響だろうか。まだ開ききらないニッコウキスゲや、アザミ、ギボウシといった花々がむさい男達を迎えてくれた。
丁度ニッコウキスゲの時期でしたね。

少し休憩して越美国境に続く踏跡を辿って行く。これから進むべき稜線はガスに隠され進行方向さえ掴めない。ピークを二つ程越えた辺りからは踏跡も消え笹薮も背丈を超し視界を遮る。頻繁にGPSを確認しながら進路を見極める。こういう時にはGPSのありがたさが身にしみる。
こんなときワタシは、GPS大明神様におすがりするしかありません。
しかし背丈を越える笹薮ですか~・・・。

アップダウンのある稜線を1時間半ほど薮漕ぎしてようやく下降予定地点にたどり着いた。不思議な事にここに近づくに従って踏跡が明瞭になった。何故だろう。
計算上ではあと三時間で若丸ですか。あくまで計算上は。
そう、獣道には一喜一憂させられます。

傍らにはコンクリート製の境界杭が埋められていた。もし我々のルートをトレースしようなんていう酔狂な方があるならこの境界杭を目安とすればいいだろう。
有り難うございます。目標ゲット!

急斜面を西日谷へ下降。樹木や笹を掴んで下っていくと草薮に覆われた沢筋に降りた。ほぼ何もないと言って差し支えのない沢が続く。上部での落さえ気をつければ下降向きの沢といえるだろう。
昨年、アラクラのピークから下った沢と合流してしばらくは開けたゴーロ。時折目につく土砂崩れの跡が痛々しい。

こんな情報が助かります。

沢が狭くなってようやく滝が現われる。3m。右岸を簡単に通過。すぐに4m。ここは巻くルートを見つけるのが難しい。結局左岸の小尾根に支点をとり懸垂下降。昨年一人で来た時は支点をとる場所を誤り滝芯に降りて脱出するのに苦労した。今回はもう少し上で支点をとり上手く下降。
ふむふむ成る程・・・。
そういえば昨年のレポで、死にそうになるほどここで苦労してましたよね~。 :mrgreen:
このロープは三十mですか?なら高さはぴったり十五m。

続くゴルジュの深い淵にはフィックスロープがあり利用させてもらう。恐らく釣り人のものだろうがこんなところまでよく!と感心してしまう。
釣りの世界も奥が深いというか・・・。

やがて沢が開けてくれば熊河川本流に合流。
私はここからナリガ叉谷を遡行、若丸を目指せばよいのですね。
しかし読ませていただくと、アラクラ谷を捨てるのはとても勿体ないですね。特に大滝は見に行きたいですね。
ん~、いま冠山峠はダメでも温見・熊河川は行けるのなら・・・。
ちょっと考えトコ。

立ちはだかる薮を体全体で押し倒して進んで行く。
 ガスも朝と同じようにかかっていて進行方向が掴めず再びGPSが活躍。明瞭な踏跡に出た時にはこれで帰れると胸を撫で下ろした。僕達の健闘を讃えてなのかガスが一瞬晴れて眼前にシタ谷の源頭風景が広がった。

ご苦労様でした。
越前
兔夢
記事: 624
登録日時: 2011年2月24日(木) 23:12

Re: 【越美山地】アラクラ谷…好き者達の物好きな沢旅

投稿記事 by 兔夢 »

越前さん、こんばんは。

物好きと言われようがお構いなしの越前です。

越前さんは十分物好きですね。それも僕に比ではないと思います。

状況がわからずに不安な私の為に、わざわざ越美稜線や谷の状況を教えてくれるようなレポをアップしてもらえたのかと勘違いしそうです。

このルートに行こうと思った時、多分ヤブコギメンバーの中でいの一番に興味を示すのは越前さんだろうなと思ってました。ひょっとして既に踏破しているのかなあと思ってましたが間に合って良かったです。

おかげさまで、私の越美国境分水嶺歩きの冠-若丸区間は、ナリガ叉谷を加えての周回ルートが決定しました。

熊河川〜ナリガ又谷〜若丸〜冠ケ峠〜西日谷〜熊河川ですね。県境のヤブコギが核心ですね。ワンデー?

いや~、お誘いいただければ一も二もなく末席に加えていただきたかったです。マジで・・・。

こういうところはお互いの力量がわかってないと同行はなかなか難しいですね。

好き者達には雨は障害とならないんですね。

雨はやっぱり嫌ですけど少々の雨なら何とかなるかなあ、って感じで。折角集まったメンバーだったし。

まさか峠に福井ナンバーがいっぱいだなんてコト無かったでしょうね?

ゲートがしっかり閉まってましたから福井ナンバーはなかったと思います。

こんなときワタシは、GPS大明神様におすがりするしかありません。

GPSをとかく嫌う方々もいますがこんな時に確実にしかもすばやく山行をこなしていくにはGPSはなくてはならないものです。それによって山行の幅が広がっていきますし。

有り難うございます。目標ゲット!

大した目標じゃないですよ。県境上にはたくさんある訳だし。

そういえば昨年のレポで、死にそうになるほどここで苦労してましたよね~。

覚えてますか。滝芯下の滝壺でどうやって脱出したらいいのかわかんなくなりそうでした。

このロープは三十mですか?なら高さはぴったり十五m。

30mです。でも上から見た雰囲気は足りなさそうに見えたのでいろいろエスケープの方法も考えてました。
結果的には少し余裕があるくらいの高さでした。

釣りの世界も奥が深いというか・・・。

山を登る者はそこまでしないと山頂が踏めない事があるけど釣りをする者はどうなのかなあ、って思ったりします。

しかし読ませていただくと、アラクラ谷を捨てるのはとても勿体ないですね。特に大滝は見に行きたいですね。

いい沢です。険谷と書いたところも意外とスムーズに通り抜けられます。大滝は必見ですね。その上の穏やかな流れもなかなか…

             兔夢
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