【加越国境】 越前甲 鎧の隙間を縫って 1/03

山行記、山の思い出、限定
フォーラムルール
新規トピックは文頭に以下のテンプレートをなるべく使ってください。
【 日 付 】
【 山 域 】 
【メンバー】
【 天 候 】
【 ルート 】
※ユーザーでなくても返信が可能です。ユーザー名に名前を入れて返信してください。
返信する
越前
記事: 217
登録日時: 2012年5月16日(水) 15:43

【加越国境】 越前甲 鎧の隙間を縫って 1/03

投稿記事 by 越前 »

越前甲(えちぜんかぶと)の「甲」は「兜」と同意。
山頂部の周囲を絶壁が鎧のように取り囲み、麓から見たその姿が兜を思わせるところからついた山名だという。
しかし今では、越前大日山という山名のほうが通りがよくなってしまった。地元の山ヤとしては残念なことだ。
麓からの越前甲
麓からの越前甲
  
そしてこの山へは、スキーのメッカとして多くの山スキーヤーが入山してくる。
これも残念なことに、積雪期には登山者のほうが少数派になる山だ。
実は去年の雪降る朝に、たった一人の山を楽しんでいたら、後から後から十何人もの県内外の山スキーヤーに追い越されて憮然として、そのとき冬の越前甲にはもう来るもんかと誓ってしまった。(笑)

その後、しばらく家の中で行方知れずだった「福井の雪山Ⅱ」が押入れから出てきた。(^^;)
するとさすがにベルグラ山の会、越前甲の冬季通常ルートなんか紹介していない。

この山の登山道は大きく右へ回りこんで東の県境稜線から登るようになっており、積雪期であっても断崖に囲まれた山頂部へ登るとなると通常ルートは夏道と同じとなる。
しかし福井の雪山Ⅱではなんと鎧の隙間、つまり重なりあった断崖絶壁の弱点を突いて直登してしまうルートを紹介していた。そんなルートなのに中級レベル未満だそうだ。

年末寒波で、各地のスキー場もニンマリの積雪だ。これはもう、行くっきゃ無いでしょう♪
久しぶりの晴れ予報を選んで、のんべんだらりの正月モードからなんとか身体の切り替えスイッチを入れなおす。

何度も見ている山頂部を取り囲む絶壁のイメージが頭から振り払えず、保険としてヘルメットとハーネス装着の上に30mロープを持参することにした。
尚、大日山への縦走コースとして紹介されたルートなので、そんな余裕をかます勇気の無い私は、冬季通常登山口脇の直登尾根から紹介ルートへと合流することにした。


【日 付】 2014年1月3日(金)
【山 域】 加越国境
【天 候】 晴れのち曇り
【メンバー】単独
【コース】 (横倉)7:45 - 8:30(P598) - 10:06(P812) - 12:35(P1080) - 14:07(山頂)14:43 - 16:02(八反滝) - 16:38(横倉)


7:45 まだ他に誰も来ていない、駐車地すぐ脇の尾根を登りはじめる。
ウサちゃんとカモシカくんの足跡の間に私のスノーシューがお邪魔をする。
実はこのスノーシュー、自分への「お年玉?」としてライトニングアクシス22インチになった。
私には足を置く角度の微調整機構と装着が簡単なことがありがたい。

駐車地には、昨日までの雨が凍ったのか アスファルトが1㎝ほどの氷に覆われていた。
そしてその雨は、1mほど積もっている雪面も締まらせてくれた。
てっきり今日は楽勝かと思ったがそんな甘くは無く、標高で百mも登るともう雨は降らなかったのか、重い湿雪に靴上くらいまでスノーシューが沈み込む。


素晴らしい天気の中、尾根を進む。
常に前方に山頂部が見えており、カーブや接続を見極めながら尾根に沿って歩けばよいことが分かる。
もちろんアップダウンはあるが、通過不能になるくらいの大きなギャップは出てこなかった。
P1030763_640.jpg
 


大きく左へと曲がる屈曲点がP812。経ヶ岳や荒島岳が見え出したら、一時的に急激に太陽が翳りだした。
カモシカくんがのっそりのっそりと歩いて行くのを見かけたが、しばらくして対岸の山から盛んに猟の銃声がしだした。何キロも離れていると分かってはいても、気分のいい音ではない。


お昼のサイレンが鳴った。
再び天気は回復してくれたようだ。
山頂部の地形図崖マーク箇所。雪のベールに隠れて少しおとなしく見える。<br />お約束の白山はここまで、この後は雲に隠れてしまった。
山頂部の地形図崖マーク箇所。雪のベールに隠れて少しおとなしく見える。
お約束の白山はここまで、この後は雲に隠れてしまった。

紹介ルートとの合流点でもあるP1080手前で、あまりの急坂&深雪にてこずる。やっとこさ分速二歩くらい ・・・。(^^;)

ちなみにすぐ横は真下の谷底までストーンと百m!!
しかし反対側は広い斜面となっていてスキーならジグを切って楽勝だろうか。

ひたすらの激ラッセルをこなし、やっと恐怖の絶壁部分を抜けることができた。
後はさくっと、山頂部分を片付けるだけ・・・と思ったが、なんのなんのまたもや超絶急斜面、わずか五百mほどにさらにもう一時間半を要した。


山頂直下から、登ってきた全景。
当然、鎧である重なった絶壁部分は見えないが、うまいこと尾根が繋がってるもんだね。
ほとんどが高架道路のような高度感たっぷりの狭い尾根歩きルート。積雪が増えてくればナイフエッジと化す部分も出て来そうだ。<br />また、今回のようなラッセルが無ければないであの急登がさらに問題となる。
ほとんどが高架道路のような高度感たっぷりの狭い尾根歩きルート。積雪が増えてくればナイフエッジと化す部分も出て来そうだ。
また、今回のようなラッセルが無ければないであの急登がさらに問題となる。

14:07 やっと山頂だ。
大日山方向も白山方向も雲が降りてきていた。
今日は久しぶりのめったとない晴れ間で、てっきり山スキーの団体さんが大勢帰った後だろうと思ったが、なぜかトレースはまるっきり無かった。
風を避けてもまだ寒い。合羽を着込んで遅くなった昼食とした。

帰りはヤバイ方向にさえ気をつけて、適当にどこへでもスノーシューの気の向くまま駆け下る「どこでもスノーシュー下り」を満喫。実際相当の急斜面であっても、ふかふかの雪に浮遊感を楽しみつつ危険を覚えることは無かった。
しかし適当がすぎて、八反滝さらに上部の滝横で面倒なコトになった。
滝状の出会いに挟まれた斜面を下ってしまったのだ。時間を十分にかけて慎重にクリア。

16:38 クルマへ到着。
十一時ごろから登りはじめて、早めに切り上げたと言う山スキーヤーが帰り支度をしていた。
そして猟師の軽トラ。
今日は車三台だけだったようだ。
結局、ロープはおろかアイゼン・ピッケルも使うことは無かった。
結局、ロープはおろかアイゼン・ピッケルも使うことは無かった。
越前
アバター
山日和
記事: 3586
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【加越国境】 越前甲 鎧の隙間を縫って 1/03

投稿記事 by 山日和 »

越前さん、あけおめです。今年もよろしく。(^^ゞ
 
そしてこの山へは、スキーのメッカとして多くの山スキーヤーが入山してくる。
これも残念なことに、積雪期には登山者のほうが少数派になる山だ。


越前甲に限らず、取立山にしても銀杏峰にしても山スキーヤー以外は異端者みたいな感じですもんねえ。

その後、しばらく家の中で行方知れずだった「福井の雪山Ⅱ」が押入れから出てきた。(^^;)
するとさすがにベルグラ山の会、越前甲の冬季通常ルートなんか紹介していない。
しかし福井の雪山Ⅱではなんと鎧の隙間、つまり重なりあった断崖絶壁の弱点を突いて直登してしまうルートを紹介していた。そんなルートなのに中級レベル未満だそうだ。


そうなんです。私もこのルート紹介を見てからずっと行きたいと思いながら果たせず・・・
岩壁記号を突破して行くように見えるルートは虚を突かれた感じでした。
この本には行きたいルートが満載です。福井に住みたい~。(^_^;)

【コース】 (横倉)7:45 - 8:30(P598) - 10:06(P812) - 12:35(P1080) - 14:07(山頂)14:43 - 16:02(八反滝) - 16:38(横倉)

越前さんが山頂まで6時間以上とは、かなり歯応えのあるルートだったようですね。

紹介ルートとの合流点でもあるP1080手前で、あまりの急坂&深雪にてこずる。やっとこさ分速二歩くらい ・・・。(^^;)

地形図を見ても強烈ですもんね。(^^ゞ

ひたすらの激ラッセルをこなし、やっと恐怖の絶壁部分を抜けることができた。

クラストしてたらどうなるんでしょうか?

14:07 やっと山頂だ。
大日山方向も白山方向も雲が降りてきていた。


やりましたね~ :D

しかし適当がすぎて、八反滝さらに上部の滝横で面倒なコトになった。
滝状の出会いに挟まれた斜面を下ってしまったのだ。時間を十分にかけて慎重にクリア。


越前さんはこういうの好きですね~ :mrgreen:

            山日和
越前
記事: 217
登録日時: 2012年5月16日(水) 15:43

Re: 【加越国境】 越前甲 鎧の隙間を縫って 1/03

投稿記事 by 越前 »

山日和さん、おめでとうございます。
今年もまた宜しくお願いいたします。

越前甲に限らず、取立山にしても銀杏峰にしても山スキーヤー以外は異端者みたいな感じですもんねえ。
とても大阪在住の山ヤさんとは思えないほどの事情通なご意見ですね。(^^;)
全くその通りです。なぜか登山者は肩身が狭く感じられます。


そうなんです。私もこのルート紹介を見てからずっと行きたいと思いながら果たせず・・・
岩壁記号を突破して行くように見えるルートは虚を突かれた感じでした。
この本には行きたいルートが満載です。福井に住みたい~。(^_^;)

ベルグラさんの発想すること自体が凄いことですよね。でも登ってみて通過不能箇所が出てきたらど~するつもりだったのか・・・。
ともあれ紹介コースは、ラッセル度合&パーティの力量次第です。
今回の私のコースの方がより現実的ですね。

山日和さん、コチラへ引っ越してきて一緒にパーティ組んで雪山三昧しませんか? (笑)


越前さんが山頂まで6時間以上とは、かなり歯応えのあるルートだったようですね。
だ、誰か先頭交代して~、お願い~・・・状態でした。(^^;)


地形図を見ても強烈ですもんね。(^^ゞ
えっと~、分速二歩ってことは・・・わっ、五分でたったの十歩?
我ながらエライ目に逢ってるな~。


クラストしてたらどうなるんでしょうか?
立ち木に不自由はしない斜面でしたが、アイゼンを使えばたぶん問題はないと思います。
ピッケルに加えてピック付きストックも持参していました。


やりましたね~
激闘六時間半でした。
あまりの遅さに白山の営業時間も終了でした。 :oops:


越前さんはこういうの好きですね~
いや、好きなのは「どこへでもスノーシュー下り」であって、面倒な場面へ首を突っ込むコトではありませんので、そこらへんをお間違えのなきように・・・。(笑)
越前
返信する