【中央アルプス】晩秋の権現づるねを歩く
Posted: 2013年11月02日(土) 16:06
【 日 付 】2013年10月27~29日
【 山 域 】中央アルプス
【メンバー】夫婦
【 天 候 】快晴、最終日にみぞれ、雨
【 ルート 】(初日)伊那スキーリゾート 午後2時発 ~ 権現山午後4時着
(第2日)権現山午前6時発~5合目アルプス展望 午前9時~八丁立 午後1時 ~ 西駒山荘 午後3時着
(第3日)西駒山荘から将棊頭山往復 ~ ふらふらになって下山 午後4時
この夏、ふ~さんが権現づるねを歩いています。この静かな森歩きを、
非力な自分もしてみんとてすなり、というわけで、9月末頃にでも行こ
うと思ったのですが、この時期になってしまいました。
朝早く大阪を出ましたが、結局到着は昼過ぎ。道は細々と、スキーリ
ゾートの最上部まで続いていました。茂る草の勢いに窒息しそうな細い道
路でしたが、最後まで舗装されていて、ゲレンデ最上部の駐車スペースには、
7~8台の車が駐まっていました。実はこの日、里の春近地区公民館主催で
権現山集団登山があったようなのです。
もう午後で秋の日は傾きかけていましたが、この登山口で既に標高1160m、
伊那谷と乾いた秋空にはさまれて、南アルプスの山並みがくっきり見えます。
南アルプスにはよく行くのですが、遠くからその全貌をみることは長くなか
ったようにおもいます。「アア、ノコギリ、カイコマ、キタダケ、アイノダケ、
ノウトリ、シオミ…」と指呼する昼食は当然時間を食い、それに重い水、秋の
陽の釣瓶落とし、この三位一体とくれば、ヘッデンのお世話がちらつきます。
でも道はよかった。さすが学校登山の山です。過度の急坂にならないようステ
ップがきられ、階段道にまでロープが添えられています。紅や黄色の照る山紅葉
が体中をつつみ、最後に頂上直下の急登を凌げば、なんとか明るいうちに山頂に
つきました。1749.3m、イナヨクミエルとはよくいったものです。空は快晴で、東
側が大きく切り開かれており、西日を浴びた南アルプスが赤く染まりはじめてい
ました。
さて夜の闇が忍び寄ると、驚いたことにこれまで薄いもやの中に沈んでいた伊
那谷が突然主役に躍り出ました。それは夜景です。多分眼下は伊那市と駒ケ根市
だろうとおもいますが、伊那谷ってこんなに大都会だったの? 天竜川にまといつ
く光の粒が山裾を這いあがり、あふれそうです。関西出身の私は、夜景といえば神
戸が頭に浮かびます。若い頃六甲山で彼女とその夜景をみた人はもちろん、私のよう
にそうでない人も、不思議なことに関西人は六甲山からの100万ドルの夜景というの
は、イメージできることになっています。しかし権現山からの伊那谷の夜景も十分70
万ドルくらいの値打ちはありそうです。特に頂上付近には地元の方々が自分の名前を書
いた木片をたくさん突き刺しており、夜はまるで卒塔婆状況。来年の夏、カノジョと行
けば盛り上がること必定ですよ。
閑話休題。翌朝も快晴です。午前6時過ぎ、南アルプスから朝の最初の光が射しこみ
ました。 いくつかのブログでは、この先しばらくヤブ道になるという記述がありましたが、
今回は見事に刈り払いされていて驚くほど広い登山道が2100mあたりまで続きます。ゆ
るく登ったり平坦になったりの繰り返しです。権現づるねの「づるね」は吊り尾根という
意味のようですが、このあたりがそうなのでしょうね。落葉松が見事に黄葉しています。
指導標はほとんどありません。、もちろん人には会いませんから、自分がどのあたりをすす
んでいるか分かりにくいのですが、そのうち左に方向転換すると、間もなく5合目に着き
ました。ここもアルプス展望地です。刈り払いされていて、南アルプスの全景と、その左手
に八ヶ岳がつづき蓼科山まで全部みえます。 この先、登山道は細いダケカンバ林を縫い、うっそうとしたしらびその森を行きます。空気が
冷えてきました。日射しがとどく草地に着くとホッとします。そうしてこんな静かな森では、
思い出したように聞き知らぬ鳥の声が響くだけです。この季節ですから花はあまりありませ
ん。ただ林床にイチイの幼苗が赤い実をつけていました。標高2200mあたりで八丁立手前の
急登に耐え、疲れた身体をもちあげていくと、樹高が低くなり空がおおきくなってきました。
そのうち登山道はハイマツ帯にはいり、無線アンテナが立つ将棊乃頭で一気に視界が広がり
ます。南に伊那前岳、宝剣、木曽駒、右手北側には茶臼山方面の山々が、そして前方に今日の
目的地、西駒山荘が見えます。
稜線はもう晩秋でした。色どりは少なく、色あせたウラシマツツジの鈍い紅が点在していま
す。巨岩を縫い、はやくも影が伸びだした山道を気持ちよく歩いて、西駒山荘に着きました。
ここは建替えのため、今年度は閉鎖されています。隣接する新屋は、基礎工事だけが終わって
来春までの長い眠りについていました。旧小屋はそのまま残っていましたが、窓は板が打たれ、
扉にも南京錠がかかっています。幸い水場は生きていたので、小屋近くの岩陰に
テントを張りました。しばらくすると近づく闇の気配とともに風がおさまり、ま
とわりついていた雲が下に沈むと、再び山々が望めるようになってきました。南
アルプスがまるで船のようです。伊那谷の雲海の上に、その全貌をさらしていま
す。背後には北アルプスがみえます。御岳山は将棊頭山に隠れてみえませんが、
乗鞍、笠ヶ岳、穂高、槍とはっきり視認でき、北部稜線は既に雪がついていまし
た。 夜は満天の星空でした。写真に撮る技術がないのが残念です。ときどき突風が吹
きました。長く勤務していた職場を10月いっぱいで退職することや、12月から
起業することなどが話題になり、本当にうまくいくのか、山はどうなるのか、な
どと心細い話をしているうちに、酔って寝てしまいました。
翌朝、暗いうちに起きました。天気予報は下り坂を予報しています。2日前まで
は好天のはずだったのですが…。とにかく起きて将棊頭山にでかけました。歩きだ
してすぐ、南アルプスから陽が昇りました。まだ良い天気で、青空がひろがり、
遠くの山々もよくみえます。主稜線から右に折れ、水が凍った天水岩を過ぎ、さらに
稜線を行くと、標高2730m、将棊頭山に到着です。360°の大展望、ま西に西駒から
みえなかった御岳山の巨体があり、ちょうど頂稜部が朝陽を浴びはじめています。南
の駒ケ岳も手まねきしているようにみえました。できるものなら、ここからの楽しい
稜線歩きをしたいものです。しかし天気は下り坂です。明日は仕事で、停滞もできま
せん。下ることにしました。 森林体に入る手前、将棊乃頭で、権現山を視認できました。はるか遠くにかすんでい
ます。そのうちミゾレが降ってきました。ミゾレは下るにつれて雨となって降り続き、
たまたま山靴のソールがツルツルになってきていたこともあって、しょっちゅう足を
すべらせては転び、体力を消耗しました。権現山からはもう膝が笑い、ペースが落ち
るなか、だましだましなんとか下山しました。妻は元気で、中央アルプスが気にいっ
たらしく、また行くようなことを言っています。
、
【 山 域 】中央アルプス
【メンバー】夫婦
【 天 候 】快晴、最終日にみぞれ、雨
【 ルート 】(初日)伊那スキーリゾート 午後2時発 ~ 権現山午後4時着
(第2日)権現山午前6時発~5合目アルプス展望 午前9時~八丁立 午後1時 ~ 西駒山荘 午後3時着
(第3日)西駒山荘から将棊頭山往復 ~ ふらふらになって下山 午後4時
この夏、ふ~さんが権現づるねを歩いています。この静かな森歩きを、
非力な自分もしてみんとてすなり、というわけで、9月末頃にでも行こ
うと思ったのですが、この時期になってしまいました。
朝早く大阪を出ましたが、結局到着は昼過ぎ。道は細々と、スキーリ
ゾートの最上部まで続いていました。茂る草の勢いに窒息しそうな細い道
路でしたが、最後まで舗装されていて、ゲレンデ最上部の駐車スペースには、
7~8台の車が駐まっていました。実はこの日、里の春近地区公民館主催で
権現山集団登山があったようなのです。
もう午後で秋の日は傾きかけていましたが、この登山口で既に標高1160m、
伊那谷と乾いた秋空にはさまれて、南アルプスの山並みがくっきり見えます。
南アルプスにはよく行くのですが、遠くからその全貌をみることは長くなか
ったようにおもいます。「アア、ノコギリ、カイコマ、キタダケ、アイノダケ、
ノウトリ、シオミ…」と指呼する昼食は当然時間を食い、それに重い水、秋の
陽の釣瓶落とし、この三位一体とくれば、ヘッデンのお世話がちらつきます。
でも道はよかった。さすが学校登山の山です。過度の急坂にならないようステ
ップがきられ、階段道にまでロープが添えられています。紅や黄色の照る山紅葉
が体中をつつみ、最後に頂上直下の急登を凌げば、なんとか明るいうちに山頂に
つきました。1749.3m、イナヨクミエルとはよくいったものです。空は快晴で、東
側が大きく切り開かれており、西日を浴びた南アルプスが赤く染まりはじめてい
ました。
さて夜の闇が忍び寄ると、驚いたことにこれまで薄いもやの中に沈んでいた伊
那谷が突然主役に躍り出ました。それは夜景です。多分眼下は伊那市と駒ケ根市
だろうとおもいますが、伊那谷ってこんなに大都会だったの? 天竜川にまといつ
く光の粒が山裾を這いあがり、あふれそうです。関西出身の私は、夜景といえば神
戸が頭に浮かびます。若い頃六甲山で彼女とその夜景をみた人はもちろん、私のよう
にそうでない人も、不思議なことに関西人は六甲山からの100万ドルの夜景というの
は、イメージできることになっています。しかし権現山からの伊那谷の夜景も十分70
万ドルくらいの値打ちはありそうです。特に頂上付近には地元の方々が自分の名前を書
いた木片をたくさん突き刺しており、夜はまるで卒塔婆状況。来年の夏、カノジョと行
けば盛り上がること必定ですよ。
閑話休題。翌朝も快晴です。午前6時過ぎ、南アルプスから朝の最初の光が射しこみ
ました。 いくつかのブログでは、この先しばらくヤブ道になるという記述がありましたが、
今回は見事に刈り払いされていて驚くほど広い登山道が2100mあたりまで続きます。ゆ
るく登ったり平坦になったりの繰り返しです。権現づるねの「づるね」は吊り尾根という
意味のようですが、このあたりがそうなのでしょうね。落葉松が見事に黄葉しています。
指導標はほとんどありません。、もちろん人には会いませんから、自分がどのあたりをすす
んでいるか分かりにくいのですが、そのうち左に方向転換すると、間もなく5合目に着き
ました。ここもアルプス展望地です。刈り払いされていて、南アルプスの全景と、その左手
に八ヶ岳がつづき蓼科山まで全部みえます。 この先、登山道は細いダケカンバ林を縫い、うっそうとしたしらびその森を行きます。空気が
冷えてきました。日射しがとどく草地に着くとホッとします。そうしてこんな静かな森では、
思い出したように聞き知らぬ鳥の声が響くだけです。この季節ですから花はあまりありませ
ん。ただ林床にイチイの幼苗が赤い実をつけていました。標高2200mあたりで八丁立手前の
急登に耐え、疲れた身体をもちあげていくと、樹高が低くなり空がおおきくなってきました。
そのうち登山道はハイマツ帯にはいり、無線アンテナが立つ将棊乃頭で一気に視界が広がり
ます。南に伊那前岳、宝剣、木曽駒、右手北側には茶臼山方面の山々が、そして前方に今日の
目的地、西駒山荘が見えます。
稜線はもう晩秋でした。色どりは少なく、色あせたウラシマツツジの鈍い紅が点在していま
す。巨岩を縫い、はやくも影が伸びだした山道を気持ちよく歩いて、西駒山荘に着きました。
ここは建替えのため、今年度は閉鎖されています。隣接する新屋は、基礎工事だけが終わって
来春までの長い眠りについていました。旧小屋はそのまま残っていましたが、窓は板が打たれ、
扉にも南京錠がかかっています。幸い水場は生きていたので、小屋近くの岩陰に
テントを張りました。しばらくすると近づく闇の気配とともに風がおさまり、ま
とわりついていた雲が下に沈むと、再び山々が望めるようになってきました。南
アルプスがまるで船のようです。伊那谷の雲海の上に、その全貌をさらしていま
す。背後には北アルプスがみえます。御岳山は将棊頭山に隠れてみえませんが、
乗鞍、笠ヶ岳、穂高、槍とはっきり視認でき、北部稜線は既に雪がついていまし
た。 夜は満天の星空でした。写真に撮る技術がないのが残念です。ときどき突風が吹
きました。長く勤務していた職場を10月いっぱいで退職することや、12月から
起業することなどが話題になり、本当にうまくいくのか、山はどうなるのか、な
どと心細い話をしているうちに、酔って寝てしまいました。
翌朝、暗いうちに起きました。天気予報は下り坂を予報しています。2日前まで
は好天のはずだったのですが…。とにかく起きて将棊頭山にでかけました。歩きだ
してすぐ、南アルプスから陽が昇りました。まだ良い天気で、青空がひろがり、
遠くの山々もよくみえます。主稜線から右に折れ、水が凍った天水岩を過ぎ、さらに
稜線を行くと、標高2730m、将棊頭山に到着です。360°の大展望、ま西に西駒から
みえなかった御岳山の巨体があり、ちょうど頂稜部が朝陽を浴びはじめています。南
の駒ケ岳も手まねきしているようにみえました。できるものなら、ここからの楽しい
稜線歩きをしたいものです。しかし天気は下り坂です。明日は仕事で、停滞もできま
せん。下ることにしました。 森林体に入る手前、将棊乃頭で、権現山を視認できました。はるか遠くにかすんでい
ます。そのうちミゾレが降ってきました。ミゾレは下るにつれて雨となって降り続き、
たまたま山靴のソールがツルツルになってきていたこともあって、しょっちゅう足を
すべらせては転び、体力を消耗しました。権現山からはもう膝が笑い、ペースが落ち
るなか、だましだましなんとか下山しました。妻は元気で、中央アルプスが気にいっ
たらしく、また行くようなことを言っています。
、