撤退と敗退の狭間で・・・

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カッチャン
記事: 175
登録日時: 2011年11月25日(金) 07:56

撤退と敗退の狭間で・・・

投稿記事 by カッチャン »

過去、積雪期のラッセルで撤退したことは何回かあるが、今回は敗退という言葉を使うべきだろう・・・。

【 日 付 】9月15日(土)
【 山 域 】奥美濃
【メンバー】単独
【 天 候 】雨のち曇りのち晴れ
【 ルート 】南越前市広野 丸太橋→ロボットピーク→すごすご・・・→泪橋 :cry:

ロボピークと夏小屋丸の鞍部から励谷を下降し、不動、千回沢までピストンし、ゴヨクラもしくはハゲン谷でツェルト泊後、翌日のお昼には帰還が当初の予定だった。

そのために、ロープと地下足袋を用意し、家を出る時の気持ちは鬼にカナブン だったが、敗退となり使えずじまいで、猫に小判鮫、豚に真珠湾攻撃になってしまった。

14日登り口にて前泊。 
夜半からの雨が車の屋根を叩き続け、頭の中で杞憂が始まる。

明日は足場心配だな。
スベルのは学生時代から慣れてはいるが、谷筋の滑りは命に直結する。
親父の地下足袋を借りてきたが、使うのは初めて。

ロープを持ってきたが、こちらも使ったことがない。
恥ずかしい話、エイト環、カラビナ、ハーネスがあって初めて安全な下降ができるというロープの使い方を知ったのは昨日(図書館で借りてきた沢登の本に書いてあった)。
この4点セットの内、自宅にあったのはロープだけ。

見知らぬ沢は同じだが、真の谷や千回沢は遡行から入ったのに対し、今回はいきなり源頭部からの下降から始めなければならない。
鬼(滝)が出るか蛇(高巻き不可の岩場)が出るか…。
励谷に関する情報もゼロ。

藪ならどんな藪でも時間さえあれば切り抜ける自信があるが、沢については専門外だしなー。

気持ちの中が生来の弱気虫であふれかえってしまった :?

「尺進あって寸退なし」「赤子泣いても蓋とるな」の格言通り、現場での敵前逃亡は恥ずかしいことだと思っていたが、出発前夜からこの体たらくでは・・・。

まあ、しかし、明日になれば天気も回復し、気持ちも前向きになり、案ずるより産んでみなさい、ってなもんや三度笠 :lol:


15日AM5時半
雨はあがったが、すっきりしない空模様。
降りさえしなければ良しとしようか。
出発。

今日はお泊まりだから、気楽。
日帰りの時みたいにビバークを心配して気が急くこともない。

残暑できつい登山を覚悟していたが、ブナの間を吹き抜ける風も涼しく登山日和。

この道をたどるのは、「笹ヶ峰」、「okuさんojiさん」、そして今回、つごう3度目。
道を見失うことはないが、体が重い。
普通30分の暖機運転でエンジンがかかってくるが今日はどうしちゃったんだろう。
笹の元気がよいのとあいまって、前進するスピードが自分でもわかるほど遅い。

前回より1時間ほど余分に時間をかけロボピーク到着。

・・・ :shock:
何も見えない。
視距10mあるかないか。

笹ヶ峰、大河内山はおろか、源頭部降り口さえ分からない。

昨夜降った雨が水蒸気となり、美濃側から吹き上る風に次から次へと乗り、霧で辺り一面覆い尽くされている。
全く想定外の状況が目の前に・・・。

ロボピークからは、不動山を正面に、励谷が桂三枝よろしく「いらっしゃーーい。」と言って迎えてくれるはずだった。

ア、 アカンガナ山国立公園。
尾根専山登リストが専門外初谷下リストになるには、あまりにもリスキーな・・・。

全貌が見えぬなら、見えるまで待とうホトトギス。

しかし、見えない未知の谷は、人を寄せ付けない恐ろしい谷に思えてきて、奈落の底という言葉が思い浮かんだりする :o

時々瞬間芸で見せる霧晴れ時の谷は、穏やかな感じがしないでもない。

が、絶対間違いないと踏んでいた千回沢でも源頭部近くに5mの落差があったりして、シンプルな沢でも油断ならない。

1時間の間、トライするか、やめるか、気持ちの綱引き状態が続いた。

「このまま、晴れなければトライせずにすみ、言い訳ができる。」
と思った瞬間、自分自身に負けた己を悟った。

言い訳を考えているようでは退くべきだと思った。
既に、勝負に負けているから。

しこうしてKatupediaのページに敗退の文字が燦(惨)然と輝くことに相成った次第。


追記1
準備、実行、後始末。
山行で最も大事な3点セットの内、千回沢での後始末(総括)、今回の準備(心構え)が全くなっていなかった。

エイト環による制動、カラビナによる吊下がり具合などの試行など、やるべきことが何もされていなかった(前日に本で知るなど論外)。

真の谷も千回沢も頭の中で繰り返しシュミレーションを重ねて、当日怖さは全くと言っていいほど感じなかった。
しかし、今回は下降のイメージングをしなかった、というより情報がなさすぎて出来なかったので不安をぬぐい去れなかった。

戦う前に気持ちで敗れていた。
そう、小次郎破れたりである。
『五輪の書』にも書いてあったような気がする。
負けそうないやな予感がすることを「ム(サ)シの声が聞こえる」と・・・ :mrgreen:


追記2
「ハゲン谷はコゲン下降するばってん。ドゲンこつなかよ。」
と薩摩弁で、誰かレポあげてくれんとよ。
すぐ追いかけるばってん。


カッチャン
アバター
山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 撤退と敗退の狭間で・・・

投稿記事 by 山日和 »

カッチャン、こんばんは。「雑談」ではもったいないので山のフォーラムへ移動しときました。 :D

ロボピークと夏小屋丸の鞍部から励谷を下降し、不動、千回沢までピストンし、ゴヨクラもしくはハゲン谷でツェルト泊後、翌日のお昼には帰還が当初の予定だった。

いい計画ですねえ。

スベルのは学生時代から慣れてはいるが、谷筋の滑りは命に直結する。
親父の地下足袋を借りてきたが、使うのは初めて。


その地下足袋ってスパイク付きですか?フェルトの渓流タビが渓流シューズを買う方がいいと思いますよ。

恥ずかしい話、エイト環、カラビナ、ハーネスがあって初めて安全な下降ができるというロープの使い方を知ったのは昨日(図書館で借りてきた沢登の本に書いてあった)。

ひとつ抜けてます。「エイト環、カラビナ、ハーネスがあって、使い方を習熟して初めて安全な下降ができる」ですわ。

見知らぬ沢は同じだが、真の谷や千回沢は遡行から入ったのに対し、今回はいきなり源頭部からの下降から始めなければならない。
鬼(滝)が出るか蛇(高巻き不可の岩場)が出るか…。
励谷に関する情報もゼロ。


未知の沢を下るというのは非常にリスキーですし、私でも躊躇します。兔夢さんは平気で行きますけどマネできません。
懸垂で降りてロープを回収した後通過不能の場所に遭遇して登り返しもできないとなったら・・・


1時間の間、トライするか、やめるか、気持ちの綱引き状態が続いた。

「このまま、晴れなければトライせずにすみ、言い訳ができる。」
と思った瞬間、自分自身に負けた己を悟った。

言い訳を考えているようでは退くべきだと思った。
既に、勝負に負けているから。


この気持ち、よくわかります。私も幾度となくそんな場面がありました。

エイト環による制動、カラビナによる吊下がり具合などの試行など、やるべきことが何もされていなかった(前日に本で知るなど論外)。

とにかくいきなり本番(人が行かないような場所での)ではなく、鈴鹿の簡単な沢あたりで練習してからの方がいいと思います。
ハゲン谷そのものは遡行したことないですが、金ヶ丸谷との出合あたりは実にいい雰囲気です。
ハゲン谷、大ヤブレ、金ヶ丸本流を絡めた周回ルートは実に魅力的だと思いますよ。
(煽ってどうすんねん^^;)

                         山日和

金ヶ丸中流域の癒しの樹林
金ヶ丸中流域の癒しの樹林
越前
記事: 217
登録日時: 2012年5月16日(水) 15:43

Re: 撤退と敗退の狭間で・・・

投稿記事 by 越前 »

カッチャン、今晩は。
表題に残念さがにじみ出てますね。

しかし今回のレポを読んで、撤退されたことに正直私はほっとしました。
ピークを求めるためとはいえ、いままでのカッチャンの山行はあまりにも押しの一手。
私もフツーの登山者よりはかなりアブナいヤツだと自覚していますが、その私が読んでもでもはらはらどきどき・・・・。

カッチャンが「引くこと」を知っていると分かり、うれしく思ったのは私だけではないでしょう。
山は逃げないといいます。
次回はもう少し準備を整えてからの再挑戦で、会心の山行としてください。


                  越前
越前
カッチャン
記事: 175
登録日時: 2011年11月25日(金) 07:56

Re: 撤退と敗退の狭間で・・・

投稿記事 by カッチャン »

カッチャン、こんばんは。「雑談」ではもったいないので山のフォーラムへ移動しときました。

山日和さん、こんばんは。
お世話かけました。
お引越し記念に何かタイトルに合った画像貼っとかなきゃ。
【つわものどもが夢の跡(ロボット雨量計残骸)】
【つわものどもが夢の跡(ロボット雨量計残骸)】
ロボピークと夏小屋丸の鞍部から励谷を下降し、不動、千回沢までピストンし、ゴヨクラもしくはハゲン谷でツェルト泊後、翌日のお昼には帰還が当初の予定だった。
いい計画ですねえ。
励谷がルートとして使えるかもと、okuさんに教えてもらってから、頭にこびりついてしまって・・・。
スベルのは学生時代から慣れてはいるが、谷筋の滑りは命に直結する。
親父の地下足袋を借りてきたが、使うのは初めて。
その地下足袋ってスパイク付きですか?フェルトの渓流タビか渓流シューズを買う方がいいと思いますよ。


敵前逃亡という失敗(スッパイ)ク付きですが、エッフェルトウのように高そうな渓流タビや渓流シューズは・・・。
しかし、命に較ぶべくもないので、クラーク・ケント(深く検討)しようかな。
恥ずかしい話、エイト環、カラビナ、ハーネスがあって初めて安全な下降ができるというロープの使い方を知ったのは昨日(図書館で借りてきた沢登の本に書いてあった)。
ひとつ抜けてます。「エイト環、カラビナ、ハーネスがあって、使い方を習熟して初めて安全な下降ができる」ですわ。

やはり、導師の言は どうし たって深くなりますね。
今度お店に行ったら、沢登諭吉監修「習熟のススメ」ぺツル・ブラックダイヤモンド社刊も注文してきます。
見知らぬ沢は同じだが、真の谷や千回沢は遡行から入ったのに対し、今回はいきなり源頭部からの下降から始めなければならない。
鬼(滝)が出るか蛇(高巻き不可の岩場)が出るか…。
励谷に関する情報もゼロ。
未知の沢を下るというのは非常にリスキーですし、私でも躊躇します。兔夢さんは平気で行きますけどマネできません。
懸垂で降りてロープを回収した後通過不能の場所に遭遇して登り返しもできないとなったら・・・

その状態は想定外でした。
素人では洒落にならずにシャレコウベになる可能性が・・・。
1時間の間、トライするか、やめるか、気持ちの綱引き状態が続いた。
「このまま、晴れなければトライせずにすみ、言い訳ができる。」
と思った瞬間、自分自身に負けた己を悟った。
言い訳を考えているようでは退くべきだと思った。
この気持ち、よくわかります。私も幾度となくそんな場面がありました。


山さんは、男女間のものと同じくらい数多くの修羅場をくぐってみえるだけに、行く退くの判断は間違いないと思います :mrgreen:
【瞬間見せる姿では、一見容易な下降が・・・】
【瞬間見せる姿では、一見容易な下降が・・・】
とにかくいきなり本番(人が行かないような場所での)ではなく、鈴鹿の簡単な沢あたりで練習してからの方がいいと思います。
ハゲン谷そのものは遡行したことないですが、金ヶ丸谷との出合あたりは実にいい雰囲気です。
ハゲン谷、大ヤブレ、金ヶ丸本流を絡めた周回ルートは実に魅力的だと思いますよ。
(煽ってどうすんねん^^;)

子供を山好きにするテクニックを駆使して、桃源郷の画像付きで素人を沢好きにしろうと(しようと)沢庵(たくらむ)・・・。
シュークリームさんのような体捌きができればいいのですが、鯛をさばくことさえできないし・・・。
練習にハゲンだ後、大ヤブレかぶれで、黄郷をっと味わえれば、懐のれ。
ああ周回(そうかい)・・・(^^;
【紫のツヤビカリするきのこ・・・紫スキップ(式部)と名づけようっと】
【紫のツヤビカリするきのこ・・・紫スキップ(式部)と名づけようっと】
                        
 カッチャン
カッチャン
記事: 175
登録日時: 2011年11月25日(金) 07:56

Re: 撤退と敗退の狭間で・・・

投稿記事 by カッチャン »

カッチャン、今晩は。
表題に残念さがにじみ出てますね。


越前さん、こんばんは。
残念でしたが、心の声に正直にしました。
前夜来の雨、募る不安、濃霧、これらは虫の声が退くべきと言っているような気がしたので、ムシできませんでした。

しかし今回のレポを読んで、撤退されたことに正直私はほっとしました。
ピークを求めるためとはいえ、いままでのカッチャンの山行はあまりにも押しの一手。


おっしゃるとおり、気持ちはフランクにシナトラ(やか)にでしたが、行為が強引ングマイウェイな一面がありました。
千回沢での事故は、今回の退きに若干精神的な影響を与えたようです。

私もフツーの登山者よりはかなりアブナいヤツだと自覚していますが、その私が読んでもはらはらどきどき・・・・。


越前さんの発想は、我々一般人では想像もつかない一面があったりしますが、エスケープルートはじめ危機管理面での対応(想定、能力とも)がしっかりしてみえるので、安定感を感じます。
【これがアブナイ花?】
【これがアブナイ花?】

カッチャンが「引くこと」を知っていると分かり、うれしく思ったのは私だけではないでしょう。
山は逃げないといいます。
次回はもう少し準備を整えてからの再挑戦で、会心の山行としてください。


ありがとうございます。
越前さんの一言をダメ親父に対するダメ押しとして、当初計画は当分の間凍結といたします。
コンゴ、ザイル共和国の文化に触れ、エリオット・(ハー)ネスのように粘り強く、鎖帷子(くさりカラビナ)に体を慣らし、エイト環(マン)のように弾より速く走れるようになったら原計画を解凍しちゃって いいかなー。
大伴家持(いいともー のやかもち) :lol:
【帰りは好天、また来てネット・・・】
【帰りは好天、また来てネット・・・】
                
追伸
山日和さんに狙われた山の中には恐ろしさで逃げる山もあるそうですよ :mrgreen:
本人がそう言うてはりましたから間違いありません。 

カッチャン
アバター
山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 撤退と敗退の狭間で・・・

投稿記事 by 山日和 »

カッチャン、こんばんは。

おちゃらけるのもいいですが、度が過ぎるとどうかと思います。

ちゃんと聞いてもらえないならもう言いませんが・・・・

               山日和
カッチャン
記事: 175
登録日時: 2011年11月25日(金) 07:56

Re: 撤退と敗退の狭間で・・・

投稿記事 by カッチャン »

山日和様

たいへん失礼いたしました。
千回沢山でのご指摘、今回のアドバイスを含め、肝に銘じております。
エイト環、カラビナ、ハーネスは購入してありますので、明後日には近場の沢(地元)に練習に行ってこようと思っております。
心配いただいた上、沢に関する知識を丁寧にご教授いただいているにもかかわらず、調子に乗りすぎて言葉が過ぎ、御不快な思いをかけました。
ここに、謹んでお詫び申し上げるとともに、まじめに取り組もうと思います。
命にかかわることですから。

敬具

カッチャン
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