【愛知の里山】知多半島の背骨を行く

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通風山
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登録日時: 2011年2月11日(金) 08:12
お住まい: 愛知県常滑市

【愛知の里山】知多半島の背骨を行く

投稿記事 by 通風山 »

知多半島南部の丘陵地帯を行く。阿久比町、武豊町、美浜町、南知多町の各最高地点と知多半島唯一の一等三角点へ。
最南端の南知多町ではちょっとがっかり。
またしても電チャリの出番だ。 ;)

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11/21(木)
天気がいいので急遽出かけることにした。
まずは阿久比町の最高地点、「峠ヶ峰」74.9mへと向かう。
ほとんど常滑市と半田市と阿久比町の境に位置する。
この辺りは旧尾張藩の直轄林で「鎗場山御林」と呼ばれていたようだ。

久米の集落を抜けて旧半田街道へと向かうと、やがて半田池のわきを通る。
この池はかつてアマチュアのボートレースの池として、名が通っていたが、今ではその面影もない。
知多半島は昔から水利権がいろいろあったようで、この半田池はよく地形図を見ると、半田、常滑、阿久比の境界になっている。
田んぼへの引水の権利についてはよくわからないが、そんな視点で見てみるのも面白い。このあたりでは1.2を争うため池である。
知多半島のため池の数は1000ともいわれている。
知多半島はかつて万年水不足の地域であった。気候も温暖で少雨というわけではなく、どちらかというと多雨の地域であるにもかかわらずである。
紀伊半島の多雨で有名な尾鷲とは直線距離でもそう離れていないわけなのになぜか・・・。
それは地質にある。保水力のない粘土質だからだそうだ。降ってもすぐ流れちゃうんだそうだ。
知多半島の背骨はせいぜい標高100m。海岸まで10km。ここで農業をしようとするのだから、ため池は必然となってくるのだろう。
肥沃な濃尾平野の農業と比べてみると、この地域がいかに農業で苦しい思いをしてきたのかがわかる。
伊勢湾に面した地区は漁業、粘土を利用した常滑を代表する古窯などが産業の主になっていたのではないだろうか。
愛知用水の開通によって大きな農業改革が訪れるまではそんな貧しい地域だった。
ちなみにずいぶん前に知多半島の中小河川の源流を調べてみたが、すべて「愛知用水」であった。 :oops:
ずいぶん話が脱線してしまったので、このくらいにしておこう。

今日の半田池は干上がってしまっている。いつもは水を満面にたたえているのに。
レジャーを禁止を知らせる看板もあった。
半田池
半田池
この半田池を南から回り込み東の小高い山、峠ヶ峰を目指す。
池の東側はもうすでに阿久比町となっていた。
東から回り込む実線の道は草ぼうぼうで廃道に近い。
いったん戻って小道に自転車を止めて南側からアプローチして、薮山に突っ込んだ。
薮漕ぎしてプチ稜線へ
薮漕ぎしてプチ稜線へ
なかなか手ごわい薮である。
ツタに足を取られ、茨にひっかけられて高地高地へと歩を進めると、造成地の崖の上に三角点があった。
峠が峰四等三角点
三角点発見
三角点発見
低山ながらやぶが激しく、ズボンがひっつきむしの種だらけになってしまった。
この種を取るのに時間がかかったが、これも里山の趣と割り切って帰路についた。

軌跡などは↓
阿久比最高地点峠ヶ峰 | Garmin Adventures

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11/23(土祝)
【武豊町最高地点】警固山と【美浜町一等三角点】鍋山

常滑から味覚の道を通って小鈴谷から広目東部丘陵の畑地帯を行くとイチジクやミカンの栽培が多くなってくる。
そんな畑の農作業用具置き場として利用されている面白いものがあった。
畑の地主にお会いして話を伺いたいものだ。
なぜかゴンドラ
なぜかゴンドラ
広目の丘陵部を小春日和の風を感じながら走ると、あっという間に武豊町に入り、丘陵部の武豊町自然公園についた。
 ここはもうずいぶん前から整備されて、
知多半島内では好きな公園のひとつである。
なんといっても、自然がそのまま残すように設計されているので、故郷常滑などで失われてしまった 里山の雰囲気がある。
DSC00050.jpg
 初めてクロスバイクで走ってみたが、これがまた実に走りやすく、階段も半分ぐらいは乗ったまま上り下りできる。
山道も走りやすく実に快適で楽しかった。四季折々にお手軽な里山として、訪れたい思いが留まった。
 ただし遊歩道なので歩行者にあったら下りることが肝心。
 この自然公園から武豊町最高地点の警固山83.6mへと向かうことができる。
道標は整備されている
道標は整備されている
 道も里山の尾根伝いの未舗装の車道で面白い。途中にイチョウの真っ黄色に出会う。銀杏でも栽培しているのだろうか。
真っ黄色
真っ黄色
 警固山は源頼朝が、野間で討たれた父義朝の供養の際、見張りの警護に使った山との伝説があるようで、それが山名の由来となっているようだ。
警固山山頂83.6m
大谷道三等三角点
大谷道三等三角点
 山頂には大きな電波塔が二基そびえている。
 東は碧南の火力発電所、西はセントレアと三河湾、伊勢湾と双方の海が見渡せる。
電波塔が邪魔だが、いたしかたない。

 その後、知多半島道路の側道から美浜町オレンジラインに向かう。
 オレンジラインとは知多半島を名鉄河和口駅から、知多奥田駅まで横断するハイキングコースとして設定されている。
標識の上には鵜のオブジェがかわいい
ハイキングコース・オレンジライン
ハイキングコース・オレンジライン
 途中には三河湾国定公園の「鵜の池」とか一等三角点の「鍋山」通過していく。
 今回はオレンジラインの一部を使って、知多半島唯一の一等三角点鍋山へ行ってみることにした。 まさか知多半島の山の最高地点ではないところに一等三角点があるなんて思いもよらなかった。しかも標高81.6mの低山。
地形図では海抜81.6m
DSC00068.jpg
一等三角点
鍋山一等三角点
鍋山一等三角点
 展望は伊勢湾方面がよい。 オレンジラインに戻って走る。竹林や紅葉の道がいい。
鍋山あたりの紅葉
DSC00074.jpg
天然記念物の鵜の池ではヒッチコックの映画を思い出させるような鵜の生息地でびっくりする。
鵜の池
鵜がいっぱい
鵜がいっぱい
 この辺りから知多半島南部に入ってくるわけだが、里山の自然が多く残る知多半島の丘陵地帯を行くルートとしておすすめコースだ。

軌跡など詳細は↓
武豊町最高点と美浜町一等三角点 | Garmin Adventures

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11/24(日)
【美浜町最高地点】老眼山と【南知多町、知多半島最高地点】高峰山
11/23は勤労感謝の日、仕事があるということは幸せなことである。
これは自営業者としての真骨頂である。

今年最後の連休は2日続けて知多半島をポタリング。昨日は武豊町の最高地点警固山と美浜町の一等三角点鍋山を訪れた。
今日も小春日和のいい日のようなので、さらに知多半島を南下して、美浜町の最高地点、老眼山111.0mと、南知多町の最高地点高峰山128.5mを目指すことにする。
自宅を10時に出発。近場はこれがいい。
しかも手作りのおにぎりをトレラン用のリュックに入れた。
まず、美浜少年自然の家という、愛知県の研修施設に向かう。この施設のハイキングコースに老眼山がある。
キャンプファイヤー場から続くハイキングコースを上がっていくと、老眼山への分岐に出合う。しかし老眼山とは、自分の最近の目の劣化をつかれた様でなんとも・・・。山名の由来など知りたいものだ。
木で土留めされた急こう配の階段を下ったところで、電チャリをデポ。あとは歩きできつい階段を一気に上がると山頂に着いた。
DSC00090.jpg
低山なのであっけない。
老眼山山頂 野間村二等三角点
DSC00092.jpg
気が付けば、老眼山はきれいな双子峰だった。
双子峰
双子峰

さて次は南知多町の最高地点であり、知多半島の最高地点、高峰山を目指す。
この山は知多半島の最高地点であるにも関わらず、前述の熱田労山監修の「愛知の100山」には載っていない。
実は高峰山はかつて「内海フォレストパーク(1982~2003)」として、バブル全盛期にはフィールドアスレチック、ディスクゴルフ(いずれも死語か)や芝生広場などのレジャー施設があり、アウトドア型のテーマパークとして名鉄が経営しており、海岸線の駐車場からロープウェイ(このロープウェイは日本一の斜度という歌い文句だった。)を使って一気に山頂公園にアクセスしていたのだ。
バブル崩壊で多くのテーマパークが閉鎖された中、フォレストパークも同じ道をたどることになる。
内海フォレストパークのHPの残骸
http://web.archive.org/web/200310072238 ... p/~forest/
ロープウェイの往復と入園料で1000円を払わないと到達できない、レジャー施設の一隅の山頂であったのだ。

前置きが長くなった。というのも今はどうなっているかというと、ジャ~~ン。
封鎖、10万円いただきます。奥に見えるは高峰山
封鎖、10万円いただきます。奥に見えるは高峰山
閉鎖というか、封鎖というか・・・・。
かつての従業員が利用していたであろう、内海東端からの山道から向かうと完璧に両サイドさえ20mほど手前から網で封鎖され、横入りも許さぬ!といった構造物が設置してある。
前地権者の名鉄といい、南知多町といい、なんともやるせないというか、知多半島の住人としてかつ、一登山者として腹立たしくも悲しくも思えてきてしまう。
これも開発、営利、というどうしようもない事実を突き付けられたようだ。
施錠されたゲートには無断侵入者には罰金10万円いただきます。とのお触書まである。

内海フォレストパークが閉園して10年。ネット上にも昔の情報しかなく、廃墟になっているとかいろいろ言われているが、果たして今はこの奥がどうなっているのか。
いや奥はどうでもいいのだ。知多半島の最高地点の三角点が踏みたい。風光明媚な山頂に立ちたい。それだけなのだ。

この封鎖を突破する気にもならず、地形図を見る。
利屋から西村に伸びる破線が目についた。高峰山山頂から北東に400mほど離れている。
takamine.jpg
余談であるが、地形図に破線の残るのは南知多町と美浜町ぐらいで知多半島の破線はもうほとんどなくなってしまった。

とりあえず行ってみるかということで電チャリをUターンさせ下り坂を飛ばす。
人生下り坂サイコ~~である。

利屋(とぎや)からミカン畑のあるため池を過ぎると、一気に道が山道になり怪しくなってくる。いよいよ破線に突入した。それでも踏み跡はしっかりしているので、なんとか電チャリを強アシストにしてこいで行ける。道幅は人がかろうじてすれ違えるほどだ。
荒れた山道
荒れた山道
細い竹の伐採跡にタイヤを乗せないように慎重にこぐ。
気が付けば両脇の木々には樹名の表札がペンキのハンドメイドでほほえましく架かっている。
そして手作りの標札が・・・・。
手作りの道標
手作りの道標
矢印に導かれるように進むとツタで覆われたアスファルトの道に出た。
ツタが絡むのでチャリをデポ。さらに進むとブルドーザーで押し寄せられたと思われる、ぐちゃぐちゃになった巨木の塊が行く手を阻む。相当の量だ。
この木々の残骸をなんとか乗り越えて見える風景に愕然とする。

そこにあったのは高いフェンスで囲まれた広大なソーラー発電所だった。
人の侵入を拒絶した理由がこれだったのか。

フェンスを遠巻きに回り込んで、三角点を目指す。やぶ漕ぎである。
しかし、草ぼうぼうの三角点付近は必死で探したにもかかわらず。笹とツタの入り混じる場所で、よくある三角点を大事にしようという白い標柱と、昭和初期に建てられた「伊勢山頂上高峰」の石柱しか見つけられなかった。
三角点は大切に!
三角点は大切に!
高峰山は実は伊勢山なのか?
高峰山は実は伊勢山なのか?
GPSでは間違いなく踏んでいるのだが・・・・・。

昔の三角点の画像がネット上にあり確かめてみると、地面すれすれに頭だけ出した三角点であることがわかった。きっと地中に埋まってしまっているのかもしれない。
三角点探しに疲れて、ふと頭をあげると伊勢湾の風光明媚な景色が目に映った。
高峰山から伊勢湾を望む
高峰山から伊勢湾を望む
地権者の範囲はソーラーの部分だけかそれともこの三角点も含むのかわからない。
いずれにせよ知多半島の最高地点は一般人から手の届かないところに行ってしまったようだ。
もうここには来たくない。もう二度と来ないだろう。なぜかそんな思いが強くなった。

帰宅してから調べてみると、利屋から西村に抜ける破線は「内海、山海まちづくり協議会 きずなの会」という団体が「利屋、西村古道」として里山を守る活動の一環で何とか歩けるように整備を続けているそうだ。頭が下がる思いで、陰ながら応援させていただきたい。

高峰山128.5m、知多半島最高地点。低山ながら知多半島では高きが故にいわくのある残念な山。
南知多町の山としては、この高峰山ではなく、標高124.9mの大泊にある「富士ヶ峰」を紹介しているものが多い。
ここは僕は未踏だ。富士山が見えるらしい。知多半島の最高地点は脳内ではここにしておこうか。
いや、しかし、やっぱり・・・・・・。


複雑な思いで海岸線を漕いで帰路につけば、夕陽は鈴鹿山脈のはるか南に沈みつつあった。もうそんな季節になった。

詳細コースなどはこちら↓
美浜町、南知多町 最高地点 | Garmin Adventures
通風山
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