先日のグーさんのレポを見てヌタハラ谷に行こうと思った。県道蓮線がまだ通行止であれば、蓮小学校跡から里川右岸尾根を通ってヌタハラ林道に抜けるのが最も早いコースだろう。夫婦滝展望駐車場から夫婦滝の落ち口に抜けるトラバース道も確認してこよう。
【 日 付 】2019年8月7日(水)
【 山 域 】台高 櫛田川水系 蓮川
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【 ルート】 蓮小学校跡 6:47 --- 里川右岸尾根うろうろ --- 8:45 蓮小学校跡 --- 8:55 ヌタハラ林道入り口駐車地 --- 10:41 夫婦滝 11:44 --- 13:00 夫婦滝落ち口 --- 14:09 不動滝 14:26 --- 15:55駐車地
6時半頃に蓮小学校跡に到着。蓮集落跡を通って里川右岸尾根に取り付く。踏み跡を辿っていくと、そのうち踏み跡がなくなる。いろいろコースをたどるが見つからない。そのうち暑くなって、汗がサウナのように吹き出してくる。「やめやめ」、こんなところでうろうろしていてもしょうがない。あきらめて小学校跡地に戻る。追い討ちのようにヒルが1匹付いてきた。
気を取り直して,ヌタハラ谷でちょっと遊んで帰ろう。この時点で,目標を夫婦滝巻道の探索に変更する。ヌタハラ谷自体は安全な谷で,ロープを出して突破するような滝はない。しかし,夫婦滝の巻きは急斜面を突破するため,通常,ロープを出して巻いている。以前,この巻きで滑落死亡事故も起きているらしく,厳しい巻きなのだ。もし,もっと安全でロープがいらない巻道があれば,単独でもこの谷を遡行することができる。
ヌタハラ林道のヌタハラ谷出会いに移動。左岸道からヌタハラ谷に下りる。ヌタハラ谷に来るのはこれで4回目だが,過去3回はいずれもパーティーを組んでの遡行で,のんびりと周りの景色を楽しむことはできなかった。今回数年ぶりに来てみて改めていい谷であると感じた。
岩は青田の谷と同様堆積岩だが,谷の印象が異なる。青田の谷には大きな滝はないが,蓮の谷には名前がついた有名なスラブ系の大滝が多い。これは,絵馬小屋谷,野江俣谷,奥の平谷などと共通するものだ。これの極め付けは絵馬小屋谷の五所が滝だが,奥の平谷の法螺貝の滝,野江俣谷の鶴小屋滝なども同様である。青田の谷にはこのような滝はない。これは地質の違いによるものだろうが,水系が少し異なるだけで谷の印象が変わってくるのは面白い。
のんびり歩いていると,緑色をした岩や赤茶色の岩などがあって面白い。スラブ系の滝が多いのでそのような滝は登れないが,簡単に巻き登ることができる。少し行くと右岸の穴から水が湧き出ている。ペットボトルに水をいっぱいにして飲む。美味しい水だ。
- 湧き水
夫婦滝の手前に来ると倒木の山。たしか2011年だったかな,水害で左岸の山が抜け,倒木が谷を埋めたのだ。これはいただけないが,自然のことなのでどうしようもない。
少し早いが夫婦滝の下で昼食休憩。下から見えているのは夫婦滝下段の20m滝だが,上段の滝を見たことがない。見ることはできないだろうか。沢ナビでは夫婦滝は2段の滝で,上段が80m,下段が20mとなっている。「関西沢100」では3段100mで,上から55m, 8m, 35mとなっている。右岸側が登れそうなので,右岸から登ってみることにする。みると踏み跡があるので,誰かが登っているのだろう。ざれざれの斜面を慎重に登っていくと,夫婦滝上段の中間あたりに出た。上を見上げると落ち口が見える。下は切れ落ちていてみることができない。80mか55mかわからないが,スラブ系の直瀑で迫力のある滝だ。はじめて夫婦滝の上段を見ることができて満足。
下段下に戻って,さあ安全な巻道ルートの探索だ。通常の巻きでは左岸から入っているルンゼを20mほど入ったところから,左側の急斜面を登っていくのだが,このルートではロープ出しは必須になる。そこでルンゼ右の植林の斜面をある程度登り,夫婦滝展望駐車場からきているはずのトラバース道に乗ることにする。
植林斜面をひたすら登るがトラバース道らしきものは見当たらない。ひたすら登ってGPSをチェックすると,展望駐車場よりもかなり上にまで登ってしまっていることが判明。今度は下りながらトラバース道を探すとともに,夫婦滝の落ち口に向かっていく。すると踏み跡らしきものが見つかった。この踏み跡を辿ると夫婦滝に直接落ち込んでいるルンゼに出た。左側には夫婦滝の上段が見えている。
踏み跡は嵓を微妙に巻いて落ち口に行っている。ここまではロープも何もいらない通常のトラバース道だったが,このルンゼから嵓を巻くまでの間は短い距離だが結構微妙だった。安全を見越すならワンポイントでロープを出したほうがいいだろう。慎重にクリアし,落ち口に降り立つ。巻き始めから1時間以上かかった。ルートがちゃんとわかれば30分ほどで巻けるだろう。
- 夫婦滝落ち口の滝
本来の計画では,ここから再度巻きルートを伝って展望駐車場に行き,そのまま林道を下山する予定だった。しかし,再びあの嵓の巻道を通る気がしない。それよりは不動滝まで行って,そこから山腹道を下山するほうがよっぽど安全だろう。幸いまだ時間も早いので安全ルートでいくことにした。
夫婦滝上から不動滝までの区間も美しくて面白いところだ。まず渓の造形として素晴らしく美しいし,すべての滝を直登(もちろんロープなしで)することができる。
滝登りを楽しみながら1時間ほどで不動滝着。2段50mと言われる滝だが,この滝も素晴らしくいい滝だ。滝下でしばらく休憩。ここから先はもう何度も歩いているので,何の心配もない。休憩後,山腹道とヌタハラ林道をたどり駐車場に到着。スメールの湯でのんびりして自宅に帰った。
今回ものんびり沢遊びの予定だったのだが,目一杯の沢登りになってしまった。でも,夫婦滝の上段を見ることができたし,安全な巻きルートもほぼ目処がついたし,収穫の多い1日だった。美しい渓なので,安全な巻きルートを確立したら自分の遊び場にしようと思っている。
先日のグーさんのレポを見てヌタハラ谷に行こうと思った。県道蓮線がまだ通行止であれば、蓮小学校跡から里川右岸尾根を通ってヌタハラ林道に抜けるのが最も早いコースだろう。夫婦滝展望駐車場から夫婦滝の落ち口に抜けるトラバース道も確認してこよう。
【 日 付 】2019年8月7日(水)
【 山 域 】台高 櫛田川水系 蓮川
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【 ルート】 蓮小学校跡 6:47 --- 里川右岸尾根うろうろ --- 8:45 蓮小学校跡 --- 8:55 ヌタハラ林道入り口駐車地 --- 10:41 夫婦滝 11:44 --- 13:00 夫婦滝落ち口 --- 14:09 不動滝 14:26 --- 15:55駐車地
6時半頃に蓮小学校跡に到着。蓮集落跡を通って里川右岸尾根に取り付く。踏み跡を辿っていくと、そのうち踏み跡がなくなる。いろいろコースをたどるが見つからない。そのうち暑くなって、汗がサウナのように吹き出してくる。「やめやめ」、こんなところでうろうろしていてもしょうがない。あきらめて小学校跡地に戻る。追い討ちのようにヒルが1匹付いてきた。
気を取り直して,ヌタハラ谷でちょっと遊んで帰ろう。この時点で,目標を夫婦滝巻道の探索に変更する。ヌタハラ谷自体は安全な谷で,ロープを出して突破するような滝はない。しかし,夫婦滝の巻きは急斜面を突破するため,通常,ロープを出して巻いている。以前,この巻きで滑落死亡事故も起きているらしく,厳しい巻きなのだ。もし,もっと安全でロープがいらない巻道があれば,単独でもこの谷を遡行することができる。
ヌタハラ林道のヌタハラ谷出会いに移動。左岸道からヌタハラ谷に下りる。ヌタハラ谷に来るのはこれで4回目だが,過去3回はいずれもパーティーを組んでの遡行で,のんびりと周りの景色を楽しむことはできなかった。今回数年ぶりに来てみて改めていい谷であると感じた。
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岩は青田の谷と同様堆積岩だが,谷の印象が異なる。青田の谷には大きな滝はないが,蓮の谷には名前がついた有名なスラブ系の大滝が多い。これは,絵馬小屋谷,野江俣谷,奥の平谷などと共通するものだ。これの極め付けは絵馬小屋谷の五所が滝だが,奥の平谷の法螺貝の滝,野江俣谷の鶴小屋滝なども同様である。青田の谷にはこのような滝はない。これは地質の違いによるものだろうが,水系が少し異なるだけで谷の印象が変わってくるのは面白い。
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のんびり歩いていると,緑色をした岩や赤茶色の岩などがあって面白い。スラブ系の滝が多いのでそのような滝は登れないが,簡単に巻き登ることができる。少し行くと右岸の穴から水が湧き出ている。ペットボトルに水をいっぱいにして飲む。美味しい水だ。
[attachment=5]P8070029.jpg[/attachment]
[attachment=4]P8070036.jpg[/attachment]
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夫婦滝の手前に来ると倒木の山。たしか2011年だったかな,水害で左岸の山が抜け,倒木が谷を埋めたのだ。これはいただけないが,自然のことなのでどうしようもない。
少し早いが夫婦滝の下で昼食休憩。下から見えているのは夫婦滝下段の20m滝だが,上段の滝を見たことがない。見ることはできないだろうか。沢ナビでは夫婦滝は2段の滝で,上段が80m,下段が20mとなっている。「関西沢100」では3段100mで,上から55m, 8m, 35mとなっている。右岸側が登れそうなので,右岸から登ってみることにする。みると踏み跡があるので,誰かが登っているのだろう。ざれざれの斜面を慎重に登っていくと,夫婦滝上段の中間あたりに出た。上を見上げると落ち口が見える。下は切れ落ちていてみることができない。80mか55mかわからないが,スラブ系の直瀑で迫力のある滝だ。はじめて夫婦滝の上段を見ることができて満足。
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下段下に戻って,さあ安全な巻道ルートの探索だ。通常の巻きでは左岸から入っているルンゼを20mほど入ったところから,左側の急斜面を登っていくのだが,このルートではロープ出しは必須になる。そこでルンゼ右の植林の斜面をある程度登り,夫婦滝展望駐車場からきているはずのトラバース道に乗ることにする。
植林斜面をひたすら登るがトラバース道らしきものは見当たらない。ひたすら登ってGPSをチェックすると,展望駐車場よりもかなり上にまで登ってしまっていることが判明。今度は下りながらトラバース道を探すとともに,夫婦滝の落ち口に向かっていく。すると踏み跡らしきものが見つかった。この踏み跡を辿ると夫婦滝に直接落ち込んでいるルンゼに出た。左側には夫婦滝の上段が見えている。
踏み跡は嵓を微妙に巻いて落ち口に行っている。ここまではロープも何もいらない通常のトラバース道だったが,このルンゼから嵓を巻くまでの間は短い距離だが結構微妙だった。安全を見越すならワンポイントでロープを出したほうがいいだろう。慎重にクリアし,落ち口に降り立つ。巻き始めから1時間以上かかった。ルートがちゃんとわかれば30分ほどで巻けるだろう。
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本来の計画では,ここから再度巻きルートを伝って展望駐車場に行き,そのまま林道を下山する予定だった。しかし,再びあの嵓の巻道を通る気がしない。それよりは不動滝まで行って,そこから山腹道を下山するほうがよっぽど安全だろう。幸いまだ時間も早いので安全ルートでいくことにした。
夫婦滝上から不動滝までの区間も美しくて面白いところだ。まず渓の造形として素晴らしく美しいし,すべての滝を直登(もちろんロープなしで)することができる。
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滝登りを楽しみながら1時間ほどで不動滝着。2段50mと言われる滝だが,この滝も素晴らしくいい滝だ。滝下でしばらく休憩。ここから先はもう何度も歩いているので,何の心配もない。休憩後,山腹道とヌタハラ林道をたどり駐車場に到着。スメールの湯でのんびりして自宅に帰った。
今回ものんびり沢遊びの予定だったのだが,目一杯の沢登りになってしまった。でも,夫婦滝の上段を見ることができたし,安全な巻きルートもほぼ目処がついたし,収穫の多い1日だった。美しい渓なので,安全な巻きルートを確立したら自分の遊び場にしようと思っている。