久しぶりの山である、およそ一ヶ月半ぶりだ。
ここヤブでは、喜平小屋谷大滝を巡って、一部(?)ダイコウスキモノ連中がこの暑いのに白熱している。わたしがその滝に入ったのは冬枯れの12月、レポに添えられた緑溢れる滝を見たくなった。
行くのなら、まだ入っていない千石谷から谷を遡ろうと考えた。
【 日 付 】2011年08月11日
【 山 域 】台高北部 櫛田川水系蓮川千石谷喜平小屋谷
【メンバー】単独
【 天 候 】晴天
【 ルート 】《千石林道ゲート~千石谷~喜平小屋谷出合←→喜平小屋谷大滝~千石林道》
08:20 千石林道 駐車地--- 08:55~09:10 集落跡?乾溜蓮事務所跡?--- 10:25 井戸谷出合の滝--- 12:05~12:45 五段の滝中段(ランチ)--- 12:50 赤嵓滝谷出合--- 13:15 喜平小屋谷三俣--- 13:25~13:45 喜平小屋谷大滝周辺--- 13:55喜平小屋谷三俣--- 14:05 赤嵓滝谷出合--- 15:35 駐車地
千石林道ゲート前に車を止め、谷に降りる。堰堤を越え、スパイク地下足袋からフェルトソールの靴下足袋に履き替えた。鮎釣りのオフシーズンには釣具屋で300円ほど売られているやつだ。
緑溢れる流れの中を辿るのは気持ち良い。イワタバコのライトパープルの花が鮮やかに咲き乱れている。
異様な石灰岩質の岩壁やら右岸から流れ落ちる滝を見ながら歩いて行く。
右岸の等高線が緩やかになったところには石積。石積みは二段になっており、枯谷を挟んで広がっている。それはちょっとした集落跡かと思うぐらいの広さがある。
以前此処を、とれヲさんが乾溜工場跡としたレポを読んだ記憶がある。だが、帰ってから検索するにそのレポを見つけることはできなかった。どうしちゃったんだろう?
大正時代の神戸鈴木の乾溜工場は、青田木屋谷と蓮千石谷にそれぞれ5ないし6工場あったという。その工場跡には現在も常滑の土管と耐火煉瓦が朽ち落ちているのが常である。
でっその跡地をウロウロ見回りみるのだが、土管が少しと耐火でないレンガ少しが少し落ちてただけ。ただ、その工場跡及び居住跡で見られるその時代の大日本やサクラ、カブトなどのビール瓶、食器などが残っていた。
思うにここは、千石谷上流の乾溜工場の製品の集約場もしくは二次加工場ではないかと。そして事務所や居住施設も備えていたであろう。
そういえば、この石積の敷地とよく似た同規模のものが青田木屋谷の取水施設右岸の植林の中にもあったを思いだした。まさしくよく似た感じだ。
その跡から右岸には、苔生し緑に彩られた石積の道が今や寸断されつつも続いている。
ヒルが這い上がるが、谷に降りつつも石積道があればそれを辿ってしまう、平地らしきがあれば岸に登って確認してしまう(^^;。
左岸道が壁で途切れ、両岸が迫り大岩が谷を塞いだ。右岸左岸とウロウロしてたので現在地を地図上で把握できないが、大岩に腰を掛けていっぷく。
左岸から巻くが、巻く足元には湧水がたっぷりと谷に流れ込んでいて驚いた。本流なみの湧水が左岸から流れ込んでいそうだ。
その先も右岸の石積が続き、道を探る。谷の傾斜に合わせて大きくジグザグを切って高度を上げている。たぶん荷車などを通らせるに付けた道なんだろう。
そうして、谷から水音が消え、右岸道も消えて谷に降りた。谷には家ほどもある大岩が谷を塞いでいた。手前の左岸枝谷から落ちる水音もすぐ本流の谷中の砂礫に消えていく。
- 井戸谷出合の滝
この伏流大岩のゴーロ帯から、水音が聞こえ始めると、前方に滝。井戸谷出合の滝だ。本谷には大きな岩が二つ転がり、その間から堰堤が見える。
この堰堤上には右岸から、直瀑となって落ちる滝が二つある。二つ目の滝の後、本流は廊下となり、耐水装備をしていないザックを頭に載せ、腰まで浸かって進むと、廊下の奥に深い釜に落ちる白瀑。高さはないが迫力のあるいい滝だ。
左岸から巻いて、小滝を越え行くと、二段の大滝ニスケ滝。ここは予想外に左岸を簡単に高巻きできた。高巻途中一段目の滝も深い釜に落ちているのが見える。
そうして、前方に見え始める幅広の大きな滝、五段の滝の最下段だ。
- 五段の滝・最下段
この滝はどちらから巻くのだったろうか?下から見る限り右岸はルンゼを越えたあたりは厳しそう。左岸は壁がたつのだが、バンドがある。但しその先はブッシュで見えない。
左岸のバンドを辿ってブッシュ帯に突入しモンキークライムで登って行くと、明らかに人の手で枝を切った後があり、そのまま進むも枯倒木が倒れこんでいて厳しい。少し戻ったところにバンドがあったと戻るが、そのバンドも途中で切れている。
結局、黒い岩に滴り落ちるところも越え、左岸からの枝谷近くまでトラバースして戻る羽目に。そこから木々の少ないザレ地を気を付けながらトラバースして谷に戻った。
帰宅後ネットで検索を掛けると、この巻きを右岸側から巻いているものが多い。左岸から巻いているのはグーさんしか見つからない(^^;。
グーさんは、わたしと同じルートだったんだ。ただグーさんは伐られた枝のある木から少し戻っただけで巻いたんだ、これまた凄いなぁ。
戻ったところは、小滝が続く上流に見覚えのある赤嵓滝谷出合から落ちる滝(五段の滝最上段の滝)のところ。五段の滝二段目か三段目の滝口のテラスだ。
どろどろになったズボンの汚れを落とし、ここまでくればもう大丈夫だろうと、ビールを開ける。
最上段の滝は左岸を登って、赤嵓谷出合の二俣。喜平小屋谷に入り、堰堤を越えて行く。
昨年12月に入った時と違って、緑が濃く違う谷ように思えるから不思議。谷が傾斜が強まるところ、左岸は植林地。ここに乾溜工場跡があるはずだが、帰路の楽しみとして流芯を行く。
三俣。中俣の連瀑を、グーさんたちが使った巻きを確認する気できたのだけど、滝を見ていたら登れそうな感触。
流芯左は、ホールド多くて簡単に最初の滝は登れた。そしてグーさんの落としたゴミの回収をと思ってあたりを見るのだが、見つけられない。もう流れちまったか?
次の滝も見ているとなんとかなりそうで取り付く。ここも左からだ。
滝口付近は、ホールドが少なくちょっと厭らしかったけど、登り切って大滝下へ。
左俣に入って左岸の嵓上(右俣の右岸)へ登る道を探ると、岩屋のところまで来てしまった。結局先日のとれヲさんのレポ通りに大滝まで行って見上げる。
ここからルンゼ状のところを登って大滝を巻けそうな感触。しかし、先日とれヲさんが巻いた岩屋横のルンゼから巻いたほうが時間的に早いよなと思う。
同じルートを辿って降りて大滝下。いっぷくと思って腰を掛けると、ブヨの群れがまとわりつき、いたたまれなくなり早々と退散だ。連瀑帯は左岸巻きの楽々ルートである。
- 喜平小屋谷大滝(右岸嵓上から)
左岸植林には、朽ちつつもまだ原型がかすかにわかる乾溜工場跡が膨大な土管やらとともに残っている。ただ、この暗い植林下でウロウロ見まわる気力は無く通り過ぎただけだった。またの機会にしよう。
林道に出れば、今季はじめて聞くツクツクボーシの鳴き声に送られ歩いた。
千石谷は、林道から中間部の堰堤の河原に降りて遡行を開始して、赤嵓谷もしくは喜平木屋谷を詰めるのがいいかなぁと思う。この場合も五段の滝の巻きが核心部になるだろうな。喜平小屋の大滝の巻きはこの間のヤブでルートは明白になっちゃたし…。