【 日 付 】2011年6月26日(日)
【 山 域 】鈴鹿
【メンバー】りゅうさん 通風山
【 天 候 】曇り時々晴れ
【 ルート 】御在所山の家前P8:30—東多古知谷9:00—12:00御在所山上公園—一の谷新道—13:30御在所山の家P
矢問さんのレポを読んでうずうずしてしまった。ここのところヒザのリハビリを兼ねてロングコースを歩いて何とか沢もいけそうな気がしていた。久方ぶりの百間滝にも会いたくなった。
単独ならとりあえず百間滝の下の滝の基部にアンカー作ってシャントを使ってハーケンベタ打ちでランニング取りながら登ってみようかな、とか、百間滝の落ち口上部あたりで既知の表道への抜け道へ出て終了しようかなとか、ああでもないこうでもないと考えていた。
そんな折、力強い助っ人が天から降りてきた。りゅうさんである。東多古知へ入るのなら、一緒に行ってくれるというのである。実にありがたい。
8時に鈴鹿スカイライン旧料金所ゲートあたりで待ち合わせる。予定より早く着いたが、すでに路肩までぎっしりの車。なんとか2台分のスペースを確保してりゅうさんを待つと、ほどなく氏はやってきた。
出発準備でちゃっちゃと打ち合わせ。20m×8mmと20m×9mm。ハーケン3枚。ハンマーそれぞれ。ざっとこんな感じで打ち合わせ完了。
もちろん他の沢装備は準備万端である。以前りゅうさんからいただいたナイロンワラジを使わせてもらうことにした。僕も以前からナイロンワラジ派なのだが、彼作は太いPPロープで編んである。数回使って、毛羽立ってフェルト状になってくればしめたものである。
御在所登山道の武平峠道の行者祠の鳥居から表道分岐へ進み、スカイラインの下をくぐるように進めば目の前に東多古知谷の堰堤がそびえている。そういえば雨のときにこの天井の低いスカイラインの下で雨宿りをしているときに、たくさんの蟻地獄があってぼ~っと眺めていたのを思い出した。蟻地獄って怖いね。
表道への階段をあたりでちらっと相談。百間滝下の滝の前までワープするか、きちんと下部から攻めるか。
結局せっかくなので東多古知谷に敬意を表して?F1からちゃんとやるという事になった。
- 堰堤上部で突撃準備
堰堤上部でワラジを履いて、ロープをたすき掛けにしてガチャガチャ言わせながらスタートだ。ひざの故障以来初めての沢。さあいかがなものか。
矢問さんたちのパーティーが入った日よりも水量は明らかに少ないが、それでも通常よりはかなり多いようだ。早くも服を濡らす。
久しぶりの感触ではあるが四肢のムーブメントもよく。ナイロンワラジのフリクションも新しいとはいえ、なかなか好調だ。
お!いいじゃないか!心でつぶやきながらも膝が気になるが、こちらのほうも何とかいけそうだ。
ひょいひょいと2つ滝をクリアして百間滝直下の滝の基部にやってきた。ここは水流の左から上部で右側にいやらしくトラバースした記憶があったので、りゅうさんにハーケン1本打とうかと進言するも、ひょいひょいとそのまま左を真っ直ぐ登ってクリア。自分も登ってみたがそのまま真っ直ぐ登れてしまった。以前はなんでトラバースしてたのか不思議だなぁ。豪雨以後で壁の形がかわったのかなぁ?よくわからない。
- 百間滝直下の滝
りゅうさんが上部でニヤニヤしながら秘密兵器を取り出した。タワシである。ぬるぬるの苔をこれで取ると言ってゴシゴシやりだした。初めて見る光景に感心するも思わず笑いがこぼれる。氏は100円ショップ利用の達人である。
目の前の百間滝に見とれる。何回来ても良い所だ。ベンチのあったところは盛り砂ごと持っていかれて陰も形もなく、8畳ほどの岩盤がむき出しになっていた。
子どものようにはしゃいで、百間滝の下部テラスまで登ればそこにはアンカーとシュリンゲにぶら下がった新しいカラビナがあった。
- 百間滝テラスへ
しばしルート取りを二人で考えながらぶつぶつ。壮大な滝であることはいうまでもないが、斜めにすっぱり入った断層がこれまた印象的な滝である。
左岸の急登で百間滝を巻く。どうもショートカットしたようで最初のうちは根っこや岩をつかみながらの登りになってしまった。上部でしっかりした踏み跡と合流する。数年前の豪雨でそうとう崩れてしまったとばかり思っていたが、意外と元のままルートが残っている。大きな損失はベンチぐらいかもしれない。
百間滝落ち口のナメに到着。足を延ばして座り込み、時折ガスの間からのぞく鎌ヶ岳の勇姿を見ていたら、表道の滝見台からこちらを見ている人が手を振るのでこちらも手を振って御挨拶だ。
やがて右にルンゼを持つ13mの滝だ。ここはたしか上部に新しいリングボルトがビレイ点で設置してあるはずだ。といっても3年ぐらい前の時はピカピカだったが今はどうなんだろう。暗黙の了解で(笑)りゅうさんにトップを行ってもらうことにした。顔を見合わせるときには僕はすでに巨岩にシュリンゲ二本でアンカービレイを取って、ATCをぶらぶらさせ、ハーケンを手渡していた。ルンゼを行けばどうって事ないところだが、流芯の直登である。
りゅうさんは4mほど登ってハーケンを打つ。最初は手こずっていたようだが見ている感じでは最後にはきっちり効かせて打ち込めた。ハーケンを打つのは岩の状態やクラックの良し悪しでなかなか難しいと思う。以前、藤内沢でハーケンが抜けて墜落して骨折している経験があるので、いつもハーケンを打つときはナーバスになっている。
さらに4mほど登って右岸脇の木の幹からランニングビレイを取った。御在所の沢であれば時間的にも余裕が取れるので、しっかり確実にやれば安全に楽しめるし、お互いの信頼関係もより強まってくると思う。
ランニングを取ったこともあり、りゅうさんは20mロープぎりぎりでビレイ点に到着した。さあ、次は僕の番だ。
ありゃりゃ、最初の一歩のスタンスがないぞ。よっこらせと岩をまたいでスタンスを見つける。足が短いので苦労する。ありゃ今度はホールドがないぞ。腕の太さほどのクラックに腕ごと突っ込んでジャミングすれば体が持ち上がってきた。ふうふう言いながらハーケンのところまで登ってきた。カラビナを外してハーケンを回収にかかったが、なかなか抜けない。残置にしようかとも考えたが、思い直してあごを上下にしつこく叩きギコギコなってくると、やっとゴリゴリいいながら抜けてくれた。
最後の岩を乗り越すようなルートを取ってしまったので、この岩を越えるのに苦労する。外れるなよ~!と念じながら岩を抱きかかえるようにしてクリアした。なんとか最後までテンションをかけずに登れたが、今回ここが一番の難所だった。りゅうさんに感謝。
やがて東多古知谷の左股の連瀑帯へと突入する。ここもちょっぴり暗いのが残念だが、幾段にもおよぶ滝がすばらしい景観を見せてくれるところだ。
- 左股連瀑帯
ここから表道合流まですぐと思っていたが、なかなか到達しない。こんなに長かったかなぁ?疲れてきたんかいなぁ?
最後の滝もシャワークライミングを楽しんで終了。
山上公園でランチとする。もちろん10人以上の山ガールに囲まれてである。ただし、全員男付きだ。まあ、見ているだけでも花が咲いたようで良いものである。
我々といえば、なんとかりゅうさんが、ハイカラな沢用のシャツを着ているぐらいで下は二人ともジャージに地下足袋。僕に及んでは上はユニクロの速乾性の長袖ポロシャツである。さらに年期の入ったヘルメットといういでたち、さらにさらに僕のジャージは渓流スパッツですそが絞られて土木作業員のニッカボッカみたいになってるし、最大の致命傷はどうも尻が破れてパンツがのぞいているらしい。
山ガールもおそらく初めて見るであろう僕らの格好にきょろきょろしだして、見て見ぬフリをしているようだ。まあ、それも楽しいといえば楽しいのだが(笑)。我々は我々で、彼女や山ボーイたちの登山服の研究もしながらランチを済ませた。
おそらくりゅうさんは今度会うときはテンガロンハットをかぶっていると思う。
帰路は最短コースの一の谷新道を下る。鷹見岩と恵比寿岩の同定に納得したようなしないような気分でガンガン下り、愉快なチ○コ岩(マッタケ岩)をおさすりすれば御在所山の家はすぐそこだ。
ブヨに首の後ろを二箇所かまれたものの、実に充実した楽しい沢になった。相変わらず切れの良いムーブメントのりゅうさんに助けられ、気になっていた東多古知をやれたことに感謝!
つう