- ルーマニアで最も美しいといわれるペレス城から見たカルパチア山脈
ブダペストに来てもう一か月が過ぎた.やぶこぎネットに山レポでも書きたいところだが,なにせハンガリーの最高峰は1014mしかない.しかも,頂上にはテレビ塔があって,頂上駐車場から頂上まで歩いて5分だと.これでは行く気になれない.先日,ブダペスト市内最高峰のヤノーシュ山へ行ってきたが,標高は500mちょっと.頂上まで住宅地で,定期バスが頻繁に走り回っている.帰りはバスで降りた.
ハンガリーでは山登りはしないのだろうか.こちらに来た時に自己紹介代わりに沢登りの写真を見せたら,さっそく山登りのお誘いが来た.いったいどこの山に登るのかと思って聞いたら,ルーマニアの山に登るという.行きかえりだけでそれぞれ1日ずつかかる勘定だ.行きたいのはやまやまなのだが,6ヶ月という限られた時間内にしたいことは山ほどある.残念ながら断らざるを得なかった.ケービングのお誘いも来たが,イタリアまで遠征するということで,こちらも却下.
用事があって数日前からルーマニアを旅行している.日曜日の朝ということもあってブカレスト北駅には登山姿の人たちがちらほら見える.装備からみな日帰りのようだ.ブカレストから特急で1時間半ほどで,カルパチア山脈の玄関口であるシナヤにつき,ここから2000mあたりまでロープウエーで簡単に上がれるらしい.冬はスキー場になるらしい.この付近の標高が1000m近くあることもあり,10月の朝ともなると車のボンネットは白くなり,吐く息も白い.登ってきたい気持ちはやまやまあるのだが,登山装備は持っていないし,遊んでもいられないので,用事を済ませた後さっさとおさらばし,ルーマニア第二の都市ブラショフに向かった.
このままではあまりに寂しいので,とほほな話でも・・・・
日帰り温泉で痴漢にあった話
ブダペストが温泉の町であることは知る人ぞ知る有名なことである.ブダペストだけで50軒ほどの日帰り温泉があるという.ブダペストだけでなく,ハンガリー全土の主な街には日帰り温泉がある.その多くはプールのようになっていて皆さん水着で泳いだりしているので,日本の温泉とはかなり異なる.しかし,中には昔ながらの温泉をそのまま残しているところもある.ちなみにハンガリーの温泉はほとんど混浴で,水着を着て入るのが普通である.水着といっても若い女性はたいてい大胆なビキニ着用で,手足の長いスレンダー美女がビキニで目の前を通り過ぎたりすると,ハンガリーの温泉も悪くないなーとおじさんは思うのである.そんな昔ながらの風情を残した温泉の一つキラーイ温泉に初めて行った時の出来事.朝9時の開場を待っているとすぐ後ろに常連らしいじいさんが並んだ.英語は話さないが,人懐こい感じであいさつなどして時間を過ごした.お風呂に入っているとそのじいさんがやってきたので,あいさつすると近くに寄ってきた.ちょっと距離が近いなあと思っているとじいさんの手が私の太ももに触れて,そのうち股間の一物に伸びてきた.もちろんすぐ撃退したのでそれ以後は寄ってくることはなかったが,そのじいさん,どうもゲイだったらしい.ブダペストの温泉にゲイが出没するということはあとで情報として聞いたが,初めて行った温泉で痴漢に遭うとは.ブダペスト,なかなかの町である.
- ルカーチ温泉
格安航空で大金を巻き上げられた話
ブダペストに来て10日ほどして所要でハンガリー人の同僚とともにイギリスに行くことになった.使ったのはブダペストに本社を持つWizz Airという格安航空.ハンガリーの正規の航空会社が倒産した後,格安航空ながらハンガリーでは最大の航空会社になっている.なんとイギリスまで往復の航空券が2万円ほどで手に入るのである.機内預け荷物は有料の事前申請制で,小さな持ち込み荷物だけが無料となっている.1週間程度の滞在なので,着替えなどを少なくすれば機内持ち込みで十分だろうと思い,山で1泊のテン泊に使っている50リットルザックに荷物を詰めてもって行った.チェックインの前の荷物検査で見咎められ,大きさをチェックすると背中の金具のためにわずか数センチだけサイズが大きかった.同僚が交渉してくれたがらちが明かず,結局罰金を支払って機内に持ち込むことができた.これ以外に,この会社ではネットで事前チェックインをしてそれを印刷して持ってくる規則になっているのだが,それをしなかったための罰金も含め,結局片道の航空券とほぼ同額の1万円ほどの罰金を支払うことになった.とほほ,これだったら通常の航空券の値段と変わらないわと落胆した.帰りは同僚のデイバッグと交換してもらって事なきを得た.ちなみに同僚は機内預け荷物を事前申請していたので,ネットチェックイン分の罰金だけで済んだ.
- Wizz Airに罰金を取り立てられる人々
格安航空に限らず,最近のヨーロッパでは罰金 (Penalty) という看板が目に付く.ちょっと前までヨーロッパの鉄道駅には改札などはなく,検札はすべて車内で行ったものだが,この前行ったイギリスではロンドンなどの大都市ではしっかりした自動改札機が設置されていた.イスタンブールでもトラム,地下鉄はすべて自動改札になっている.ハンガリー,ルーマニアでは自動改札機を設置する資金がないのだろうが,昔ながらの無改札である.それでも,地下鉄の入り口には係員がずっと立って,切符のチェックをするようになった.トラムではさすがにそこまでできないようで,相変わらず無改札で乗客は勝手に乗り降りしている.ほとんどの市民は定期券等で乗り降りしているのだろうが,改札なしなので切符を持っているかどうかはチェックできない.私はトラムなどたまにしか乗らないので,1回券で乗り降りするが,この場合は車内に設置された改札機で自分で改札する.車内検札はトラムではめったに回ってこないので,キセルは比較的簡単である.もちろん私はその都度ちゃんと改札して乗車している.万が一キセルが見つかった場合は,こちらの物価から見るととんでもない額の罰金を徴収されることになる.観光客は定期券など持っているはずがないので,車内検札員に目をつけられることが多いようだ.
ハンガリーは1993年にNATO加盟, 2004年にEUに加盟している.共産主義から脱却してまだ四半世紀である.今,ブダペストではホームレスの姿が目立つ.貧富格差の増大と高い失業率,犯罪増加が頭の痛いところだろう.EU加盟後は海外資本の進出が激しいようで,郊外のショッピングセンターにはTESCOやSPARなど海外資本の巨大スーパーが目立つ.今はまだブダペスト市内にはCBAマートなどの小さなスーパーが営業しているが,そのうちかつての日本のように小さなスーパーは徐々に姿を消すかもしれない.ハンガリー人の給料を聞いてみると日本の半分以下のようで,物価は半分までは安くはないので,夫婦二人で働いて何とか生活している状況のようだ.今,中欧諸国は資本主義化,EU加盟の荒波の中で急速に変貌しようとしている.市民はその変貌に必死についていこうとしているが,ついていけない人たちはホームレスとなって死んでいく運命にあるのだろうか.一方で私のアパートの裏山の高級住宅地には立派な邸宅とベンツ,BMWなどの高級車が並んでいる.
私が乗った列車はルーマニア・トランシルバニア地方を今日の宿泊地クルジュナポカに向かって走っている.特急列車のはずなのだが,カーブの多い丘陵地を車体を軋ませながらのんびりと走っている.ブラショフからクルジュナポカまでわずかに330キロほどなのだが,ここを7時間かけて走るのである.車窓からは丘陵地帯でのんびり草をはむ牛や羊の姿が見られ,時にはのんびり走る荷馬車も目にすることができる.このような懐かしく,美しい風景をいつまでも残してほしいと思うのは旅行者の単なるエゴなのだろうか.
- 車窓から見たトランシルバニアの風景
- 世界遺産になっているシギショアラの町
- イスタンブール
- イスタンブール2
- イスタンブールで出会ったリビア人の少女