【日付】2024年2月18日(日)
【山域】湖北余呉/河内山
【ルート】中河内7:50~9:20庄野嶺越9:30~10:35河内山10:45~12:15池河内13:10~庄野嶺越15:05~15:55中河内
【天候】曇り
【メンバー】単独
今季1回こっきりのレア企画にもなりかねない「スノー衆」だったが、体力を考えて泣く泣くパスした。積雪とお天気が気になっていたが、なんとかセーフのようで一安心できた。
天気予報を見ると雨にならないのはこの土日だけ。「なたね梅雨」という言葉があるが、その後はズ~~~っと雨マークで当分晴れ間は望めそうにない。18日は、日本海側は晴れ間ものぞくが風が強そう。越美方面は天気が良くない。迷ったあげく、行先は余呉に決める。
先週、大黒山に行ったばかりなのに? というなかれ。ワンコでも馴れた散歩エリアはおとなしく歩いてくれる。こんな不安定なお天気の日は勝手知りたるルーティン山域が一番安心できるってもんだ。
1月の大雪の直後、山日和+satoセットの河内山レポを読んで、いつか…と考えていた。余呉の山には何度か足を踏み入れたが、R365の西側の尾根には一度も入ったことが無い。標高は600~700m程度だが、YTCのトレイルマップを見るといろいろ情報が書き込んである。庄野嶺越を西に下れば池河内の集落と湿原に出る。ここはもう近江ではなく若狭・敦賀の領域なんだが、「河内」の名が共通する生活空間であることを思い起こさせてくれる。
そこで、今回は余呉の中河内から河内山を挟んで池河内を周回するルートを考えた。天気が良く、早めに出ればゆっくり湿原探索も楽しめるだろう。池河内集落の様子も気になった。
中河内の交差点近くの駐車スペースには1台の車もない。今日は廣峯神社の前から旧道を左に少し入り、六地蔵様が安置された大杉の所から踏み跡を辿る。
- 広峯神社
深く掘削された堀割道は残雪に覆われている。冷え込みが無かったせいか壺足では踏み抜いて歩きにくい。スノーシューを降ろすと背中が楽になる。ついでに着衣調整もして、“戦闘モード”に。
- 堀割道
庄野嶺越までの標高差は200m足らず。1時間もあれば…と、気は焦らない。とはいえ初めて通るルートだ。何が待っているのか…? 不安と期待が心地よい。co500mくらいからは斜度も緩み、ミズナラなどの樹間から南東に大黒山、北東側には見上げた県境稜線に音波山などの姿が並ぶ。
平坦になった尾根を進むと右側に三角屋根の建造物。おでこの「〒」マークを見てネットで見たレポを思い出した。中には壊れた配電盤のような機器が残っている。〒マークから見て電話か通信用の施設だったのだろう。
- 〒小屋
ルートは左に下っている。河内山はまだ先なので右寄りのはずだが…? GPSで確認すると、やはり北西方向だ。「〒小屋」の裏手に登って見ると、踏み跡が続いている。(因みにここが「庄野嶺越」で左に下れば池河内集落ということが帰路に確認できた)
・601から河内山までは小さなアップダウンはあるが標高差50m余しかない。気がついたらそれまで少なかったブナが増えている。北東に尾根が膨れる台地はブナの巨樹が立ち並び、背景の県境尾根の山とあわせ捨てがたい雰囲気を醸し出している。
- 台地のブナから・655ピーク
平坦な尾根筋は所々雪が切れ、これでは「オチバシュー」になってしまう。前方に見えだした・655mピークの斜面も黒々と。たまりかねてシューを脱ぐ。鞍部から70mほど登り返して・655mピーク。また平坦になった途端に雪が多くなるが壺足のまま。
さて、河内山の山頂は何処? 注意しながら進むがどうやら通り越したみたい。少しバックして立木のプレートを発見できた。三角点の標柱も顔を出していて、写真に収まってくれた。因みに点名は「網谷」。標高は646.8mで東側の・655mピークの方が高い。山名プレートには「池内山」もあり、いろんな顔を持つ山だ。
- 三角点
空は晴れたり曇ったり。北方は明るいが南から黒雲が攻めて来ている。時折南風が強くなり小雪なのか小雨なのかが顔をたたく。早いがここらでランチにと思いながら送電鉄塔まで下ると、巡視路が南に伸びている。「巡視路=整備された歩道」というイメージがあって、「時間はかからないだろうからランチは湿原に下ってからに」などと決めつける。
しかし、道は踏み跡程度の幅で、滑り台状に雪が残る急斜面をトラバースしながら下って行く。スリップしたらヤバイと10mほど這い上がって尾根に出るが、今度は雑木のヤブが待っている。再び巡視路に戻り慎重に進むと次第に歩きやすくなり、右下に広がる敦賀湾に目をやる余裕も出てきた。当然だが海は大黒山からよりもずっと近くに迫ってくる。
送電鉄塔の付近は伐採されて、南面のせいか雪が融けた辺りは荒れた地肌が顔を出す。最後のco450m~350mの急斜面は九十九折れにハッキリしない踏み跡を辿り県道に降り立つ。co450mからは左手(南東)へ下ったほうが楽だったかも知れない。
右手の湿原に目をやりながら舗装路を進む。ランチ場を探しながら笙ノ川の橋を渡り池河内集落へ。空模様も怪しく、時間も押してきたので湿原散策は次回の宿題にして、集落から庄野嶺越への谷筋のルートで帰ることにする。
- 池河内湿原
ちょうど昼休みの時間だが、池河内集落は物音ひとつ聞こえない。人の姿もない。もちろん車も走っていない。まったく生活の香りが無い。廃村化しているのだろうか? それでも携帯用の中継アンテナは立っている。舗装された立派な県道は刀根や敦賀へ通じている。
- 池河内集落
峠への林道の途中で倒木に腰掛けてランチにするが、空模様が気になってそそくさと切り上げる。雪が張りついた林道は踏み抜きに閉口してシューを履き直す。ああ、これで楽になった…と思う間もなく沢の二俣で林道は終わり、シューを脱いで中間の尾根に取り付く。
堀割道の残雪は途切れ途切れ。とはいえ標高が上がるにつれ多くなってきた。やっと「〒小屋」のco590mピーク「庄野嶺越」へ。ここで分岐したんや! あらためて往路を思い出した。あとは下るのみだ。登ってきたトレースは半日の間にすっかりぼやけてしまって、とても今朝のものとは思えない。
緩んだ残雪にズボズボと足を突っ込みながら、右下から国道を走る車の音が聞こえ出すと、お地蔵さんが待つ登山口に到着。庄野嶺越から30分余り。われながら良く足が持ったと驚くくらいだ。
駐車地へ5分。想定通り16時までに下山できた。驚いたことに、朝とは違い広場は車で埋まっている。10数台はあるだろう。伊豆、大阪など遠い他府県のナンバーも見られる。
今月下旬からは寒気がやってくるらしい。無くなりかけた余呉の雪も少しは積み増しが期待できるかも。次はどこにしよう…とモチベーションをモチあげてくれた一日だった。今日は素通りだった池河内湿原は、雪が無くなった芽生えの季節にでもぜひ再訪してみたいものだ。
~びわ爺