【 日 付 】2024年2月12日
【 山 域 】台高
【メンバー】tsubo
【 天 候 】曇り
【 ルート 】マナコ谷登山口ー桧塚奥峰-マナコ谷登山口
自分には絶対無理だと思っていたスノー衆。
グーさんに誘われて、行きたくなって申し込んだ。でも、最近、そんなにスノーシュー登山をしていない。今年は1月末に藤原岳に行って、避難小屋からスノーシューを付けて登ったり下ったりうろうろしただけだ。こんなので行っていいものか?
もう一度スノーシューを経験しておきたい。
都合がいいのは12日、連休三日目。道路は混むだろうから遠出はしたくない。ノーマルタイヤで行かれる雪山は限られている。
桧塚奥峰しか思いつかない。
11日の午後家を出て勢和多気に向かう。案の定伊勢からの道が合流する勢和多気手前から渋滞が始まった。鈴鹿にしなくてよかった。
松坂方面への渋滞の列を横目に勢和多気で高速を降りて、道の駅「飯高駅」で車中泊。
8時前には眠りにつく。
夜中に雨音で目が明いた。夜中に少しの雨が降る予報だった。山は雪だろうか。でも、登山口までは問題ないだろう。
しばらく眠れなかったが、目が覚めたのは6時半だった。よく寝た!
スマホを見ると、山日和さんからスノー衆の計画書などが送られてきていた。
う~~~ん、6時集合か・・・5時には起きないとなあ。まずは早起きする訓練が必要か。
今日は午前中は霧がかかるし風も強い予報だ。あわてることはない。ゆっくり目のスタートのほうがいい。
木梶谷雨量観測所の駐車場の手前には薄っすら雪があったが運転には問題なかった。
駐車場には軽トラが1台止まっていた。8時15分に歩き出す。
その先の林道には新雪があって、二人分のトレースがついていた。
予定では、グーさんに教えてもらった作業道から鹿見平に行って桧塚奥峰に行くつもりだった。マナコ谷からのノーマルルートは植林帯を抜けると風が強い。以前あまりの強風で怖くなって撤退したことがある。
鹿見平に行く道のほうが樹林帯が多く風は弱いかもしれない。
だが思わぬ新雪。道の様子がわからないのに行くのはためらわれた。
やっぱりノーマルルートで行こう。
作業小屋に着く。今までこの中で休んだことはなかった。だが、今日はありがたく使わせてもらう。
お湯を沸かしながらチェーンスパイクをつける。手袋をしたままだとなかなかつけられない。風が入らない小屋の中では素手でチェーンスパイクをつけることができた。
二人連れが入ってくる。同年代くらいのご夫婦だ。ヒップそりを持っている。
「今日は風が強いですね。」
明神平まで行くのか聞かれたので、「桧塚奥峰あたりでスノーシューを楽しむつもりです。そちらは明神平まで行かれるんですか?」
「いや、今日はここまでです。」ご主人の返答に奥様が「えっ?」と言う。まあ、冗談だろう。
お二人はキノコや肉を炒めだした。ゆっくりとランチにするようだ。
美味しそうな匂いがする中を出発する。
スノー衆でのランチ、何にしよう。
予想通り植林帯を抜けると風が強くなった。雪も吹き飛ばされている。前傾姿勢で進む。
小屋でチェーンスパイクを付けておいてよかった。
稜線に出てほっとする。
ゆっくりと霧氷を楽しむ余裕も出てくる。
桧塚奥峰に行く。曇っていて展望はない。だが、風はあまりなかった。
スノーシューをはく。明神平方面に少し行って、適当なところをスノーシューで歩き回る。
霧氷の森が美しい。
だが、晴れない。たまにガスがかかる。
ホワイトアウトという言葉が頭に浮かんだ。やたらなところを歩き回らない方がいいかもしれない。
桧塚奥峰に戻ると少し青空も顔をのぞかせたが、すぐに雲が広がる。
12時半。帰りの時間を考えるともう下山しようという気になった。
今日はこの後、もう一つお楽しみがあるのだ。
結局スノーシューで歩き回ったのは1時間にもならなかった。とても訓練とは言えない。
下り始めると、小屋で一緒だったご夫婦が登ってきた。
少し下って振り返る。
青空が見えた。あのご夫婦は青空の桧塚奥峰を楽しんでいるかな。
鹿見平が綺麗だ。あそこまで行けばよかったかな。
風は朝より収まっていた。登り返そうかな。
未練がましく何度も振り返る。すると、先のご夫婦がもう下り始めていた。
作業小屋に着いて一休みしていると、ご夫婦が下りてきた。
「ずいぶん早いですね。山頂には行かれたんですか?」
「ええ、でも、風が強いのですぐに下りてきました。今日は霧氷を見られたので目的達成です。」
登り返す未練はなくなった。
後は下るだけ。
車に戻ると、あれっ!キーがない!!
なんと車の中のバッグにキーを入れたままだった。
あ~~~、車ごと盗まれないでよかった。
目的のスノーシューはちょっとだけだったが、霧氷が見られたし、手袋を付けたままではチェーンスパイクやスノーシューを付けたり外したりするのは難しいだとわかった。これはうちで練習しておこう。
でも、厳冬期のアルプスに登る人は厚手の手袋をしてそういう作業をするんだろうなあ。どうやったらできるんだろう?
さて、今日のもう一つのお楽しみはわりばしさんがよく書いている「いいたかBOOKJAZZカフェ」に行くこと。
土日しか営業していないこのお店に行ったことはなかった。今日は祝日なのでもしかしたら開いているかと思い、事前に電話で開いていることを確認しておいたのだ。
3時過ぎに着く。
写真で見たことのある立派な構えの古民家カフェ。
マスターと若い男性客がいた。
ストーブの前の温かい椅子を勧められてコーヒーをいただく。
「この後お茶を出しますから。皆さん、2時間も3時間もいるんですよ。」
私はそんなにいないだろう。帰りの時間を考えると1時間くらいで帰るつもりだった。
温かい水だしコーヒーを頼む。チョコもついてきた。数口ブラックで飲む。いつもはブラックのままだが、出てきたミルクも入れた。疲れた体に温かい甘さがじわっとしみてくる。
若い男性はマスターにいろいろ聞いている。そして気になった言葉をノートに書いている。
マスターの話は面白かった。
コーヒーを飲み終えるとほうじ茶、ほうじ茶を飲み終わると煎茶とクッキーが出てくる。
若い男性F君は私が和歌山から来たというと「和歌山、いいところですね。南方熊楠は和歌山の人でしょう。すごいですね。」と、私に話しかけてきた。
南方熊楠の話や、神倉神社の話をする。先日神倉神社で行われた御燈祭りの話をすると興味を持った。
それからいろいろな話をして楽しかった。
「そろそろ帰らないと。」
気づいたら5時を回っていた。これから温泉に入って帰るのだ。
「最後にこのレコードをかけるから聴いていってください。」
それまでのジャズとは全く違った音楽が鳴り始めた。
「あれ、これはジャズじゃないですね。クラシックですね。」
「そうですバロックです。」
3曲目の「アヴェ・マリア」が終わったところで針を上げた。
F君は「出会えてよかったです。握手してください。」と言って、私の手を握った。いやあ、20代のイケメン男性に手を握られるなんて光栄です!!!
F君は不思議な男の子だった。マスターも素敵な方だった。
本を2冊借りた。
「いつもは平日に来ることが多いので、お休みだったらポストに入れておけばいいですか?」
「大概うちにいるから、前日にでも電話してくれればお茶くらい出しますよ。」
また来るのが楽しみだ。
山の帰りの素敵な出会い。
寒風の中の桧塚奥峰から温かなジャズの流れるカフェでの語らい。
そして温泉。
今日は登山というよりは小さな旅だった。
心も体も温かくなった。
ありがとうございました。
今回の機会を与えてくれたスノー衆、グーさん、わりばしさん、ありがとうございました。
スノー衆に行くと決めなかったら、この日桧塚奥峰に行くことはなかっただろう。
ご縁だなあ。
うちに帰って、山日和さんから送られたスノー衆の計画書や地図をじっくりと見る。
ちゃんと歩き通せるかな。お荷物にならなければいいが。
頑張って歩こう。そこから先にはどんな世界が待っているんだろう。
未知の世界にワクワクする。
心の中で、スノーシューで歩くみんなの姿を想像する。
参加者の皆様、よろしくお願いいたします。
tsubo