【 日 付 】2023年10月17日
【 山 域 】尾瀬
【メンバー】tsubo
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】猿倉登山口ー田代山ー帝釈山ー田代山ー猿倉登山口
10月19日に安達太良山の麓の岳温泉で大学時代の山のサークルの同期会がある。
うちから福島県までは遠いしお金がかかる。同期会だけで行くのはもったいない。
どこかついでの山に行こう。
福島県の山の地図を眺める。安達太良山に近いのは磐梯山や吾妻連峰だ。どちらも大学時代や卒業してからも行ったことがある。
地図を眺めてここだ!と思ったのは尾瀬に近い南会津の田代山帝釈山。
東京にいた20代の頃に登りたいと思った。だが、交通の便が悪い。当時は免許を持っていなかったから車で行くことは考えられなかった。
それに登山口までの林道が悪く、何時間も歩かなくては行けないようだった。
それでも山上に広がる湿原に憧れていた。
そうだ!田代山帝釈山に行こう。
交通手段をあれこれ考え検索して決めたのは郡山からレンタカーを借りること。
同期会の集合場所は郡山駅の前だから、郡山で借りるのが便利だろう。
登山口まで30分ほどの湯ノ花温泉の民宿に泊まることにした。
10月16日
紀勢線の名古屋行き特急南紀は新宮駅を6時20分発が始発だ。
早めにうちを5時に出た。助手席の相方はうつらうつらしている。
50分ほどで新宮駅に着く。
「帰りは土曜日の16時半くらいの電車だからお迎えよろしくね。」
7月から新しい車両になった南紀に乗り込む。
さあ、東北への山旅が始まる。
4時過ぎに起きたのに、南紀でも乗り継いだ東海道新幹線でも東北新幹線でも眠くならなかった。
郡山駅に13時17分に着く。レンタカーの予約は14時だ。帰りの切符を買ってからレンタカーの店に向かった。
格安レンタカーのガッツレンタカー。中古のフィットを3日間借りる。保険を付けても15000円でおつりが来た。
スマホのナビに従って湯ノ花温泉に向かった。
湯ノ花温泉には4つの共同浴場がある。
宿の人に勧められた「弘法の湯」に入る。ここだけはシャワーがついていて地元の方が一人入っていた。
帰り道に「天神湯」に入る。ここは混浴だが、電気がついていないから誰もいないだろう。
少し熱めの湯舟とそのお湯を引いた小さな湯舟がある。電気を消したままゆったりと温泉に浸かった。
10月17日
5時に目が明く。
昨夜は少し雨が降ったようだ。
6時からの朝食を食べて6時半に出発。
道は途中から未舗装になるが、それほど荒れてはいない。ゆっくりと時速20キロ以下で走る。以前一緒に山に行った友人から、時速20キロ以下で走れば落石を踏んでもパンクしないと聞いたのだ。それがお守りになっている。
登山口に着いた時にはまだ車はなかった。出発しようとしたときに1台の車が来た。ちょっとほっとした。
歩き始めてしばらくすると、先の車の人たちが登ってきた。4人だ。腕章をつけた人もいた。
道を譲った時に最後尾の人とちょっと話をした。役場の人と森林組合の人たちだそうだ。
トイレの掃除に来たと言っていた。トイレ掃除を4人でするのかしらと思った。
小田代を過ぎて、広い湿原に出た。木道を辿ると田代山の看板があった。だが、どう見てもそこが一番高いとは思えなかった。
木道は一方通行で一周するようになっていた。
木道の先には山頂部分を雲に覆われた山が寝そべっていた。どうやら会津駒らしい。
日光の山は晴れてよく見えた。
木道の周回の途中で帝釈山方面の看板がある。そちらに行くと小屋とトイレがあった。
トイレには先に出会った若い役場の人がいた。
「便槽の掃除に来たんです。溜まった便槽をヘリで運ぶんです。そして予備の便槽に換えました。」
見ると、トイレは2階にあってその下の中が見えた。トイレの下には四角い便槽がある。それを取り換えたのだ。
取り換えた便槽は外に置いてあった。ヘリで運べるようにワイヤーロープが付けられていた。滅多に見られるものではない。
「もう使えますよ。」と言われてトイレに入ってみる。
大きなスリッパが置いてあって、靴を履いたままスリッパを履いてトイレに入るようになっていた。
「きれいなトイレでしょう。」
役場の人は誇らしそうに言った。
帝釈山への道は針葉樹が多く紅葉は見られなかった。
途中でヘリの音がした。便槽を取り換えに来たヘリだ。
少しの間田代山の上にいたが、すぐに引き返して行った。
山頂に着く。木々の間から日光や尾瀬の山が見えたが北のほうは曇っていた。
帝釈山から見える田代山の山頂はかなり平坦だった。ある写真で見ると、プリンみたいな形の山のようだ。
民宿で作ってもらったおにぎり弁当を食べてから来た道を戻る。
田代山に着くと、朝は雲に隠れていた会津駒の山頂が見えた。
田代山の木道を歩く。朝、半周した残りの部分を歩く。
朝よりすっきりした青空が広がっている。
うれしくなって山頂の木道をもう1周した。
ああ、気持ちがいいところだ。私はこういう湿原のある山が好きだ。
下山して前沢曲家集落を見てから桧枝岐に向かう。
民宿「松源」の山人(やもーど)料理と呼ばれている夕食はおいしかった。
他のお客さんとの会話も弾む。
隣の方の部屋でまた飲んで話してから自分の部屋に戻り布団に入ると、一瞬で眠りに落ちた。