グループでの山行が続くと,たまに単独でのんびりと山や沢を歩きたくなる。梅雨明けしそうな水曜日,そんな気分で以前計画して中止になった菅谷川を遡行してみることにした。菅谷川は何年か前に木梶側から山越えしてハカノ谷出会いまで降渓し,ハカノ谷を遡行して木梶に戻ったことがある。今回はハカノ谷より下流の未踏区間を歩いてみようという趣向である。この区間は,グーさんの簡単なレポがあるものの,沢登りのゲレンデとしてはほとんど知られていないと言っていい。グーさんのレポを見るかぎりそれほど面白い谷だとは思われないのであるが,一度くらい歩いてみてもいいだろう・・・という程度の軽い気持ちで行ったのだが,思いがけない秀渓を見出すことになった。
【 日 付 】2019年7月24日(水)
【 山 域 】台高
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ時々曇り
【 ルート】 菅谷出会い駐車地 8:50 --- 10:40 カツラ谷出会い --- 12:30 ハカノ谷出会い 13:25 --- 14:40 ハカノ谷源頭 --- 16:12 万歳橋 --- 16:43駐車地
今日はのんびり沢行のつもりでのんびりと自宅を出たら駐車場着が8時を過ぎてしまった。菅谷出会い駐車場に着くと先行車が一台止まっており,出発の準備中のようだ。誰かと思ってみるとナズナさんだった。「そうか,ナズナさんもサンデー毎日なのね」。ワサビ谷から桧塚方面へ行くという。以前菅谷川を遡行したことがあるナズナさんから渓中やコースの情報を仕入れて別れる。「気をつけて行ってらっしゃいね」。
ゲートを越えて歩いて行くとまずは発電所の取水堰堤。昔は車の走れる道だったのだろうが,今は歩く人もいなさそうで,潅木が生えている。取水堰堤を越えて入渓。通常よりは水量が多いようだが,水が澄んでいて思ったよりもいい感じ。岩は蓮周辺の谷で共通して見られる堆積岩である。このあたりが昔海底であったことを物語っている。台高の谷らしく大岩が多く,その間を水が落ちる岩間滝となっている。滝の規模に比べて釜が大きく,美しいエメラルドグリーンをしている。
両岸を見上げると植林なのだが,渓中は広葉樹林でいい感じである。谷としての気品を感じる。大きな滝はないが,単なるゴーロではなく,2,3mクラスの岩間滝を時にボルダリングチックなムーブで抜けていくのが楽しい。予想していたよりもずっといい谷であると感じた。
地形図では合計5個の堰堤マークがあったので覚悟はしていたのだが,最初の堰堤以来,堰堤が出てこない。このまま堰堤が出てこないのかと思っていたら立て続けに4個の堰堤が出てきた。堰堤さえなければいい谷なんだけどねえ。最後の堰堤を越えると渓は平坦になり,左からカツラ谷が合流している。
カツラ谷出会いで小休止し,遡行を続ける。渓はややゴルジュ気味となり,傾斜が増した分滝も多くなる。ほとんどの滝が直登できそうなので,積極的に水流に絡みながら越えていく。一つ一つの滝の下でどのように越えていこうか考え,実行していくのが楽しい。(行ったことないけど)ボルダリングジムで課題を一つ一つクリアしていくような感じ。これは面白い。時間を忘れて遡行していくとあれっという感じで林道に出た。もうとっくに12時を過ぎている。
ハカノ谷出会いである。林道にシートを広げて昼食休憩。日が当たるとポカポカして暖かく,気持ちがいい。心配していた虫も少なくていい感じだ。シートの上で昼寝。この林道を辿れば下山できるんだよね。「このまま昼寝して下山しようか。」と思いながら山日和師匠のレポを思い出す。「私にとっての沢登りというのは、谷の一部を切り取ったゲームではなく、山頂あるいは稜線に至る道程であり、「源流」を歩くということが沢登りを登山として完結させる必須条件なのだ。」なるほど,源流まで行かないとダメなのね。地形図を見るとハカノ谷の源頭まであと300m。1時間強といったところか。弱い心に鞭打って歩き始める。
ハカノ谷は以前歩いているはずなのだが全然覚えていない。もっと平流に近かったような記憶があったのだが,以外に滝などもいくつか出てきて,ナメも出てくる。それでも菅谷川のこれまでの面白さと比べると,遡行の楽しみは半減している。上で大ブナに挨拶して帰ろう。
ハカノ谷の源頭部はブナやミズナラの大木が林立し,これぞ源頭という感じである。ここまで登ってきてよかったと素直に思う。大ブナのあった場所らしきところを探すが,見つからない。ついこの前挨拶したばかりなのに,もう場所を忘れてしまっている。完全にアルツである。「まあ,大ブナに会うことが目的ではないのでいいか」。そのまま下山することにする。
下山ルートはグーさんのレポを参考に,P1048の横をすり抜けるようにして林道に下りるコース。グーさんたちはP1048から南東に降りる尾根の末端から千秋社の事務所へ直接降りたらしいが,林道からその尾根を見下ろしても道らしいものはない。「まあ,遠回りになるけど,林道を歩いても時間的にはそう変わらないだろう」と,万歳橋経由で降りることにする。林道から木屋谷川を覗くと増水した水が恐ろしい勢いで流れている。さすがに本流である。菅谷川にしてよかった。
駐車場に着くとナズナさんの車はもうなかった。ナズナさんも単独の時は割と早く帰るんだねえ。菅谷川は予想以上の秀渓で,こんなに楽しい谷が今まで沢登りの対象になっていなかったなんて信じられないくらいだ。堰堤の多さは減点対象になるが,それを差し引いてもやはり秀渓であると言っていい。思いがけずいい谷に巡り会えた満足と1日を楽しく過ごされてくれた菅谷川に感謝しつつ帰路を辿った。
グループでの山行が続くと,たまに単独でのんびりと山や沢を歩きたくなる。梅雨明けしそうな水曜日,そんな気分で以前計画して中止になった菅谷川を遡行してみることにした。菅谷川は何年か前に木梶側から山越えしてハカノ谷出会いまで降渓し,ハカノ谷を遡行して木梶に戻ったことがある。今回はハカノ谷より下流の未踏区間を歩いてみようという趣向である。この区間は,グーさんの簡単なレポがあるものの,沢登りのゲレンデとしてはほとんど知られていないと言っていい。グーさんのレポを見るかぎりそれほど面白い谷だとは思われないのであるが,一度くらい歩いてみてもいいだろう・・・という程度の軽い気持ちで行ったのだが,思いがけない秀渓を見出すことになった。
【 日 付 】2019年7月24日(水)
【 山 域 】台高
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ時々曇り
【 ルート】 菅谷出会い駐車地 8:50 --- 10:40 カツラ谷出会い --- 12:30 ハカノ谷出会い 13:25 --- 14:40 ハカノ谷源頭 --- 16:12 万歳橋 --- 16:43駐車地
今日はのんびり沢行のつもりでのんびりと自宅を出たら駐車場着が8時を過ぎてしまった。菅谷出会い駐車場に着くと先行車が一台止まっており,出発の準備中のようだ。誰かと思ってみるとナズナさんだった。「そうか,ナズナさんもサンデー毎日なのね」。ワサビ谷から桧塚方面へ行くという。以前菅谷川を遡行したことがあるナズナさんから渓中やコースの情報を仕入れて別れる。「気をつけて行ってらっしゃいね」。
ゲートを越えて歩いて行くとまずは発電所の取水堰堤。昔は車の走れる道だったのだろうが,今は歩く人もいなさそうで,潅木が生えている。取水堰堤を越えて入渓。通常よりは水量が多いようだが,水が澄んでいて思ったよりもいい感じ。岩は蓮周辺の谷で共通して見られる堆積岩である。このあたりが昔海底であったことを物語っている。台高の谷らしく大岩が多く,その間を水が落ちる岩間滝となっている。滝の規模に比べて釜が大きく,美しいエメラルドグリーンをしている。
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両岸を見上げると植林なのだが,渓中は広葉樹林でいい感じである。谷としての気品を感じる。大きな滝はないが,単なるゴーロではなく,2,3mクラスの岩間滝を時にボルダリングチックなムーブで抜けていくのが楽しい。予想していたよりもずっといい谷であると感じた。
[attachment=6]P7240090.jpg[/attachment]
地形図では合計5個の堰堤マークがあったので覚悟はしていたのだが,最初の堰堤以来,堰堤が出てこない。このまま堰堤が出てこないのかと思っていたら立て続けに4個の堰堤が出てきた。堰堤さえなければいい谷なんだけどねえ。最後の堰堤を越えると渓は平坦になり,左からカツラ谷が合流している。
[attachment=5]P7240104.jpg[/attachment]
カツラ谷出会いで小休止し,遡行を続ける。渓はややゴルジュ気味となり,傾斜が増した分滝も多くなる。ほとんどの滝が直登できそうなので,積極的に水流に絡みながら越えていく。一つ一つの滝の下でどのように越えていこうか考え,実行していくのが楽しい。(行ったことないけど)ボルダリングジムで課題を一つ一つクリアしていくような感じ。これは面白い。時間を忘れて遡行していくとあれっという感じで林道に出た。もうとっくに12時を過ぎている。
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[attachment=3]P7240122.jpg[/attachment]
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[attachment=1]P7240159.jpg[/attachment]
ハカノ谷出会いである。林道にシートを広げて昼食休憩。日が当たるとポカポカして暖かく,気持ちがいい。心配していた虫も少なくていい感じだ。シートの上で昼寝。この林道を辿れば下山できるんだよね。「このまま昼寝して下山しようか。」と思いながら山日和師匠のレポを思い出す。「私にとっての沢登りというのは、谷の一部を切り取ったゲームではなく、山頂あるいは稜線に至る道程であり、「源流」を歩くということが沢登りを登山として完結させる必須条件なのだ。」なるほど,源流まで行かないとダメなのね。地形図を見るとハカノ谷の源頭まであと300m。1時間強といったところか。弱い心に鞭打って歩き始める。
ハカノ谷は以前歩いているはずなのだが全然覚えていない。もっと平流に近かったような記憶があったのだが,以外に滝などもいくつか出てきて,ナメも出てくる。それでも菅谷川のこれまでの面白さと比べると,遡行の楽しみは半減している。上で大ブナに挨拶して帰ろう。
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ハカノ谷の源頭部はブナやミズナラの大木が林立し,これぞ源頭という感じである。ここまで登ってきてよかったと素直に思う。大ブナのあった場所らしきところを探すが,見つからない。ついこの前挨拶したばかりなのに,もう場所を忘れてしまっている。完全にアルツである。「まあ,大ブナに会うことが目的ではないのでいいか」。そのまま下山することにする。
下山ルートはグーさんのレポを参考に,P1048の横をすり抜けるようにして林道に下りるコース。グーさんたちはP1048から南東に降りる尾根の末端から千秋社の事務所へ直接降りたらしいが,林道からその尾根を見下ろしても道らしいものはない。「まあ,遠回りになるけど,林道を歩いても時間的にはそう変わらないだろう」と,万歳橋経由で降りることにする。林道から木屋谷川を覗くと増水した水が恐ろしい勢いで流れている。さすがに本流である。菅谷川にしてよかった。
駐車場に着くとナズナさんの車はもうなかった。ナズナさんも単独の時は割と早く帰るんだねえ。菅谷川は予想以上の秀渓で,こんなに楽しい谷が今まで沢登りの対象になっていなかったなんて信じられないくらいだ。堰堤の多さは減点対象になるが,それを差し引いてもやはり秀渓であると言っていい。思いがけずいい谷に巡り会えた満足と1日を楽しく過ごされてくれた菅谷川に感謝しつつ帰路を辿った。