- ドリーネ
2月5日は高気圧が日本を覆い,全国的に快晴が約束された。こんな日に山へ行かない手はない。スノー衆からわずか2日後ではあるが,歩き始めればそんな疲れは吹っ飛ぶことはこれまでの経験からよくわかっている。問題はどこへ行くかだ。寡雪年の今年に雪で遊べる山を探すのは難しい。もちろん北へ向かえば雪があるのはわかっているのだが,このところ出不精が進行して近場の鈴鹿の中で遊べるところを探してしまう。そうすると北鈴鹿しかない。
いろいろ迷った末,ノタノ坂から土倉岳を経て丁字尾根に降りる周回ルートを選択した。問題は御池林道がどこまで入れるかだが,いつもは入れない林道も今年の寡雪で入れるところが多いようだ。行ってみるしかない。
【 日 付 】2019年2月5日(火)
【 山 域 】鈴鹿・御池
【メンバー】単独
【 天 候 】快晴
【 ルート 】ノタノ坂登山者用駐車場 7:50 --- 8:41 ノタノ坂峠 --- 10:24土倉岳 --- 10:51 テーブルランド --- 11:30 奥の平 --- 11:40 昼食 12:50 --- 丁字尾根 --- 14:06 P918 --- 15:08 御池林道 --- 15:27 駐車地
君が畑の集落を過ぎても御池林道には全く雪がない。どこまで入れるのだろうと恐る恐る車を進めると結局はノタノ坂の登山者用駐車場までなんの苦もなく入ってしまった。他に車はない。惜しむらくは快晴と思っていたのだが,空に雲がかかっていることだった。ノタノ坂へ向かう林道を見ると雪が20センチほども積もっているので,これはドアツードアのスノーシュー遊びが楽しめそうと喜んでしまう。
駐車地でスノーシューを履いて歩き出すと,雪があるのは駐車場から見えていた範囲だけで,植林地に入るとすっかり雪がなくなってしまった。結局,再び雪が繋がったのは標高900mあたりからだった。それでもめげずにスノーシューを履き続けるのはやぶこぎ流で,雪がなくても平気でスノーシューを履いて歩く。幸い,ほとんどの行程が落ち葉の積もった登山道なので,スノーシューを痛めることもなかった。
ノタノ坂の峠を左折して尾根をゆるゆる登っていく。右手には藤原岳から降りる西尾根が綺麗に見えている。昔,一度だけ西尾根を降りたことがあるが,歩きやすい良いルートだった。茨川を起点にして治田峠〜藤原岳〜西尾根の周回ルートというのも良いかもしれない。
- 送電線鉄塔付近から(もう花粉飛んでます)
道は植林の中を九十九折れにゆるゆると登っている。歩きやすい道だ。P869まで登ると送電線鉄塔。植林の杉が赤くなっている。もう花粉を飛ばしているかもしれない。花粉症の人には受難の季節だ。一旦下り,900mあたりまで登り返すとようやく雪が繋がった。周囲はブナ,ナラ混交林となり,冬枯れの広葉樹林に春めいた日が差し込んで気持ちが良い。
- 土倉岳頂上付近の大ブナ
右手前方にはテーブルランドの雄大な姿が見えている。歩いているうちに,曇り空からスッキリとした快晴に変わっている。朝のうち重かった足も,ようやく元気を取り戻したようだ。土倉岳手前には大きなブナの木。山日和師匠の影響なのか,最近は大きなブナを見ると写真を撮ってしまう。
- 早春の気持ちいい疎林
土倉岳を右折するとそこにはテーブルランドに至る雪のルートが見えている。一旦コルまで下り,最後の登り。程よく締まった雪のおかげでそれほど苦労もせずに登ることができた。途中で想定したコースタイム通り,11時前にはテーブルランド南端に到達できた。
- テーブルランドへと続く雪原
テーブルランドの上は別世界である。最近,テレビで南米ギアナ高地のテーブルマウンテンを見たが,御池のテーブルランドもよく似た成因なのだろう。固い岩盤が上に乗って,その下部は石灰岩が雨で溶けて巨大な空洞ができているのだろう。岩は雪に覆われてどこでも気持ちよく歩くことができる。
- なんとか霧氷に間に合った
奥の平まで登ると,そこだけ霧氷が綺麗に残っている。シロヤシオか何かと思うが,白い氷で覆われた枝が,満開の花のようで美しい。北にはまだらに白くなった霊仙と,その向こうに伊吹山が見えている。
- 見とれるような霧氷
ボタンブチの方に降りていくと,二人の男性と出会う。犬帰谷の左岸尾根から登ってきたという。今日はテーブルランドの独り占めかと思ったがそうもいかないようだ。今度の週末はまた慰霊登山をするのだろうな。同じ2月だというのに,2012年とはえらい違いだ。
ボタンブチまで行かずに,近くの窪地で風を避けて昼食にする。今日のメニューはおでんとトッピングとして餅を入れてみた。仕上げはいつもの甘酒。気温が上がってきているのか,時折上から霧氷が落ちてくる。
食事を終えて歩き出すと,青のドリーネの付近でワカンの男性に出会う。やはり犬帰谷左岸尾根から登ってきたという。
丁字尾根に降りる。最初は尾根形状がはっきりせず,ホワイトアウトの日は迷いやすいが,今日は下に尾根が見えているので安心だ。温度が上がって雪が腐ってきているので,MSRのスノーシューでも急斜面で滑ってこけたりする。なんとか間違わずに尾根に降りて一安心。この後は歩き慣れた道だ。
登山道からテーブルランドを振り返る。ボタンブチから落ちている絶壁。2012年には双眼鏡で伊勢尾からこの辺りを探したものだが,見つからなかった。丁字尾根から探したらテントを見つけられたかもしれないと思う。でも,その時にはもう死んでいたので同じことか。
- 丁字尾根からテーブルランドを望む
P967の手前では小又谷が尾根のすぐ近くにまで登ってきている。一昨年はmichiさんと一緒に小又谷を遡行したっけ。P967を越えたあたりでスノーシューをチェーンスパイクに取り替える。
P918で左折。御池林道に降りる。除雪もしていないのに,道路上にはもうほとんど雪はなく,春の日差しを浴びて雪解け水が舗装路上を流れている。もうすっかり春の気配なのだ