【鈴鹿】太尾~竜ヶ岳~釈迦ヶ岳~白滝谷☆大周回の最後に待っていたのは

フォーラムルール
新規トピックは文頭に以下のテンプレートをなるべく使ってください。
【 日 付 】
【 山 域 】 
【メンバー】
【 天 候 】
【 ルート 】
※ユーザーでなくても返信が可能です。ユーザー名に名前を入れて返信してください。

返信する


答えを正確に入力してください。答えられるかどうかでスパムボットか否かを判定します。

BBCode: OFF
スマイリー: OFF

トピックのレビュー
   

展開ビュー トピックのレビュー: 【鈴鹿】太尾~竜ヶ岳~釈迦ヶ岳~白滝谷☆大周回の最後に待っていたのは

Re: 【鈴鹿】太尾~竜ヶ岳~釈迦ヶ岳~白滝谷☆大周回の最後に待っていたのは

by yamaneko0922 » 2018年12月22日(土) 21:02

グーさん

コメント有難うございます。本日は車一台を国見峠にデポしてブンゲンからの縦走を試みましたが、いきなりの膝下ラッセルに縦走を諦め、ブンゲン西尾根を周回したのですが、車を回収しにいった国見峠ではブンゲンでゲットしたなめこで鶏塩鍋パーティーをして帰宅したところです。笹ヶ峰のようにポカポカランチという訳には行きませんでしたが :lol:

ヤブコギのツワモノ揃いの中にあっては小生はあくまでも初心者です。

>普通の主婦は「意外とすんなり」同意するとは思えないのです。

普通の主婦なので「意外と」すんなり同意したのです。

あらら、残念ですね。
気温は充分下がっていたと思うけど、標高が低いからなのかな?
それともガスの流れ込みが無かったのだろうか?


この日の雨乞・イブネはわかりませんが、私の視力の及ぶ限り、鈴鹿にはほとんど霧氷はついていなかったように思います。中央アルプスの霧氷が有名な山でも無氷に悲鳴が聞こえてきたので、こちらの方面にはガスの流れ込みがなかったのではないでしょうか。今度は山日和さんの交代して私が桧塚にしておけば良かったと公開する番でした。

>グーも期待していた天気の変わりが半日後ろにずれ、読みが外れて残念でした。

お互い、わずか数時間のズレでしたね。 :(

>家内さんもかなりの山女のようですね。お二人の出会いは山ですか?

いえいえ、とんでもございません。
家内は2~3年前までは私が一歩歩いて家内の2、3歩を待つという状況でして、徐々にグレードアップしてきたところです。

>わぉ! 
ヤブは世間の流れに流されない変人の寄り集まりと思っていたけど、
ワンポール・テントとはyamanekoさんもかなりの変人ですね。


お仲間に入れて頂けるとすれば嬉しい限りです。
でも子供達とテン泊山行することもあるので、テントは1人用、二人用x2、三人用、四人用、ファミリーキャンプ用と安物をいろいろ買い揃えております。

>グーはまだ歩いたことのないコースですが家内さんが満足の尾根なら歩いてみようかな。
太尾の広場より竜ヶ岳を望んで
太尾の広場より竜ヶ岳を望んで
釈迦に説法になりますが、太尾の池の畔はかなり快適な広場があり、幕営適地に思われました。
私も今度はポカポカランチを試みようかなと思います。
お付き合い頂けるのでしたら、鍋材を運びますよ :D
長池から太尾へ
長池から太尾へ
この晴天を見て、予想はあたったと思ったのは完全にぬか悦び

Re: 【鈴鹿】太尾~竜ヶ岳~釈迦ヶ岳~白滝谷☆大周回の最後に待っていたのは

by グー(伊勢山上住人) » 2018年12月21日(金) 23:10

青空が背景の予定でしたが・・・
青空が背景の予定でしたが・・・


足が達者で筆も立つyamanekoさん、こんばんは。
北部台高専門のグーは鈴鹿の山に関しては他の人に任せて

【メンバー】+家内

このお方に興味津々。

この日は午後からは晴れの予報なので都合がよい。

グー予報官もそのように読んだのですが・・・外れました。

家内に滋賀県側からの静かなルートに惹かれることを伝えると、意外とすんなりと同意が得られる。

普通の主婦は「意外とすんなり」同意するとは思えないのです。

笹原の中に点在するシロヤシオの樹に期待した霧氷は全くない。
尾根上に散見するシロヤシオは黒い羊の行進のようにも見えた。


あらら、残念ですね。
気温は充分下がっていたと思うけど、標高が低いからなのかな?
それともガスの流れ込みが無かったのだろうか?

この日の夕方には高気圧に覆われ、テントを張ることが出来るほどに天気が落ち着くだろうと読んだが、

グーも期待していた天気の変わりが半日後ろにずれ、読みが外れて残念でした。

家内もこの日の夕陽を楽しみにしていたのだが、あっという間の落日の光景であった。

家内さんもかなりの山女のようですね。お二人の出会いは山ですか?

ワンポール・テントなので地面にペグを打って四隅を固定

わぉ! 
ヤブは世間の流れに流されない変人の寄り集まりと思っていたけど、
ワンポール・テントとはyamanekoさんもかなりの変人ですね。

西尾根の静寂に満ちた魅力には家内も満足してくれたようである。

グーはまだ歩いたことのないコースですが家内さんが満足の尾根なら歩いてみようかな。


               グー(伊勢山上住人)

【鈴鹿】太尾~竜ヶ岳~釈迦ヶ岳~白滝谷☆大周回の最後に待っていたのは

by yamaneko0922 » 2018年12月20日(木) 21:35

【 日 付 】2018年12月15~16日(土・日曜日)
【 山 域 】鈴鹿中部 
【メンバー】+家内
【 天 候 】1日目;曇のち晴れ、2日目;晴れのち曇り
【 ルート 】1日目;茨川林道入口12:17~12:44太尾登山口~12:58P533~13:58長池14:09~14:21太尾最高点 P770~16:15竜ヶ岳16:28~17:23幕営地
2日目;幕営地5:40~6:06石博峠6:10~8:21三池岳山頂8:46~9:05八風中峠9:10~10:18釈迦ヶ岳10:45~11:12猫岳11:20~11:59白滝谷分岐12:01~13:16白滝谷出合13:33~14:43瀬戸峠14:55~15:22瀬戸峠入口~16:20茨川林道入口

この週末、山行先を決める以前に久しぶりのテン泊山行を予定していた。土曜日は朝のうちに京都で用事があるので、登山開始は近場でも昼過ぎにならざろう得ないのだが、この日は午後からは晴れの予報なので都合がよい。一方、数日前までは雨の予報ではあった日曜日の天気も午前中は晴天の予報に変わり、雨の降り出しの時間も遅い時間にずれ込んでゆくようだ。

悩んだ挙げ句、山行先に選んだのは竜ヶ岳から釈迦ヶ岳への縦走であった。竜ヶ岳の笹原の中のシロヤシオツツジの霧氷と釈迦ヶ岳への展望ルートを期待してのことである。問題はアプローチだ。滋賀県側から登るか三重県側から登るか。人の多い宇賀渓からではなく、茨川林道からは太尾を経由する西尾根の静けさは魅力的だ。しかし、滋賀県側から登って釈迦ヶ岳まで縦走すると登山口に戻るのは大周回になりそうだ。家内に双方の可能性を提示した上で、滋賀県側からの静かなルートに惹かれることを伝えると、意外とすんなりと同意が得られる。

【1日目】
八風街道を車で東に走ると、正面の山々は雲がかかっている。午後からは晴天に転じるとの予報を信じたいところだ。八風街道から茨川林道に入ったところですぐに広い空き地が見つかる。林道を歩き始めると林道の奥から走行してくる軽トラックと擦れ違う。未舗装の路面はかなり凸凹があるが、走行には問題がないのだろう。林道を30分程歩いて焼野の登山口に辿り着く。

山の斜面につけられた林道は泥濘が激しいが、すぐに林道を離れて尾根に乗る。杉林を登り、最初のピーク533m峰に辿り着く。北斜面には網の目のように数本の林道が走っている。東に伸びるなだらかな尾根は伐採のために展望は良いが、植林ではなく自然林が伐採されているのはあまり心地いい感じがしない。空には薄墨を流したかのような薄曇り空が広がっており、雲の下は相当に風が強そうである。まだ青空が広がる気配は感じられないが、雲の高さが上がっていくようだ。

尾根は緩やかな登りが続く。北側に植林、南側は自然林が広がる尾根に踏み跡は薄いが歩きやすい。ca700mのピークで尾根が東向きに進路を大きく変える。このピークで杉の植林地も終わり、自然林の明るい林となる。この辺りから地面には粉砂糖をまぶしたような薄雪が目立つ。薄雪ながらも久しぶりにノートレースの尾根を歩く悦びを味わう。ピークからは北側には薄く冠雪した御池岳を望む。

ブナの樹が目立ち始めた広い尾根はいつしか二重尾根となり、尾根の間には小さな水溜まりが現れる。やがて山稜の間には細長い池が現れる。どうやらこれが地図に記載されている長池のようだ。池の端に近づくと、気をつけていたつもりではあるが、落葉で覆われた泥濘のなかにズブズブと片足を突っ込む。毎度のように繰り返されるミスをまたやらかしてしまった。
PC158647.JPG
二重山稜の雰囲気は竜ヶ岳の北側のセキオノコバを想起させるが、尾根が近いせいか、なんとも明るい雰囲気である。薄氷が張った池の水面は雲の間から溢れ始めた柔らかな陽射しの反射で燻し銀のような輝きを見せている。氷の間の水面に映る樹々に見惚れているうちに、水面の奥に反射する色が深みを増していく。空には急速に蒼空が広がりつつあるのだった。しばらく写真を撮るのに家内を先に行かせるのだが、池を去り難く、時を忘れそうになるのだった。

このあたりから太尾への広くなだらかな尾根はこの西尾根のハイライトであろう。マイナールートであるが故の独特の静寂感が魅力に趣を添えているように思われる。太尾のピークを示す標識を尾根上に見かけるが、あたり一帯が細長く平らな台地状の尾根であり、標識に気が付かなければ最高点であることを認識するのも難しいだろう。
PC158654.JPG
標識の東には再び小さな池が現れる。この池を過ぎると太尾の平らなピークも終わりである。このあたりからは足元の雪はほとんど見られなくなる。急にヤセ尾根となり、小さなピークを挟んでキレット状の白谷越への急降となる。白谷越の向こう側には間近に大きく聳える竜ヶ岳の斜面に大きなザレ地が否が応でも視界に飛び込んでくる。

ザレ地の下端に辿り着くと驚いたことに真新しいステンレスの鉄の杭が打ち込んであり、さらにロープが渡してある。ロープの真新しさから判断すると、どう考えてもつい最近、整備されてまだ日が浅そうである。扇状のザレ地の上部はナイフリッジとなるが、南側の斜面をトラバースする道が整備されている。こちらでも新設されたロープがつけられている。

ザレ地を過ぎると急に尾根が不明瞭となり、竜ヶ岳にかけての急斜面の樹林となる。風の通り道なのだろう。すっかり落葉した樹林にかなりの風が吹きつける。樹林の中には随所にピンクのテープが付けられているが、歩きやすい鹿道に誘われて斜面を左手に進むうちに気がついたらピンクテープが途切れる。この斜面においてはピンクテープを頼るのはよくないのだろう。ところどころで鹿の踏み跡を辿りながら、そのまま斜面を登り続ける。雪がほとんどない状態だったのが良かったと思われる。雪が薄く積もった状態では登りは難儀したことだろう。

樹林を抜けると、潅木の見晴らしの良い尾根となる。空はすっかり晴れているのだが、風はますます勢いを増す。風に煽られてよろけそうになるほどの強風が時折、吹きつける。やがて竜ヶ岳特有のなだらかな笹原となる。しかし、笹原の中に点在するシロヤシオの樹に期待した霧氷は全くない。
PC158688.JPG
普段は人が多い竜ヶ岳山頂も当然ながら誰もいない。西の空の一点、雲の切れ目からそこだけ緋色の光が溢れ落ちている。もうすぐ日没の時間が近いのだろう。夕陽を隠しながら西の空に棚引く雲を背景にすると、尾根上に散見するシロヤシオは黒い羊の行進のようにも見えた。

山頂からの景色を堪能したいところではあるが、風衝草原を吹き渡る風の強さは半端ではない。指先もかじかんでくる始末。この日の夕方には高気圧に覆われ、テントを張ることが出来るほどに天気が落ち着くだろうと読んだが、天気が落ち着くのはもう少し後なのだろう。しかし風が弱まるのを待っているわけにも行かず、この風の中でワンポール・テントを張るのも至難である。仕方がない・・・石榑峠まで下ることにしよう。
PC158685.JPG
石榑峠を目指して尾根から南の斜面に降りた途端、風の影に入ったのであろう、急に風の勢いが弱まる。西の空の雲の切れ目から一瞬、緋色の光芒が射したかと思うとすぐに光が消えた。日が沈んだのだろう。家内もこの日の夕陽を楽しみにしていたのだが、あっという間の落日の光景であった。石榑峠を挟んで対峙する三池岳をはじめ、冠雪した鈴鹿主脈の山々は絵画のような蒼い暮色を帯びはじめる。

重ね岩にたどり着き、岩を見上げると半月が中空に登ってくるところだった。岩に攀じ登りたいところではあるが、少しでも早く石榑峠に下るべきところ、遊びに興じる余裕はない。重ね岩を過ぎて、辺りが急に暗くなり始めた頃、ザレ地の直下で登山路の脇にテント一張り分の平らな適地を見つける。ワンポール・テントなので地面にペグを打って四隅を固定しようとするのだが、山頂とは比べ物にならないほど風はマシではあるが、それでも時折、吹いてくる強風に煽られてペグが抜ける。何度かペグを打ち直して、ようやくテントを張る。まずはビールで乾杯だ。

この日の食材は多様だ。鶏肉、牛肉、焼豚、椎茸、しめじ、菜の花、ミニトマト・・・これらを適当に入れてソテーまたは蒸し焼きにする。料理をするうちに急に風がなくなったことに気がつく。それまでは時折の微風がテントを揺らしていたのだが、そよとも風がふく気配がない。竜ヶ岳山頂でにこのくらい風がおさまってくれていればいいものを・・・と願っても風が相手では仕方がない。
PC158704.JPG
稜線からの四日市の夜景を堪能した後で、八風街道沿いの喜多酒造で仕入れてきた喜楽長の純米酒を傾けるうちに早々に眠りにつくのだった。

【二日目】
朝は4時過ぎに起床、アルファ米の牛飯で軽く朝食を済ましてテントを撤収するが、出発は5時半過ぎとなる。起床から出発までなかなか1時間半を切れない。幕営地からは東の方角に四日市の夜景が綺麗に見える。わずかに東の地平線の方向に雲があるばかりである。東の空にまだ朝の暁光の気配はない。


石榑峠に下るにつれて緞帳をゆっくりと引き上げるように東の空の端から蜜柑色に染まってゆく。石榑峠まで下りると人の声がする。峠の道路脇に一張りのテントが張られており、丁度テントから女性が一人、外に出て来られたところだった。すでにあたりは十分に明るくなり、ヘッデンの明かりを消すところであった。向こうからもヘッデンのライトが下ってくるのが見えていたようだ。昨日は釈迦ヶ岳から来られたとのことであった。
PC168728.JPG
三池岳への長い登りにつく。樹林の中でご来迎は拝めないことだろうと諦めていたが、丁度、ザレ地に差しかかり、東への展望が大きく開けたところで朝陽が東にかかる雲の上から顔を出した。振り返ると尾根上の葉を落とした樹々が朝陽をうけて赤銅色に輝いている。

雪の上についている足跡はわずかである。石榑峠でテン泊されていた方達のものだろう。北斜面のせいだろうか、竜ヶ岳の南斜面よりも心なしか雪が多い。三池岳までは小さなピークのアップダウンの繰り返しが続く。昨夜、テントで食料をかなり消費したつもりであったが、背中のザックはまだまだ重く感じられる。

冬枯れの稜線は随所に好展望が開けており、縦走路を展望することが出来るのが嬉しい。東の方角では伊勢湾に朝陽が反射する。西には日本コバの上に白く冠雪した比良山系が顔を覗かせる。竜ヶ岳を振り返る度に太尾を越えて山頂に至る長い西尾根を視線で辿る。
PC168751.JPG
三池岳に辿り着くと釈迦ヶ岳への縦走路が視界に飛び込んでくる。まずは山頂の南東にある三角点ピークを往復する。まだ朝が早いせいだろうか、縦走路には人の気配がない。八風峠、中峠、南峠と小さなピークを挟んで、再びアップダウンを繰り返しながら好展望の尾根を緩やかに登ってゆく。

釈迦ヶ岳に辿り着くと、すぐ後からソロの男性が現れる。八風キャンプ場から八風峠に上がって縦走して来られたらしい。ここで焼売を蒸して簡単にブランチとする。料理をしている間にもう一人、ソロの男性の方が山頂を訪れるが、すぐに折り返して行かれる。この日、山の中で見かけたのはこの二人のみであった。

釈迦ヶ岳からは猫の耳を思い起こさせるような形のよい猫岳はすぐである。猫岳からの下りは霜柱が溶けたためだろう。非常に泥濘んでおり、幾度か滑りかける。

鞍部に下るとヤセ尾根ではあるがなだらかな道が続き、歩きやすい。このあたりになると登山路には雪はほとんど見当たらなくなった。快適な尾根道を辿り羽鳥峰を経て羽鳥峰峠に着く。気がついたら空は高曇りとなり、太陽は空の一角で鈍い光を放つ斑点となっている。

ここからはいよいよ鈴鹿主脈の縦走路を離れて下山路に着く。丁度12時である。コースタイム通りであれば、3時半には車を停めたあたりに帰り着いて、八風の湯に浸かりたいという家内の希望を叶えることが出来るのではないかと皮算用をする。
PC168787.JPG
白滝谷はなだらかで歩きやすい源頭から始まる。小さな渡渉はあるが、頻繁にテープがついており、ルート・ファインディングに苦慮することもない。渡渉点を過ぎると谷から離れて左岸のトラバース道となる。白滝の道標が目に入るので、ここでザックを下ろし、谷に降りてみる。家内は急に眠くなったとやらで登山路で休憩する。

白滝谷の下りの最後は杉林となり、まもなく神崎川の岸辺に降り立つ。対岸に登山道の続きが見えるが、足を濡らさずに渡れそうな箇所が見当たらない。私は靴の中が濡れることを厭わず浅瀬を渡渉する。家内は先週の奥山谷に続いて濡れた靴で歩くのを嫌ったのだろう、しばらく躊躇った後におもむろに靴を脱ぎ、冷たい川に裸足を浸しながら渡る。

問題はここからの瀬戸峠越えであった。登山路にはピンクテープも頻繁に現れ、歩きやすい道が続く。しかし、かなり歩いている筈なのに峠の手前で横切るはずの神崎川林道になかなかたどり着かない。しかも道はかなり斜面の上の方に上がっていくようだ。これはどうしたことかと思ってGPSを確認すると、なんと本来の神崎川に沿ったルートからかなり斜面の上のあたりを歩いているではないか。杣道に迷い込んだのだろうか。あくまでも明瞭な踏み跡の道が続いていたのでよもやコースアウトをしているとは思っていなかった。どうやらこのまま進むと神崎川林道の終点のあたりに出そうだ。道が林道に出ることを信じて先に進むと、ほどなくして予想通り、林道に飛び出す。林道からは見晴らしがよく、彼方に釈迦ヶ岳と猫岳が顔を覗かせる。ご丁寧に林道脇には「釈迦ヶ岳、神崎川→」と真新しく立派な道標が立てられている。果たして誰が林道をここまで登ってくるのだろうか。

林道を下り、瀬戸峠への本来の道を見出す・・・それが道と呼べるならばであるが。「杠葉尾→」の道標があるから、道は間違いないのだが、先程まで辿ってきた道とは大違いで、こちらはかなり荒廃しているようだ。林道から白滝谷出合方面への下降点にも道標も何もない。道をたどり始めると、家内がすぐに「本当にこの道であっているの?」と訝るほど、最近はほとんど、人が歩いていないような雰囲気だ。勿論、踏み跡が薄いというだけで、歩行に難儀するようなところではない。薄い踏み跡を辿って瀬戸峠に辿りつくが、やはりここからも踏み跡はほとんどない。鈴鹿においては山と高原地図では実線で記されていもルートが不明瞭だったり廃道だったりすることがあるが、どうやらここもそうした道の一つのようだ。少なくともれっきとしたヴァリエーション・ルートに思われる。

瀬戸峠からは谷筋に沿って急斜面を下ると、突然、真新しいピンクのテープが現れ、左岸に踏み跡が現れる。道はそのまま左岸の斜面をトラバースしていくようだ。一方、谷にはまったく踏み跡がない。重たいリュックを担いだ状態で踏み跡のない沢道を下降する危険は冒したくはない。踏み跡を辿ると、間もなく植林地の急斜面の下に風越谷の林道が見えるのだった。林道に出る斜面の上には「瀬戸峠」と記された道標がバランスを失いそうになりながらも辛うじて立っているのだった。

時計を見ると既に15時20分過ぎ、この瀬戸峠越に2時間近くを費やしてしまったことになる。延々と林道を歩き、最後は八風街道を緩やかに登り、車を停めた茨川林道の入り口に帰り着くのだった。

結局、誕生日を迎えたばかりの家内の温泉に入りたいという願いは叶えられぬまま帰路に着くのだった。竜ヶ岳に期待した霧氷も出遭えなかったが、西尾根の静寂に満ちた魅力には家内も満足してくれたようである。太尾にあるいくつかの池は新緑や紅葉の季節にはどのような色合いを見せてくれるのだろうか、また季節を変えて訪れたいところだ。

車に乗り込むとすぐに本降りの雨が降り始めた。雨に祟られなかっただけでもよしとしよう。この雨は鈴鹿の雪を融かしてしまうことだろう。今年の鈴鹿の冬はまだまだ足踏み状態が続くようだ。

ページトップ