【 日 付 】 2018年06月03日(日)
【 山 域 】 奥美濃
【メンバー】 マリベ、Kさん(某山岳会所属)
【 天 候 】 晴れ
【 ルート 】 林道終点~アジミ谷~金草岳~桧尾峠~福井県側の登山口
*行きはアジミ谷の出合いに車をデポ。計画ではオジラミ谷を下る予定だったが、
悪条件と時間切れとで桧尾峠から福井県側に下山した。同山域に入っていた仲間に車で送ってもらった。
山岳会の仲間と金草岳で集中する予定で周囲のルートを調べていると、とむさんのアジミ谷~オジラミ谷の記録がヒットする。早速とむさんに連絡を取ってみると、まあ記録の通りだという。そのとき「女子2名でかぁ」といった感じに感動されたが、その理由を深くは聞かなかった。ちなみに便宜的に女子と言っているだけで、辞書的には女子ではない。
前夜は徳山ダムの上流部の公衆トイレのある駐車場で仮眠。けっこう車が通る。
翌朝、冠山峠方面に進み、途中のゲートからアジミ谷方面の林道に入る。6/1に冠山峠のゲートが開通するというネット情報を見つけていて、現地看板では6/8まで工事となっていたが、全く問題なく通過でき、アジミ谷の出合いに車をとめた。
8:30 林道からスタート。荒れてはいるが歩きやすく、あっという間に終点まで行ける。
林道終点付近は巨大な雪渓。沢に下りると倒木だらけ。そういえば今はまだ6月になったばかりだ。このあたりで「ちょっとおかしいな」と気づく。雪渓に出会ったら、巻くか、上を歩くか、くぐるか、はたまた撤退するか。雪渓があまりに巨大だったので、基本的にくぐってしまったが、撤退が正解だったかなと思う。
9:07 雪渓をくぐった先に4m滝。
まず私が左手の巻きを考えるが無理、水のない草付きにKさんがトライするが難しい。朝からやだなと思いながら、あきらめてシャワーで突破すれば容易。ただ上半身から水をかぶってひどく寒い思いをした。ガタガタ震える。これも6月初旬だからだ・・・。
しばらくは荒れている谷を進み、ウド畑でウド採取。質の良いものが大量。花も多く、キクザキイチゲ、ニリンソウ、ネコノメソウなどがあった。
- しょっぱなからスマートに登らせてくれない
10:20 数m滝、草をつかんで登る。
10:30 アジミ谷大滝10m。
左岸の細い急なルンゼを登るが渋い。経験上、こんなところで確保するくらいならここには来るな!ということだと思うが、私自身も後続も確保がないことを不安に感じる登りだった。泥と草と灌木のルンゼを登るのにはある程度の「感覚」が必要で、今季1回しか沢に入っていない私にはその「感覚」ができていないし近年山登りも育休中である。
- アジミ谷大滝
確保しようにもろくな木がないまま、岩に突き当たるところまで登り、左に逃げると2人くらいが座って休めるバンドがあった。正直ホッとした。この先もどうなっているのかよく分からない。「この沢ってこんな難しいの?」と思う。迷ったがやや下方気味にシャクナゲのトラバースを少しすると、下に沢が見えるところに行き当たった。懸垂下降できそうな木があるので行けると判断し、30mロープで下降すると、ちょうどよく広い岩棚に着地できた。
- 普通の人がルーファイをしたらここに下りてこられるんだと思う
11:30 再び出発。ただ、私は撤退するならここだと思うとKさんに告げる。今日は別パーティが金草岳に上がっていくので、Kさんは撤退する気はないようで、私も「撤退」という言葉を告げるのにためらった。リーダーは自分だがKさんにそう言われると前進しようかと思う。二人とも、この先そう悪場はないという根拠のない希望があったのは事実。
11:40 雪渓をくぐる。すぐに2段8mくらいの滝。あまりよく覚えていないが直登。
- どんだけってくらい雪が多い。水の冷たさを想像してください
- 2段の滝。Kさん撮影。2人で前後して登った
11:50 再び雪渓を通った先に4m直爆。
右からの高巻きは無理(草も木もないし落ちたら事故する)。左手は出だしに足がなくて上がれない。どうしよう・・・。しかしチムニー状だったので、空身なら背中を使って取りつけそうだ。思わずザックを下ろして上がるが、引き揚げの段取りをちゃんとしなかったので、登った後に引き上げに苦労し、突破に15分くらいかかった。慣れないことはするもんじゃない。
わきの斜面になんとカタクリが! 小さな癒し。
12:10 その先も雪渓! しかも出口が見えないほど長く大きい。入ると出口は均等な大きさの3つの出口に分かれていた。一番右は、とむさんの記録で読んだ岩壁に挟まれた滝の落ちる沢で、それならと左の出口を行く(真ん中はすぐ岩が見えていてよくわからなかった)。ここは沢の合流地点だからこれほどの雪がたまっていたんだろう。空洞がでかすぎて、Kさんと合図が取れる場所で「来てください!」と進路を示して進む。まあ、ロシアンルーレット。やばいことしている。
- 禁断の撮影。ほんとにバカですいません
12:21 ところが左の出口を出ても、どうやら沢筋は二つに分かれているようだ。一度左に上がりかけて、こっちじゃないと、右に乗りなおした。くずれた雪渓で見づらくなっていたので、気づけてよかった。
12:30 小滝の連爆をたくさん越えていく。
12:40 二俣に出る。2:1くらいに見えたが、Kさんは3:2。右に進むと山頂右のコルの方に出るようだ。ここでスマホの電波がかろうじて入る。山頂にいる仲間に現在地を告げる。連絡が取れたのでホッとした。もう沢下降はせず、登山道を仲間と一緒に下山するつもりだった。それがもしできなくても、登山道にさえ出れば何とでも帰れる。焦る気持ちはあるのだけど、私は寒さとシャリバテで、かなり大休止してしまう。
- 二俣を撮影。真ん中に私が座ってます
13:15 大休止をへて、出発。この辺は焦ってきているので時間が適当。山頂にいる仲間たちは、山頂に登らないでコルに逃げることを考えていたようだった。私たちはとむさんの記録で歩かれているルートの方が確実に思ってしまい、山頂に向かっていた。
もう、さすがにやばい滝はないだろうと楽観視していたのに・・・
13:25 また通路がせまく、両岸迫る中に4m滝。巻くことは不可能! 登るしかない。取り付こうとしたが出だしは水中からで足が見えず、ぶるぶる震えて引き下がると、Kさんが取り付いた。そして上がっていく。真似して二度トライして、登れる。寒いよ!
13:32 まだ、あるのか・・・。すぐに再び5m滝。左は草付きでゴツゴツしているがもろそう。真ん中は水量少なくぬめりそう。右は垂直で無理。真ん中をよく確認しながら、左の草付きを使って渋めのクライミング。草を信じて、体を引き上げる。これが大きな滝としては最後だった。ニリンソウだけが可憐だった。
- 一番最後の苦しかった滝。Kさん撮影
13:42 垂直の2m滝。細かいところを使って登る。
13:44 沢が細くなってきて、雪渓は下をくぐらず上を通る。そして、広い谷を雪渓が埋め尽くす。
13:55 雪渓を詰めていくと、正面に岩壁。その奥が山頂と思われるが、沢筋は左から回り込むようになっている。とむさんの記録の通りだ。斜面には再びカタクリが咲いていた。しばらくで広い谷が狭まって、雪渓が終わった。私はバイルを出して杖にして登っていたが、Kさんは何もなしで登っていた。
14:11 枯滝4m、ホールドは豊富だが垂直に近いので、やっぱり緊張する。この沢はそんな場面ばっかりだ。かなり頂上に近づいてはいるのに、最後が長い。傾斜もそこそこ急なので、ずりっといかないよう、ひーひー言いながらヤブをこぐ。
14:40 金草岳山頂に、言葉通りポッと出た。山頂には仲間が一人待っていてくれた。他の3人はコルで上がってくるのを待っていたそうだ。
15:00 少し下ったコルで仲間と合流。上から谷を見下ろすと雪が多いのが分かるし、最後の詰めも急で岩っぽいのが見て取れたから、心配してくれていたようだ。そもそも私たちは沢に入らず登山道を上がってくるんじゃないかと考えたそうだ。やっぱりそうか・・・。遅れてすみませんと謝る。向こうのパーティのリーダーが、帰りたい人だけ先に帰ることを許さなかったそうだ。
15:20 遅くなるから帰ろう、こりゃ時間かかるよと、下り始める。
15:50 桧尾峠着。奥美濃のマッターホルン、冠山が遠くに見える。私はここに来るのは初めてだった。下山路は「普通の登山者が来たら怪我するね」と言い合うほどだった。みんな疲労していたし何度かしりもちをつく。途中で一度休憩。
17:28 桧尾峠登山口に下山。2台の車で冠山峠を経由して、デポ地でおろしてもらった。峠では冠山を間近に見ることができた。あれがうわさの南壁か。真っ暗闇のなか、ダム湖のわきを車を走らせ帰った。
この日、距離的にはほんの3キロの沢の中に、6時間ほど滞在したことになる。仲間には3時間以上も待ってもらった。この記録を書きながら、あらためてやばいことしていたな、判断に反省も多いなと思って、記録を公開するのをやめようかとためらったけれど(非難の嵐だったらどうしよう)、記録を残すことの大事さも常日頃感じているので投稿してみます。怖かったけど、山ってやっぱり面白いなと思いました。
すべての登山は個人的に記録を付けていますが、やぶこぎネットには初投稿です
お手柔らかにお願いします