『楽しい沢ですよ、行かない?』
シューさんからのお誘い。骨折、史上最大の夏風邪、謎の膝痛、いろんなことが降りかかっている。
『ちょっとだけ考えさせてください』
『・・・まあ、いいよ』
お盆も愛媛に帰省したものの、遊び道具は一切持ち帰っていない。去年は滑床、仁淀ブルー、シャカリキにまわったのに。今年のこんな自分、考えられな~い。数日後にカラダが動くのかなぁ。キーワードは『楽しい』。ええい、ままよ。『参加します』『オッケイ、8時に宮妻キャンプ場ね』
【日付】2018年8月18日(土)
【山域】鈴鹿(鈴鹿川水系内部川中の谷)
【メンバー】シュークリームさん(帰国後数日)、あめちゃん
【天候】晴れ
【ルート】駐車場(8:10)~不動滝(8:40)~溝状滝(10:40)~北谷出合(11:15)~最後の5m滝(11:45)~ランチ(12:00~12:30)~・・・~林道(15:00)~駐車場(15:30)
8時前に到着、シュー号は既着で店が広げてある。どこかに行ったのかな?キョロキョロしてると現れた、上半身メッシュの透け透けシューさん、パンクか。
『下山用の靴、持ってきますか?』『いんや、俺はこれで行くよ』とのこと、じゃ俺もそうするか。あとでよく見るとラバーソールだった。今思えばこの辺りから平常心が無かったのかもしれない。
徒歩30分で不動滝。運動不足で汗ダラダラ。
『ここから登ります』
トップロープの説明を受ける。ここでいきなりやらかしてしまった。上のシューさん(下からは見えない)のビレーOKの合図の前に登ってしまった。何とか登るものの、待っていたのは大説教。これも私の命にかかわること、真剣に注意してくださりありがとうございます。忘れていた気持ちを思い出す。遊びこそ真剣にやらないと。
ここからは記憶が曖昧になっていく(シューさんゴメンナサイ)。最初に出てきたのは形のいい10m大滝。ジグザグに登れば何とか。『この谷はフリクションが効くから上手になったと勘違いするよね』
- 出てくる滝はそれぞれ表情がいい
途中、やたら白い岩のゴーロが目立つ。いうなれば生まれたてのゴーロ。『去年と風景が違う気がするなぁ』確かにその間に大水があったみたいな雰囲気。この谷は登山道並みに高度を稼ぎながら登っていく、しかも直線的に。水が出ると一気に流れ落ちるんだろうなぁ。
- 大雨の時流れるのかな、火花出しながら
小廊下はしゃにむに登る。やがて風景のいい溝滝が現れる。いわゆる核心部か。『これはね、最初が肝心。泳いでも行けるけど最初ツッパリで何とかね』
なんか、先行のシューさんをよく見てるんだけど同じルートが取れない、もどかしい。最初はナントかなったけど、途中で水の中の登攀になりガクガクブルブル。最後のCS、ちとハングした岩はもうムリ、『お願いしまあース』全体重をザイルにかけて、カラダ全部を岩にこすりつけてこなす。『シューさん、ワタシどうやらアドレナリンを家においてきてしまったみたいです』
- 私のためのザイルをシューさんが引っ張ってくれてます
手ごろな滝は楽しいんだけど、冷えてしまったカラダ(ココロ?)がもとに戻らない。北中の谷との出会いの上にはCS滝が。『これが私にとっては核心部かなぁ』オイオイ、シューさんにとって核心部なら、俺にとっては最重大クライシス部だろ。
シューさん空身でハイハイの岩に取りつく。足元は単なる浮石だ、グラグラ。何度か挑戦するも体重が上に乗らない。最後の手段、カムを使う、クリア。あれ、けどシューさんカムを回収、俺は?それぞれのザックを吊り上げてもらい上からテープを垂らしてもらう。けどどーしてもカラダの重心が岩の上に乗らない『テープに全体重かけますよ』『OK』引っ張り上げてもらう。俺は3つ目の荷物だ。
最後の5m滝。中2m程がイヤラシイ。『ハーケンを打つから』私ハンマー持ってないから『じゃハンマーください』『上についてから渡すよ』確かに、回収する前に打ち込むのにハンマーが必要だ、舞い上がっている私。
3m程上がりハーケン打ち込もうとするも何度も跳ね返される。カムだと一発だったけど、ハーケンは大変なんだな。ルートからチョイ左に外れた場所で何とか。そのハーケンも無事回収。カムの回収、ハーケンの回収、どちらも人生初体験でした。
- ハーケンは体のチョイ左側に打つ、この沢の滝には珍しく、ぬめりました
気持ちいい場所で簡単なヒルメシ。暖かいはずなのに体の震えが止まらない。難所越えるたびに頭から水をかぶったせいか、それだけか。
水も枯れてくる。正面のザレは垂直のように見える。
『左に逃げていこうか』
的確なルートどりで支尾根に取りつく。正面の稜線を見ると、とてもあそこは登れそうにない。『すごい壁ですね』『そうやね、鎌尾根はあんな感じ』宮越岳の手前の稜線縦走路にポン?と出る。簡単に書いたが正直結構きつかった。ヒルメシのときシューさんに『沢詰めた後は稜線までスグですか?』と聞いてもゴニョゴニョとしか答えがかえってこない理由がわかった気がする。そこからは高速道路、キョロキョロする余裕も出てくる。けど、水沢峠から林道までの昔の峠道は半分くらいかなり荒れていた。ほぼ沢下りだった。林道に出てすぐに中の谷の橋、朝と同様に30分で駐車場だ。
暑さを忘れた一日でした。
多分楽しい沢。『あしたどう?』と聞かれたらやんわり即答で断るけど、『来年どう?』と聞かれたら『準備しておきます』、かな。
あめちゃん