【 日 付 】2018年7月15日~7月16日(月)
【 山 域 】南アルプス
【メンバー】単独
【 天 候 】快晴
【 ルート 】北沢峠8:00>駒津峰>11;18甲斐駒ヶ岳>駒津峰>仙水峠>15:00栗沢山>16:00アサヨ峰>17:50早川小屋
7月に入ってそろそろ梅雨明かと思っていたら西日本に大雨が続き200人を超す死者不明者を出す大災害となりました。被害にあわれた方にはお見舞い申し上げます。 梅雨が明けたらいよいよ夏山シーズン入り。第一弾は南アルプスの甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山に行ってみました。
前夜伯なしで行くのは難しいので7月14日の午後から現地へ向かいました。翌朝コンビニで食料調達もしたいので伊奈市の野球場に車を止めて車中泊しました。高遠を過ぎたところに道の駅がありますが、ああいうところは夜間も車の出入りが多くて静かに眠れませんしコンビニもなくて不便です。
睡眠薬を飲んで車中で眠ろうとしましたが、暑くてなかなか眠れず3時間程度しか眠れませんでした。翌朝4時ごろ出発しコンビニで食料調達して南アルプス林道バスの基地となる仙流荘へ向かいました。
仙流荘に着くと500台分の駐車場は前日から満車になっているようで農道の奥へと誘導されて行きます。農道のかなり奥の方でようやく車をとめることができました。朝食を済ませて仙流荘へ行ってみると何百人もの登山者がバスを待っています。列の最後に並んで往復の切符を買いバスを待ちます。10台ほどのバスをフル稼働して登山客を捌きますが、6時台のバスが全部出てしまいあと少しのところで乗り損ねました。結局7時を過ぎて北沢峠から戻って来た一号車に乗ることができました。週末に来るといつもこんな殺人的な光景に出会うので平日に来ればよかったです。
バスは8時に終点の北沢峠に着きました。予定より一時間遅れとなりましたが、仕方ありません。
甲斐駒へ登る人は数人しかいなかったので意外にも登山道はガラガラです。
シラビソの森の中を登っていくと荒々しい木肌のダケカンバも出てきました。
薄暗い林床には花など全く見られませんでしたが、少し日の当たるところにゴゼンタチバナが咲いていました。
双児山が近づくと展望が開け背後には美しい仙丈ヶ岳が見えてきました。
雲海に浮かぶのは中央アルプスでしょうか。
明日登る予定の地蔵岳のオベリスクがピョコンと突き出しているのが見えます。
9時33分、双児山(2649m)に着きました。先行する登山者が増えてきました。甲斐駒ヶ岳もかなり迫ってきました。次のピークとなる駒津峰の右肩には摩利支天のドームが頭を出しています。
南アルプスの盟主となる北岳もくっきり見えます。
ここまで花はほとんど見られませんでしたが、キバナシャクナゲが増えてきました。
駒津峰に向けハイマツ帯を登っていきます。
10時15分、駒津峰(2740m)に着きました。下山者も増えてきたので人だらけです。重いザックはここにデポすることにして水筒だけ持って甲斐駒を往復します。
独特な白い花崗岩の山肌が目の前に迫ります。
登りは直登尾根から登りました。この日は下山者が多くてガチンコしてしまうせいか直登尾根から登る人がかなりいました。
ルートファインディングを間違えなければきついところや危険なところはありませんが、皆さんノーヘルで登っているのが気になりました。
岩場の間にはミヤマキンポウゲや
ハクサンイチゲなど咲いていて夏山らしくなってきました。
岩場にへばりつくように咲いているのはミヤマキンバイです。
11時18分、甲斐駒頂上に到着。過去2回来た時は展望に恵まれませんでしたが、今回は素晴らしい展望です。
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険しい岩場で有名な鋸岳は人が近寄るのを拒絶しているようです。
頂上からの展望を楽しんだら一般道から下山します。目の前に見える摩利支天に寄っている時間はないので今回もスルーです。一般道のほうは登ってくる人とガチンコするので大混雑です。
スローペースで駒津峰に戻ると12時15分。コンビニ弁当でランチにしましたが、熱中症みたいな感じでご飯が喉を通りません。食べないことにはバテテしまうので無理やり水で流し込んでお腹に納めました。
昼食を済ませたら長く急なルートで仙水峠まで下りました。仙水峠と北沢峠の標高差は200m位しかないのでほとんど振り出しに戻った感じです。
仙水峠から栗沢山まで急登で450mも登り返さねばなりません。体調は悪いし気温も上がって地獄のような辛さです。仙水峠を過ぎると人はほとんどいませんが、2グループが栗沢山から下りてきました。
山頂が近づくと奥のアサヨ峰や早川尾根のピークがポコポコと見えてきた。先は長そうです。
長い登りもようやく先が見えてきました。
15時、誰もいない栗沢山(2714m)に着きました。
午後の第一関門はとりあえず通過したが、次の関門となるアサヨ峰が待ち構えています。この先はルートが不鮮明となり岩稜を適当に進んで行きます。特にコルの付近が良くわからず、踏み跡を辿って右側の副稜線を進むと行き詰ってしまい引き返して適当なところで主稜線に渡りました。ほんの20m位でも深いハイマツ帯を突破するのは大変でした。この先誰にも会わないだろうと思っていたら単独男性が前から歩いてきてびっくり。
アサヨ峰の最後の登りは一体どこを登るのかと思うような岩稜ですが、うまくルートが付けられていてほっとしました。
16時アサヨ峰(2799m)に着きました。後は小ピークがいくつかあるだけなので目的の早川小屋まで辿り着けそうです。とにかく小屋に着かないことには水場がないので話にならないのです。
ミヨシの頭を過ぎた辺りで、また一人男性が登って来て「アサヨ峰はまだですか?」と聞いてくる。こんな時間に稜線を歩いていること自体異常だしアサヨ峰の先はルート不鮮明で進まない方がいいとアドバイスするとアサヨ峰付近でビバークして引き返すと言っていた。世の中にはすごい人がいるものだ。
さて、私の方も人のことは言ってられない。歩けど歩けど小屋には着かない。不安が頭をよぎる頃になってようやく小屋に着いた。時間は18時前で朝から10時間近く歩いてきたことになる。普段ならコースタイムの8割程度で歩けるのでもっと早く着くつもりでしたが、今日はコースタイムと変わらない時間になってしまいました。
テント場の残りの場所を確保して水場へ行きビールを冷やして小屋の前で飲んでいると休んでいる人から小屋は営業しておらず避難小屋として開放されていると聞いた。小屋の中を覗くと数人が死んだように寝ているだけで静かだったのでテントは広げず小屋に泊まることにしました。夕食を済ませて睡眠薬を飲んで横になっていたらいつの間にか眠りに落ちていましたが、夜中に目が覚めてしまい朝まで悶々としていました。体調は回復しそうにないし二日目は大丈夫かな。
(二日目)夜中に目覚めてしまい寝直すこともできず朝を迎えました。ラーメンおにぎりで朝食にしましたが、おにぎりの方はなかなか喉を通りません。
5時、シュラフを丸め荷物をまとめたら出発です。
小屋から先は綺麗な登山道です。シラビソの林を包む朝の爽やかな空気の中をゆるゆると下っていきます。
20分ちょっとで広河原峠につきました。次の白鳳峠との間にはちょっとしたピークがあるので急登を登っていきます。この区間は近年崩落で通れなくなっていましたが、崩落区間には巻道が付けられていました。
中間ピークからは広河原を挟んで北岳が大きく見えます。
林床を飾るのはゴゼンタチバナ。
6時18分、白鳳峠に着きました。帰りはここから広河原へ下る予定です。
次は高峰に向け登っていきます。
この辺りもキバナシャクナゲが多いです。
高峰に登るところはダケカンバの林があったり岩場があったりします。
白鳳峠から丁度一時間で高峰に着きました。鳳凰三山も見えてきました。
地蔵岳のオベリスクも近づいてきました。
地蔵岳の近くにはヨツバシオガマやイワオウギが咲いています。
何といっても綺麗なのはタカネビランジです。サクラソウに似た花びらですが、ハクサンコザクラより大きくてゴージャスなのが私好みです。
8時前に地蔵岳に隣接するアカヌケ沢の頭に着きました。
ザックはここにデポして観音岳と薬師岳を往復しましょう。
観音岳までアップダウンは少なく楽に行けると思っていたのですが、意外にコルは深くて登り返しは大変でした。
観音岳の手前は岩場も多いです。頂上の登山者が見えてきました。
8時52分、鳳凰三山では最高峰の観音岳(2840m)に着きました。
タカネビランジの大きな株がありました。鳳凰三山で見られるのはこの花ばかりといえば贅沢な話です。
最後の薬師岳まではアップダウンが少なくて楽に行けました。9時15分、薬師山頂(2780m)に着くと雲海に浮かぶ富士山がくっきりと見えました。10年以上前に来た時にはバスの時間がきになってここは省略してしまったので、やっと宿題を片付けることができた。
最高点の岩場にも行ってみました。岩の上には青い目の青年が二人休んでいて「コンニチハ」と声をかけてくる。片言英語で話していると「英語ジョウスデスネ」とお世辞まで言ってくる。「コレ自分デ焼キマシタ」と言ってチョコチップクッキーを分けてくれた。味も行けるしマメやな、この兄さん。
地蔵岳に向け引き返していきます。
アカヌケ沢の頭の手前で賽の河原に降りると地蔵岳のオベリスクが目の前にドーンと現れた。ボルダリングでオベリスクの天辺に立つ人もいるようだが、そんなテクも時間もないので日本の山でも一番の奇形を見納めたら下山だ。
高峰から白鳳峠に向け下っていきます。峠を挟んで前に見えるのが中間ピークです。
白鳳峠からの下りは焼けつくようなガレ谷が続きます。300mほど下ったところで樹林帯に入り一息付けました。
長い峠道を下りきって南アルプス公園線に出たら焼けたアスファルト道を15分歩いて広河原のバス停に着きました。北沢峠行きの最終バスは15時ですが、30分の余裕がありました。熱いので冷房の効いたインフォセンターの2階で休んでからバスに乗りました。北沢峠でスーパー林道のバスに乗り換え16時半には仙流荘に戻ることができました。
長く苦しい二日間の旅が終わりました。かなり余裕のあるプランのつもりでしたが、終わってみればギリギリの行程になってしまいました。体調によっては予定通り歩けないこともあるので余裕をもって山の計画をしたいですね。