【 日 付 】2018年6月3日(日)
【 山 域 】 大峰
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【ルート 】イツボ谷出会7:45>北東尾根>勝負塚山頂11:00>西尾根中間点?>
往路下山>イツボ谷出会15:15
前週、白山で極楽登山を終えた後は行きたいところが無くなり、このまま梅雨入りかと思っていたら翌週も晴れが続き急遽行き先を考えた。また遠征するのも疲れるので前夜伯なしのプチ遠征で避難小屋泊まりとし日程に余裕を持たせることとした。そこで選んだ行き先は上多古から大峰の山上ヶ岳に登って小笹の宿に泊まり、翌日大普賢まで縦走して柏木道で上谷に下るプランだ。上多古からの登りは阿古滝道を使う手もあるが、勝負塚山を経由しても何とか行けそうなのでそちらを選択した。
6月3日(日)午前4時45分、鈴鹿の自宅を出発。名阪国道の針インターから吉野方面へと進む。7時半ごろには上多古に着き上多古川右岸道路を遡る。イツボ谷出会いの橋の袂には奈良ナンバーのセダンが駐車禁止の看板を無視して止めてあった。道路の反対側にも駐車スペースはあったが、無用なトラブルを避けるため200mほど戻った広い路肩に車を止めて出発した。
勝負塚山には登ったことはないが、かなりの難路らしい。出会いの橋を渡ると2m幅くらいの平坦な道が伊坪谷に沿って付けられていた。これは昔使われた牛道跡らしい。
牛道を進むと堰堤がありその奥に上水の取水設備があった。
細くなった右岸道を進むと滝の下でルートは途絶え進めなくなった。堰堤の奥にあった鉄橋を渡って左岸を進んでもやはり行き止まりで右岸に戻りルートを探すと赤テープがv字型に戻るようにして山腹を登るようになっていた。ザレで不明瞭な斜面を登るとトラバース道に出た。ルートを進むと滝のところに出た。山レコに出ていた沢の渡渉点だ。滝の下にはつり橋があったらしいが、今は残骸のワイヤーロープだけが残っている。水量は少なかったが、足元の岩が滑りやすいのでロープに掴まって渡渉した。
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渡渉して少し進むと、今度は朽ちたような木梯子が出てくる。スーパーフェザー級の私は滑らないようにその梯子を登ったが、メタボ気味の人は別の手を考える必要があるかもしれない。
梯子を渡るとまた広い牛道が出てきた。牛道に丸太やトタン板を置いてあるところが斜面の取り付きらしくテープが巻いてあった。ここから植林帯の急斜面を登っていくが、ザレた斜面で踏み跡は不明瞭だ。テープは多いのでそこを辿ればいいし登りだから多少間違えてもいずれ尾根に収束していくから大丈夫だ。
細い尾根筋に出たところで「山は楽しい」と書かれた木札がぶら下がっていた。こんなきついヤブ山で「楽しい」とはからかわれているとしか思えない。
尾根を登っていくと上のほうから鈴の音とともに中年女性が降りてきた。こんなところで人に会うこと自体驚きだが、単独女性に会うとは思ってもみなかった。聞いてみるとこのルートは初めてだというのでさらに驚いた。
細い尾根筋にはアセビやシャクナゲも多くてヤブっぽい。ヤブが濃いところは右の植林帯で巻いていく。
ヤブが切れてドーム型の山頂が見えた。
一旦緩んだ傾斜は山頂が近づくと再び急傾斜となり尾根を直登していく。相変わらずシャクナゲ交じりのヤブ尾根だ。
11時過ぎに勝負塚山頂に着いた。樹林に囲まれ展望のない山頂に三角点とちゃんとした標識があった。後は西へ稜線を辿っていけば大峰の奥崖道に出られるはずだった。
一休みして西斜面を下っていくと尾根が北の方へ振られていく。百均で買ったオイルコンパスを出してみると針の動きが悪くて方角が心もとない。山ナビのスイッチを入れてみても電波の入りが悪くて自位置がなかなか出てこない。念のため北へ向かう尾根を外して西の斜面を下ってみた。斜面は下る一方で尾根が続いているとは思えなかった。
稜線に戻ってみると赤や黄のテープが続いていたので「これでいいのか」と思いながら進んでいくとテープが少なくなり代わりに怪しい白ヒモが多くなってきた。改めて山ナビを見ると勝負塚からほとんど動いていない。しかも軌跡は大地震の波形ののように激しく上下している。もしかすると朝鮮戦争が始まって米軍が故意にGPS電波を操作しているのかと疑いたくなる。稜線は西に続いているのだから軌跡は左右に動くはずだ。稜線の中間点で北の・1354mへ向かう尾根があるのでそこへ入り込んでしまっただろうか。もう何もかも信じられなくなり頭の中はパニック。奥崖道に出られたとしても小笹の宿まではかなり距離があるのでここで先へ進むのは断念した。反転して勝負塚へ戻った。
勝負塚で遅めの昼食を済ませ往路を下った。急斜面の下りは往路同様にいやらしい。頭の中も疑心暗鬼になっていたせいか尾根を外してしまい100m位登り返したりして足元はヘロヘロだ。植林帯のザレでは大小の石がボンボン転げていく。牛道に出た時は大きく安堵した。
15時15分、駐車地に帰着。靴には大きなヒルが付いていた。靴の中には入っていなかったが、登るときに3匹の歓迎があってしっかり食われてしまった。心も体もズダボロのまま帰路に着いた。
先週の極楽登山に比べると一気に地獄に落ちた感じだ。勝負塚山はなかなかの鬼門でM系のヤブコギ兄さんにはお勧めだが、普通の人には「行くべきでない!」と断言できるところだ。