【日 付】 2017年8月4日(金)
【天 候】 晴れ後曇り
【山 域】 会津
【メンバー】 N野、F田、kitayama-walk
【コース】 7:45登山口駐車場→7:50滝沢登山口入口→8:15滝沢登山口→9:30水場9:40→10:20展望ベンチ(池ノ平)10:30→10:40駒の小屋11:10→11:30▲会津駒ヶ岳11:40→12:00中門大池→12:05中門岳(昼食)12:40→13:20駒の小屋→14:30大津岐峠→16:00キリンテ登山口
今夏の天候は実に不順である。早々に梅雨明けしたものの、その後は曇りがちな天気が続き、さらに台風5号がやってきた。この台風、太平洋を迷走した挙げ句、日本列島にやって来るという。今回の夏山登山に合わせてやって来られたのではよろしくない。台風の進路にやきもきしたが、結果的には速度が遅かったため、登山が終わった直後にやってきたため、台風禍は免れることができた。
- GPS軌跡図1
- GPS軌跡図2
<滝沢登山口~水場>
かぎや旅館(秘湯を守る会会員の宿)で朝食を済ませた後、N野さんの運転する車で登山口に移動したが、旅館からは至近距離のところにある。国道に面している駒ヶ岳登山口(標高930m)から滝沢登山口までは舗装された林道の登りで30分ほどかかるというので、これは最初に登っておくことにして、車は国道沿い野球場駐車場(登山者駐車場)に置くことにした。国道入口には大きな表示があり、登山者用のトイレもある。林道を少し進むと近道があり、これを登っていくと再び林道に合流したが、すでにたくさんの車が路肩に駐車してある。すぐに滝沢登山口に到着したが、その手前にある10台ほどの駐車スペースは満車であった。さすがに人気の山であるだけに平日なのにかなりの登山者がいる。駐車している1台のワンボックス車には、「車中には金目のものはありません」という趣旨の注意書きがあったが、車内を覗いてみると夥しい生活用品が満載されていて、まるでキャンピングカーのようであった。この車で山旅を続けているのだろう。
さて、滝沢登山口には案内板があり、登山者数を調べるカウンターも設置されている。いきなりの木製階段の急登である。国道沿いの駐車地の標高が930m、滝沢登山口の標高は1096m、駒ヶ岳山頂(2133m)までは1203mの登りである。木製階段はすぐに終わるが、ここから尾根芯の急登が始まった。もっとも登山道は直登するのではなく、小さなジグザクを切ってつけてあり、整備もされているので比較的登りやすい。ブナやミズナラの巨樹を眺めながら一歩ずつ登っていく。樹林の中の登りとはいえ、今日は朝から晴れていて太陽が照りつけているので、すぐに大粒の汗が噴き出てきた。1時間余りで最初のポイントである水場に到着した。前夜小屋泊まりの下山者やこれから登る登山者など10名ほどが休憩していた。水場はここから2分ほど下ったところにあるそうだが、まだ水補給の必要はない。
<水場~駒の小屋>
水場を過ぎると、樹相がダケカンバの混じるオオシラビソの針葉樹に変わってきた。程なく樹林の合間から駒ヶ岳山頂に続く稜線が見えるようになると、やがて木道が出てきて湿原に入っていく。ここは池ノ平と呼ばれる湿原で、駒ヶ岳山頂の方向が見渡せる展望ベンチが置かれている。ここからは駒ヶ岳山頂から北東に延びる尾根が見渡せる。ベンチの周囲の湿原にはワタスゲ(綿菅)やイワイチョウ(岩銀杏)が咲いている。もうここからは駒の小屋の姿も見えている。湿原の中を通っている木道の緩やかに登っていく。途中、青紫色の可憐な花が飛び込んできた。そう、お目当てのハクサンコザクラ(白山小桜)である。時期的には少し遅いと思ったが、今年は雪が多かったこともあり、まだまだ十分楽しむことができた。
- 駒ヶ岳山頂に続く稜線が見えるようになると、やがて木道が出てきて湿原に入っていく
傾斜のある坂を登り切ると、駒ノ池があり、その向こうに駒ヶ岳の山頂が見える。駒ノ池のほとりにはベンチがあり、休憩にはもってこいの場所だ。駒ノ池を見下ろす高台に駒の小屋がある。駒の小屋は食事の提供がない素泊まりの小屋であるが、冷たい缶ビールがあった。もちろん、大汗をかいたこともあって、即ビールを買い込んで、駒ノ池のベンチでこれから登頂する駒ヶ岳に乾杯だ!駒ノ池周辺にはハクサンコザクラが群生している。イワイチョウやチングルマも咲いている。「天上の楽園」と呼ばれる所以である。この駒ノ池周辺は、ハクサンコザクラのお花畑として有名なところで、残雪の溶ける時期に影響されるが、7月下旬から8月上旬が見頃と言われている。今年は雪が多かったため、駒ノ池周辺には残雪があり、8月上旬でもハクサンコザクラを見ることができた。
- ハクサンコザクラの群生
<駒の小屋~駒ヶ岳山頂>
駒ノ池からは湿原の中の木道を歩いて駒ヶ岳に向かう。残っている残雪を越えていくと左手にハクサンコザクラの群生地がある。湿原を抜けると笹原の中の階段状の道を登っていく。やがて中門岳への巻き道との分岐がある。ここでは右にとり、山頂をめざした。駒の小屋から20分ほどで駒ヶ岳山頂に到着した。山頂には3mはあると思われる大きな標柱が立っていた。積雪期にはこの標柱もほとんど雪下になってしまうという。また一辺18㎝の大きな一等三角点もあった。今日は雲が多い上に、先ほどから雲ってきて青空がなくなった。晴れていれば、山頂からは、駒の小屋の右に、燧ヶ岳と至仏山、その間に武尊山、右には苗場山や平ヶ岳が、駒の小屋の左には、日光白根山、男体山、太郎山、女峰山など日光の山々と遠くに富士山も見ることができるということだったが、今日はこの眺望を見ることができなかった。これらの眺望は駒の小屋から山頂に至る途中でも振り返ると見ることができるらしい。
- 駒ノ池から山頂に続く
- 会津駒ヶ岳山頂にて
<駒ヶ岳山頂~中門岳>
駒ヶ岳山頂からは中門岳をめざす。片道50分のこのコースは今日のハイライトと言ってよいものだ。山頂から少し下ると先ほど分岐していた巻き道と合流し、木道は緩やかに下っていく。前方にはほとんど平坦な稜線が続いている。緩やかに起伏する木道の左右には、ハクサンコザクラ、イワイチョウ、チングルマ、コイワカガミ、タテヤマリンドウなどの花が咲いている。所々にまだ残雪があるが、木道の脇には池塘が点在している。途中、赤いぶかぶかのヘルメットをかぶったおばちゃんとすれ違ったが、何か登山者には似合わない雰囲気であった。P2094のピークは右を巻きながら下ると大きな池があった。これが中門大池である。この池の畔に「中門岳」の山名標柱があり、「このあたり一帯を中門岳と呼ぶ」とあるが、木道はまだ先に続いている。地図上の中門岳(2060m)はこの先になっているので進んでみると、さっきのおばちゃんと同じ赤いヘルメットをかぶったおっちゃんと出会ったが、ワタスゲがきれいだと教えてくれた。なるほどこの二人は同伴者なのだ。池塘が点在する湿原が山頂であった。ここからは、北方向には、会津朝日岳、浅草岳、守門岳、西方向には、越後駒ヶ岳、中の岳、巻機山、平ヶ岳が見えるのだが、今日はガスに覆われていて見ることができなかった。ここで昼食タイムとした。前日にコンビニで仕入れた冷やしラーメンとビールで乾杯である。
- 中門岳に向かう-池塘が点在する
- 中門池にて
<中門岳~駒の小屋~大津岐峠>
昼食を終えてから、大小の池塘が点在する来た道を左右に咲く花を再び愛でながら駒の小屋まで引き返すことにした。駒ヶ岳山頂直下の巻き道の分岐点で休憩している登山者がいたが、先ほどの赤いヘルメットの二人連れと大きな声で話していた。聞くと徳島からやってきたという。滝沢登山口にあったワンボックス車のナンバーが徳島であったことから、登山行脚をしている夫婦連れであることがわかった。
巻き道を通って駒の小屋まで戻ると、ここからは稜線に続く富士見林道を大津岐峠まで縦走する。なぜ富士見林道というかというと、燧ヶ岳の左後方に富士山を望みながら歩くからという。しかし、今日は雲に覆われていて富士山は全く見ることができなかった。足場のよくない針葉樹林のヤセ尾根を抜けると、池塘の点在する湿原の中の木道を進むことになる。前方には、燧ヶ岳の双耳峰、柴安嵓と俎嵓の鋭い鋭峰が見えるはずが、ガスっていて見えない。湿原には、ハクサンコザクラ、イワイチョウ、コイワカガミ、チングルマ、ワタスゲなどの花が咲いていて、眺望のない稜線歩きを慰めてくれた。樹林帯と湿原が交互に出てくる稜線は結構長く感じられたが、1時間余りで大津岐峠に到着した。この場所には不似合いな大きな標柱が倒れていた。ここは燧ヶ岳の眺めがよい場所と言われているが、やはりガスで見ることができなかった。
<大津岐峠~キリンテ登山口>
大津岐峠(1930m)から下山口のキリンテ(1010m)までは900mの一方的な下りになっている。コースタイムで2時間になっているので、帰りのバスに間に合うかどうか微妙な時間になっている。しかし、下りなので急げば何とか間に合うだろう。最初はオオシラビソの樹林の尾根を緩やかに下っていく。P1754あたりで右に方向を変えるが、傾斜は相変わらず緩やかである。なかなか高度が下がらないのでバスの時間に間に合うのかと少々焦ってきた。中間点を過ぎると、今度は左に大きく方向を変えて、ブナやトチが出てきた中を大きなジグザグを切りながら下っていく。やがて左手に沢が出てきたが、これがキリンテ沢である。あとはこの沢に沿ってどんどん下っていけばよい。最後のあたりで少し小雨が降ってきたが、大したことはなく、傘や雨具は必要がなかった。ちょうど午後4時にキリンテ登山口に着いた。最終バスにはまだ30分ほど時間があり、やれやれである。少し歩いてバス停の前にある「みやまえ食堂」に立ち寄り、前日の約束を果たすことができた。バスの待ち時間でビールを飲むことにしたが、おばちゃんが豆腐や独活などのアテを出してくれた。ついつい2本目のビールに手が出てしまう。やがて時刻どおりバスがやってきたので切り上げた。バスには尾瀬を楽しんできたであろう女性登山客がたくさん乗っていた。私たちは予定どおり駒ヶ岳登山口で下車して車に戻った。今夜のお宿は、昨夜の宿「かぎや旅館」の隣にある、これまた日本秘湯を守る会会員の宿「ひのえまた旅館」である。