- 紅葉
錦秋というには1週間遅かったかなとは思うのだが,それでも南向きの滝なので美しい紅葉のなごりが楽しめた。
今年は台高南部(具体的には旧海山町と尾鷲市)の沢や稜線を楽しもうと思っていたのだが,ほとんど果たせないままここまで来てしまった。小木森谷や小木森滝もそのターゲットの一つである。「関西起点沢登りルート100」では小木森谷は3級かつ上級の谷になっており,単独で遡行するのはちと気が重い。前回zippさんが歩いたルートで簡単に小木森滝にアプローチできるのはわかっていたので,そろそろ行こうかと思っていた矢先にzippさんのレポが上がってきた。
まあ,初めての谷なのでとりあえず下見がてら小木森滝だけ拝見し,本格的な遡行は来年に残しておこうか。
【 日 付 】2016年11月20日(日)
【 山 域 】台高 往古川水系 小木森谷
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れのち曇り
【 ルート 】 花抜峠登山口 8:40 --- 9:35 小木森滝落ち口 --- 10:12 小木森滝中段 --- 付近散策および昼食 11:55 --- 13:15 30m滝 --- 14:11 駐車地
往古川から大台林道に入り,でこぼこの道をゆっくりと登っていく。この林道は千尋峠を越えて粟谷小屋へ物資を運ぶために現役で使われている道なので,落石などは丁寧に退けられている。花抜峠登山口の看板がかかった場所のスペースに車を止める。うん?看板が新しくなっとるし。嘉茂助谷の頭へ至るルートの登山口なので,それなりに登山者が使っているようだ。
沢登りの準備をして林道を少し下ると堰堤があり,この右岸側を入っていく。zippさんのレポにある通り,道は一定勾配でゆるやかに登っている。昔は木馬道として使われていたのだろう。花抜峠への古道といい,台高はどこでも人々の生活の場であったことがうかがえる。30分も歩かないうちに小木森谷に着く。
- 小木森滝落ち口
炭焼き小屋跡から谷に下りる。少し下ると7m滝。フリーでも降りられそうだが,滑って滑落すると嫌なので,懸垂で降りる。降りたところが小木森滝の落ち口だった。険悪な谷を遡行してやっとたどり着けるとおもっていた滝にこんなに簡単に来ることができるなんて。落ち口は広々として気持ちがいい。眼下にはさっき登ってきた大台林道が見え,ずっと向こうには熊野灘。のんびりしたいところだ。しかし,時刻はまだ10時前。中段テラスまで降りてみることにする。
- 小木森滝から見る熊野灘
テープを辿って左岸の尾根を下りていく。広々とした中段テラスに80mの高さから水が落ちてくる。遠くから眺めるだけだった小木森滝に今いるのだった。上空の雲が早く流れているところを見ると稜線はそれなりに風が吹いているようだが,南向きの滝は小春日和でポカポカしている。
- 小木森滝上段
- 小木森滝中段テラスの釜
まだ時間は10時だが,こんな気持ちのいい日はせかせか歩かずにまったりするに限る。滝下から中段テラスまでは右岸のルンゼを上がれるようだが,一見険悪な感じ。次回の遡行のためにルートを見に行くと,以外に簡単に上がって来れそうだ。それじゃ試しに下まで降りてみようか。岩場なので恐る恐る降りて行くと,予想通り簡単に滝下まで降りることができた。「これはいい!!」
- 小木森滝下段
横から見る下段滝は2連になっていて,奥の平谷の2連滝を彷彿とさせる。奥の平谷の2連滝は異なる谷から落ちているが,この滝は同じ流れが分枝しているのだが。南向きの谷のせいか紅葉がまだ残っていて,滝と紅葉のコラボが美しい。
- 小木森滝下段と紅葉
中段テラスに戻り,少し早い昼食にする。昼食の後は大岩の上に横になって読書。最近は向田邦子にはまっている。「もうこのまま沈没してもいいや」と思ってしまう。そのうち日が陰り,少し寒くなった。滝上に戻ることにする。
時刻はまだ12時。滝から上流を遡行することにする。ここらへんはもう源流の雰囲気。ナメ滝があったり,そぞろ歩きにはちょうどいい雰囲気の谷だ。しばらく歩くと15m滝の登場。右岸は高いスラブ壁になっており,左岸も厳しそう。右岸の壁の切れ目に弱点がありそうだったので,トライしてみることにする。落ち口のすぐ近くまでは行けるのだが,そこから落ち口まではスラブの斜面になっており,命をかける必要がありそうだ。左岸に虎ロープがあり,通常ルートはそちらのようだが,見る限りそっちも結構危なそう。
懸垂で下までおり,左岸を行ってみる。虎ロープをたどり,最後に谷に下りるところですでに滝の斜面が始まっているのでいやらしい。しかも最後のトラループが細くて,「本当にこんなのに体重を預けて大丈夫なの?」と思ってしまう。なるべく体重をかけないようにしてなんとか谷に戻る。「ああ,怖かった」。今日の行程でここが一番怖かった。
- 30m滝
ほとんどすぐ上が30m滝。ここも両岸の壁が立っている。少し戻り,左岸の斜面を登る。上は厚い雲がかかり,頂上付近はガスがかかってきている。少し早いが退散したほうがよさそうだ。ここはちょうど花抜峠からの古道がもっとも小木森谷に近づく地点だ。斜面をそのまま上がり,あとは花抜峠からの古道をのんびり歩いて駐車地に戻った。