【日 時】 2月26日(土)
【地 図】
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx ... &l=1363209
【同行者】 DK君
【天 候】 快晴
【ルート】 聖心殿P(7:52)~塔ノ倉(9:25/37)~小谷(11:58)~大立(13:26/14:10)~久瀬トンネル北出口P(15:33)
嬉しいメールが入った。旧知のDK君が山に復帰するという。彼と一緒に登ると得がたい経験をすることが、ままある。それが結構な苦笑体験。富士登山では互いを見失ってはぐれた。奥穂では彼のザン靴のソールがべろんと剥がれた。飯を作ろうとしたらライター忘れに気付いた(-_-;)
彼と最後に登ったのは平成20年の槍ケ岳か。それにしても、氷河公園で拝んだ「逆さ槍」は見事だったなぁ。
DK君の「どこか行きませんか?」の誘いに山行のタイミングを探した。「地図読みで『塔ノ倉』に入るけど良かったら・・・」の誘いに彼が乗ってくる。
- 小谷の西尾根
車は二台あるので、一台は久瀬トンネル北出口に置き車しよう。でも、車をどこに止めよう。候補にあげていたゲートボール場の駐車地とおぼしき空き地。そこには工事用車両が二台。ひょっとしたら私有地の可能性もある。
誰かに聞こうとキョロキョロするうち、目の前の家で、車庫のシャッターが開き始めた。出勤間際の造園業のおじさんだ。聞けば「ここはうちの土地だから置いときゃええが。けど、鍵だけは掛けとけよ。」と、隣接する空き地を指さした。ありがたい!
乙原トンネルを抜けて残雪のトドノキ谷へ。真冬でも不思議に除雪されていたし、ゲートもない立派な舗装路だ。除雪が切れる直前に駐車地がある。軽バンと人影があった。一人の男性がママチャリを積み込んでいる。声かけする間もなく静かに立ち去っていく・・・謎だ。ま、私の行動も人に言わせれば謎だらけなのだが。
それにしても、突如として山奥に現れた地図に記載のない建物。これが噂の聖心殿か。裏手の社叢(しゃそう)を登っていく。石ころゴロゴロの階段道。三枚の屏風岩の入口には奥の院が置かれていた。これが浄水の湧き出し口だ。なるほど。傍らにあるのが宝物を掘り出そうとした洞穴か。
- 奥の院の浄水
♯104鉄塔に飛び出した。シジュウカラの饗宴。春山満開だね。振り返ると、間戸山・小島・ムネ山の展望。奥手には池田山。巡視路を辿ろうとするも、雪の林床に忽然と見失う。コンパスだけで適当に登るうち、最後は植林界を詰めあげる。
山頂直下。前方で、ちりんちりんとクマよけの鈴。今年になって山で人に出会うのは、なんと初めて。おじさんは塔ノ倉のピークを探している様子。確かに、山名標もないすっきりした疎林の山頂。
夏草の時期にはヤブに覆われる野性味あふれる頂上だろうが、今は雪に覆われてあっさり系。余すところなく葉を落とした樹林を透かせば、妙法ヶ岳や鍋山方面の眺望が許される。
おじさんにお願いしてシャッターを押してもらう。どうやら彼は下辻谷方向から小谷のピークを経てきた様子だ。
さて、北尾根に向かおう。快適なカリカリ雪。昨日までと比べ、一気に気温が下がったおかげか。林道に降り立って北側の展望を探るが、分厚い植林が目隠しになって、いささか殺風景。地図にない林道分岐がある。ピークのたび、それを巻くために林道が二裂・三裂する。
気ままに歩く私に「どうして林道を歩かないの?」と、いぶかしげなDK君。「林道にこだわらず、有利なルート取りをするんだよ」と伝える。?印の彼に「服やアクセサリーや香水の香りにとらわれてちゃ、女性の本質が見抜けないのと同じだわさ」とセクハラ発言して下品に笑い合った。
執拗な植林攻撃に食傷気味。だが、随所で小津三山の勇姿があって救われる。そうだ、先々週の妙法ヶ岳登山では、小津三兄弟のうち、ご開帳となったのは権現と花房だけ。雷倉はついぞお隠れであった。雷倉は私に拝んでもらえず、スネてたはず。そのせいか、今日の雷倉は心なしか嬉しそうじゃないか。DK君がぽこぽことコーヒーを沸かし始める。
- 小津権現山と花房山
小谷のピーク北東の鞍部に達した。地図読みできる人なら、迷わずここから登るはず。しかし、植林尾根に、そそられない私。でも、違う予感がして林道を回り込んでみる。これが大正解。小谷の西尾根は自然林の雪の林床を戴いていた。尾根の末端には無線中継局と獣用のわながあって目印になるだろう。
展望は小津三兄弟だけじゃない。鍋倉・飯盛山・西津汲山。よく見りゃ『月の株』らしきも見えている。遠くには、まごうことなき金糞岳が丸見え。まさしく鼻血ものだ。
自然林はほんの一瞬で、すぐに植林にのまれた。人生もこんなもんだね。幸せは一瞬でも、その喜びと余韻があるからこそ生きる力も湧いてくる。そんな弁明しながら小谷の山頂に立つ。殊更な感慨はない。植林の魔の手。小暗くて野暮の極致。
大立への下りは地図読みに最適だ。DK君には等高線にない地形をどう読むかや、地図読みの裏技を披露しながら激下りに突入。展望に恵まれる日はコース取りも楽ちん楽ちん。大立を望んでギャップを登り返す。ここは牛歩。
ゆっくり着実をモットーに大立頂上へ。植林界を無視すれば、実に大らかな自然林の山頂。DK君はカップラーメンをすすっている。私は山頂台地のそぞろ歩き。
- 大立の山頂
♯24と♯25鉄塔の建つ大規模伐採地へと標高を下げる。外津汲の集落が遙か眼下。鍋倉山を背景に飯盛山、西津汲山が映える。ここからが急降下。巡視路があるはずだが、獣道っぽくて非常に不明瞭。適当に下っていくと、ズコッっと雪の底を踏み抜いた。雪の下には木の株があって、えげつない。思い切りすねをぶつけて泣きが入る。鉄塔線側に寄せて現在地を特定。
- 飯盛山と西津汲山
コンパス勝負で適当に下るうち、石垣やら石段が。久瀬トンネル北出口脇の階段に飛び出した。
古老たちがゲートボールに昂じている。そうだ、「外津汲山(西津汲山)の呼称」が宿題になっていた。さっそく「飯盛山の南の山名は?」と問いかけた。「郡有林のあったところやろ。知らんなぁ。」
妙ちくりんなところから下山してきた二人の登山者への興味は一瞬。古老たちの興味は再び、白熱したゲートボールの試合の行方に移った。
ふ~さん