山日和さま
こんばんは。
感想がすっかり遅くなってしまいすみません。
草川啓三さんの『湖西の山を歩く』で出会って以来、分け入るごとに魅了されていった野坂山地の山やま。
愛してやまない山域が、今、やるせない現実に直面している。
庄部谷山の現状を目の当たりにして、私も何とも言えない感情、ぐるぐるした思いに包まれています。
甲森谷は、8年前、どのような谷なのか全く知らずに、草川さんとご一緒させていただき驚愕しました。
うつくしいブナの林が広がるお山から生まれた水が集まった谷には、こんなにも妙なる世界が展開していたのだと。
初夏の季節外れの台風が去った後の山旅で、その日も途中から雨が降り出し、
緑の草木はより煌めき、澄んだ流れは躍動感に溢れ、いのちのよろこびを謳歌していました。
この素晴らしい谷が、「トチとカツラのワンダーランド」と呼ばれていることは、山日和さんからお聞きして知りました。
山日和さんが名付け親なのですね。まさに不思議の森、奇跡のような世界ですね。
薪炭に適さず、昔から縁起がよいとされてきたカツラや、実が救荒食となったトチは、切られることなくおおきく育ち、
森の守り神となり、こうして何百年も谷を見守り続けてきたのですね。
大産石室の滝も、初めて見た時、深い感動に包まれました。完全なるひとつのうつくしい世界を感じました。
名付けた方もカミを感じたのだろうと思いました。
トタテ谷は、入り口が扉のような滝から、そう呼ばれているのでしょうか。
流木が邪魔をしていて、もういいか、と尾根に逃げてしまったのが、ちょっとこころ残りでした。
楽しく歩いてきましたが、左岸尾根の倒木地帯から、気持ちも足取りも重くなってきました。
いつもならうれしいのに、前方の青く光る空の明るさが怖くなりました。
辿り着いたブナの稜線で見た光景は、話を聞いて想像していた以上に残酷でした。
春、夏、秋、冬、このお山から、かけがえのないたくさんの贈り物をいただいてきました。
私が出会った輝きの数々が次々と浮かび上がり、走馬灯のように脳裏を駆け巡りました。
「何かを得るには何かを捨てなければならない」という言葉がありますが、誰が何を得るのでしょう。
そして、失われたものは戻ってはこない。
青空の下、穏やかに輝く庄部谷源頭はどこまでもやさしく、涙が出そうになりました。
野坂山地の風力発電の建設計画は、三十三間山にも挙がっています。全国各地のお山でも風力発電計画が進んでいます。
11月23日から25日、大津市和邇の、比良雪稜会の会長ご夫妻が営んでいらっしゃる
「るーむ橅」というカフェのギャラリーで、「私たちは、なぜ今も、風力発電取り止めを言い続けるのか」
のパネル展が行われます。最終日、25日の13時からは、ジャズ演奏会もあります。
ぐるぐるしてばかりの私ですが、風力発電について考え、学んでいきたいです。
sato